~ここは浜家の…明るい玄関ホール~
玄関のドアを背に、良浜と永明さんがちょっぴりおめかしして並んで立っています。
「本当にみんな大丈夫なの?」良浜が心配そうにたずねました。
「今からでもみんなで出掛けることにせえへんか?」永明は四姉妹に言いました。
浜家の四姉妹は、
「大丈夫!大丈夫!わたしと桃浜がいるんだから!それより早くしないと映画始まっちゃうよ!」
「そうそう!お誕生日なんだから、早く行っていっぱい楽しんできて!」
「桜浜おねえちゃまと桃浜おねえちゃまがディナーの予約も入れてくれてるから忘れちゃダメだよ!」
「たのしんできてくだしゃい!」
と二人をけしかけるように言いました。
「そうお?…じゃあ、せっかくだから…あなた行きましょうか?」
「そやな、みんなのせっかくの気持ちやから行くとしよか」
「みんなありがとう。じゃあ、行ってきます!」良浜と永明さんは四姉妹にそう言って、出かけていきました。
四姉妹は良浜と永明を送り出して、リビングに戻ってそれぞれ座りました。
「お父さんとお母さん、やっと出かけたわねー」
「ホント心配性なんだから」
「ねぇねぇ!これからみんなで何作るの?」
「さいもおてつだいしゅるでしゅ」
「今日はねー、お父さんのバースデーケーキ焼いてデコレーションするでしょ!あとは…」
「お母さんたちはお夕飯食べてくるから、わたしたちはタコパでもしない?」
「それいい!ゆいタコ焼き大好き!」
「さいも、さいもタコしゃんの大好きでしゅ!」
「じゃあ決まりね!今晩のメニューはたこ焼きね!」
「タコでしょ、チーズでしょ、ウィンナーでしょ…あとは」
「わーい!ゆいね!ゆいね!お餅入れたい!」
「さいは、さいは明太子がいいでしゅ!」
サイチャンシブイネー マサオシャンノコウブツデシュ ソウナンダー!
ネーネー コレモイレヨウヨー イイネー ワイワイ キャッキャッ アハハ
「お父さんとお母さん、今ごろ映画楽しんでるかなー」
~ここはカップルで賑わう映画館~
「ほぉ、久しぶりに映画館に来たんやけど、アベックがぎょうさんおるんやなぁ ガハハ」
「そうですねぇ、なんだか若い人たちばかりで少し恥ずかしいわ」
「らうちゃん!らうちゃん!見てみぃ!こないに大きいバケツに入ったポップコーンがあるで!」
「まぁー!今のポップコーンはずいぶんと大きいのねぇ!…んー甘ーい匂いで美味しそう」
「(ハッ!らうちゃんが美味しそうって目ぇ閉じてる!ってことは気にいったんやな)
じゃあ、これこれ!この甘いポップコーンと、ホットドッグとコーラを二つずつもらおか。あ、ポテトもよろしゅうな」
「そんなに食べられるかしら?」
「大丈夫や!まだお昼やし、らうちゃんが食べられへんかったら、わしが食べるから!心配せんでええ ニコニコ」
永明がトレイを持って、二人はテーブルのあるところを見つけ座りました。
「二人でこうしてホットドッグとコーラ食べて映画観るなんて若い頃デートしたときのことを思い出すなあ。なあ、らうちゃん ガハハ チョッピリテレクサイ」
「そうですねぇ、普段はバタバタしてますからねぇ。二人でゆっくり食事するのは久しぶりね ウフフ」
「桜浜、桃浜、結浜、彩浜、四人で考えてくれた粋な誕生日プレゼントや。わしはほんま幸せもんやなぁ」
「本当ですねぇ。帰りにあの子たちに何かお土産買って帰りましょうね」
「そうせななぁ。おっ?らうちゃん、ここにお弁当ついとるよ」
永明は自分の口元をポンポンと指で刺して、良浜に教えました。
「あらやだ!恥ずかしい!」良浜がハンカチを出して口元を拭こうとしていると、
永明が良浜の口元をサッと指でぬぐってパクリと食べてしまいました。
「ガハハ!なんや恥ずかしなぁ!若い頃はこんなんようしてたんやけどな。なぁ、らうちゃん」
「もーあなたったら!」良浜は顔を赤らめて、永明の肩を恥ずかしいとばかりに叩きました。
「らうちゃんは変わらへんなぁ、若い頃の可愛いままや!」
「…あなただって…」
「ん?なんや聞こえへんなぁ?」
「もー!いじわる言わないでください」ウフフ ガハハ キャッキャッ
永明と良浜は周りのどんなカップルよりもラブラブで、その様子をみんなに注目されていることに二人は気付いていないのでした。
「じゃあそろそろ中に入ろか」
永明はそう言うとエスコートするように片手を差し出し、良浜の手を取ると二人はそのまま仲良く手を繋いで劇場内に入っていきました。
~再びここは浜家の大きなリビング~
「できたー!デコレーションできたよー!」
「すごーい!桜浜!これお父さんにそっくりに描けてる!上手ねー」
「わー!桜浜おねえちゃま、すごーい!お父さんとお母さんこれ見たら喜ぶねー!」
「おねえちゃま、じょうじゅでしゅ。さいも、けーきにお絵かきしたいでしゅ」
「じゃあ、彩ちゃんもやってみる?はい、ここを持ってぇ…こうやってクリームを出すのよ。結も桃浜も、彩ちゃんと一緒にお父さんへのメッセージ描いてって!」
「うん!」「やってみるわね!」
「そろそろお父さんとお母さん、ディナーの時間かなぁ。美味しいの食べてるのかな ウフフ」
~ここは桜浜と桃浜が選んだおいしいおいしい中華料理店~
永明と良浜はテーブルに向かい合わせに座りました。
「なかなかええ映画やったなぁ。結が選んだそうやけど。観てたら、わしも久しぶりに自転車乗りとうなってきたわ ガハハ」
「無理しちゃ嫌ですよ。本当に良い映画でしたねぇ。結にもお礼言わないとですね ニコニコ」
「こちらメニューでございます」
「まあ!美味しそうなお料理ばかりよ、あなた!」
「ほんまやなぁ!これは旨そうや!」
二人はしばらくメニューをジッと見入っていました。そして、良浜が口を開きました。
「……ねぇ…あなた…これ…あの子たちにも…」
「「…食べさせたい…」」
永明と良浜は同じことを呟き、そして同時にメニューから顔を上げました。
「らうちゃん!」
「永明さん!」
二人はお互いの名前を呼び合うと、こくりと頷き合いました。
「ちょっとちょっと!そこのボーイさん!悪いけどな、ここからここまで全部持ち帰りで包んでくれへんか!」
「それから、このデザートもお願いします!あの子たち甘いものに目がないですから」
永明と良浜は、お料理が揃うのを待ちながら帰り支度をしました。
(早く早く…あの子たちの顔が見たい。あの子たちが喜ぶ顔が…)
ソワソワとお料理を待ちながら、二人は同じことを考えていたことが可笑しくて、顔を見合わせてフフフと笑い合いました。
四姉妹はバースデーケーキを、
永明と良浜は抱えきれないほどの中華料理を、
それぞれがそれぞれの喜ぶ顔が見たくて見たくて…待っています。
ほら、永明さんと良浜が、息を切らせて玄関前に着きましたよ。
さあドアを開けたら、お互いの見たかった顔が並んでいます。
ピンポーン?
はーい!!!!
おしまい
泣ける
浜家のお話を読むといつもホワワーンと幸せな気分になって大好き
今日は最後ちょっと泣いたよw
素敵なお話ありがとうございます
泣けました・゜・(ノД`)・゜・。
一気に読みました!こんなふうなお話が書けて本当に凄いです
ラストのほんわかぶりときたら…。・(つд`。)・。
浜家物語、大好きです!可愛い…尊い…
イチャイチャがはじまったときはわたちどうしようかと思いまちた プミーッ
浜家リビングの作家さんかな?
引き込まれるし情景が浮かびます!すごくお上手!!!