~ここは浜家の大きなリビング~
永明さんが書棚の前で本を選んでいると、そこに結浜がやってきました。
何やら永明さんにお願いしたいことがありそうです。
「お父さん…」
「なんや、結浜か。どしたんや?ん?」
「えっとね、なんかお手伝いすることないかなぁって…」
「お手伝いかぁ。結浜はお手伝いが好きやなぁ。そうやなぁ、今は特にないなぁ。いつもありがとうな ニコニコ」
「…そっかぁ」結浜はしょんぼりしてしまいました。
永明はしょんぼりした結浜に気付き、手に持っていた本を書棚に戻し、あらためて結浜に向き合って聞きました。
「どしたんや、結浜。何か悩みでもあるんか?父さんに言うてみぃ」
「…ゆいね…欲しいものがあるんだけど、お小遣いがなくなっちゃったの…だから、お手伝いして、お小遣いもらおうと思ったの…」結浜はうなだれたまま言いました。
「そうか、そうやったんか…」
「あのね…ゆい、King & Princeが大好きで…チケットとかグッズとかたくさん買っちゃったの…だからお年玉やお小遣いがなくなっちゃったの……ごめんなさい…」
「なんで謝るんや。お小遣いは結浜の好きに使ったらええ。それにな、好きなものがあるってことは幸せなことや。人はな、好きなものや好きな人がいるからがんばれるんやぞ」
「ほんと?」
「そうや!本当やぞ。父さんだってな、お母さんやお前たちのことが大好きやから、仕事も頑張れるんやぞ」
「うん」
「なぁ結浜、お小遣いをあげることや、殿様キングスのチケットやグッズを買うてやるのは父さんには難しいことやあらへん。
でもな、せっかく結浜がお手伝いをして、お小遣いをもらおうと意気込んでいるんやから、ここは何かお手伝いをしてもらうことにしようやないか。な?」
「お父さん、あのね…とのさまじゃなくてKing & Prince…」
「早速やが、うちの会社に来て手伝うてくれへんか?うちの会社はな、お三時に皆でお茶をするのが何や決まりみたいになっとってな。そのお茶とお菓子を出すのを手伝うてくれへんか?」
「いいの?ゆい、お手伝いする!」
「そうか!やってくれるか!じゃあ、今から会社に行こか!」
「うん!あ!お父さん、ちょっと待って。ゆい、少し準備したいんだけど時間ある?」
「ああ、まだ大丈夫や。お三時に間に合うたらええから、慌てんでええよ」
「わかったー!じゃあ、ゆい、ちょっと準備してくるね!」バタバタ…
~ここは永明さんの大きな大きなオフィス~
「永明会長!おかえりなさいませ!」
「あ!結浜お嬢さま、お久しぶりでございます。お元気でしたか?」
オフィスのあちらこちらから挨拶が飛び交いました。
「結浜、皆さんにご挨拶できるか?」
永明にうながされて、結浜は社員さんたちの前に立って挨拶を始めました。
「は…初めまして!結浜です。今日は皆さんのお三時のお手伝いをしに来ました。よろしくお願いします!ドキドキ」
結浜は顔を真っ赤にしながら一生懸命挨拶をし、ペコっとお辞儀をしました。
「初めまして!結浜ちゃん。今日はよろしくお願いしますね!」
「あー!あの赤ちゃんだった結浜ちゃんかぁ!大きなったなぁ!」
ワイワイ ガヤガヤ
「結浜、ご挨拶できて偉かったな ニコニコ」
永明は結浜の顔を見ながら、頭をクシャクシャと撫でました。
結浜はエヘヘと照れ笑いをしました。
「じゃあ、ゆい、お三時の準備するね!」
「あぁ、よろしく頼んだで!」
結浜は早速準備に取りかかりました。
カタカタカタ…コトン…カチャカチャ…コトン…
結浜は花瓶にお花を生けたあと、社員さんたちに紅茶とお菓子をそれぞれのデスクに置いてまわりました。
「まぁ!綺麗なお花ねぇ」
「は…はい。ここに飾ったお花とお紅茶に入れたハーブは、さっき妹の彩浜と一緒にうちのお花畑で摘んできたものです」
「ん~!紅茶に入ってるハーブがとっても良い香り!仕事の疲れが癒されるわー!結浜ちゃん、ありがとう!」
「このクッキーもめっちゃ美味しい!これどこで買えるのかしら?」
「このクッキーは、桜浜おねえちゃまと桃浜おねえちゃまがさっき焼いたものです。おねえちゃま…あ…姉たちに頼めば、また焼いてくれると思います!」
「お姉ちゃまたちの手作りだったのね。今度お願いしようかしら。美味しくって何枚でもいけちゃうわ!」
「この折り紙で作ったつのこう箱に入ってる豆菓子も旨いで!甘いクッキーの後に塩っぱい豆菓子っちゅうのが気ぃきいてるなぁ!結浜ちゃんは素敵なお嫁さんになれるで!」
社員さんたちに思いの外褒められて、結浜は恥ずかしくなって永明の背後にササっと隠れてしまいました。
「なんや?結浜どうした?赤い顔して。あぁ、褒められて照れてもうたんやな ガハハ」
「だってぇ…。素敵なお嫁さんだなんて…はずかしいよぉ」
アハハ 「かいらしなぁ 結浜ちゃんは!」 「ホントねぇ!」ウフフ アハハ ワイワイ ガヤガヤ
社員さんたちは、結浜の可愛らしいお手伝いに和んだのでした。
~ここは再び…浜家の大きなリビング~
「お父さん、結ちゃん、おかえりなさい!」
「おかえりなさい!」
「おかえりなしゃい!」
「二人とも疲れたでしょう。さあさ、座って休みなさいな。今お茶を入れてきますから」
「いやぁ、今日は結浜に手伝うてもろて助かった!ありがとうな、結浜」
「ゆい、お手伝い楽しかったよ!お父さん、ありがとう」
すると、彩浜が永明のそばまでトコトコ歩いてきて、ちょこんと隣に座りました。
「おとうしゃん!ん!ん!」
彩浜は両手を目いっぱい伸ばして、おひな様を永明の目の高さまで掲げています。
「おー!そうか、そうやったな。おひな様も一緒にお花とハーブを摘んでくれたんやったな。彩ちゃん、おひな様、二人ともありがとうな」
永明はそう言うと、彩浜とおひな様の頭を撫でました。
彩浜は満足そうにニコニコしています。
「じゃあ、そろそろお待ちかねのお小遣いを渡すことにしよか!今日は家族皆が協力してくれたんでな、皆に渡すことにしたで!」
「わーい!やったー!」
「私までいいの?」
「ありがとう!」
「おこじゅかい??」
「あら、良いんですか、私にまで」
「もちろん!皆本当に今日はありがとう」
それから永明はもう一つ封筒を出して言いました。
「そして、これは結浜に特別ボーナスや!ようがんばってくれたな」
「わぁ!…お父さん!ありがとう!」
結浜は永明に抱きついてお礼を言いました。
「ゆい、これでね、King & Princeのクリスマスのアクリルオーナメントとスマホスタンド予約するんだ!わーい!わーい!」キャッキャッ
「それにしても懐かしなぁ。いやぁ、まさか結浜が夢中になってるのが殿様キングスとはなぁ。今度一緒に舞台観に行こか ガハハガハハ」
「お父さん…だからそれはね…とのさまじゃなくてKing & Prince…」
「らうちゃん!らうちゃんも懐かしいやろ。な?な?ガハハガハハ」
ワタシハセダイガチガイマスカラ ウフフ ガハハ ワイワイ ガヤガヤ アハハ
永明さんが勘違いに気付くのには、もう少し時間がかかりそうです。
浜家の賑やかな夜はまだまだ続いています。
おしまい
浜家のお話きてたー!ほんとみんな可愛くて
今回も笑ったりほろっときたり、素敵な物語をありがとうございます
素敵なお話来てたー
永明パパやさしいね
最後まで勘違いしてるwww
結ちゃん良かったねぇ!
本当に可愛いお話で、読んでいて思わず顔がほころびました
それにしても殿様キングスwww
今ちょっと心がやさぐれてたので浜家の優しいお話しに癒されました…
ありがとうございます!ありがとうございます!
可愛いお話ありがとシャンでしゅ!
ピキちゃんはおこじゅかいで何買うんかな?たけのこミサイルの補充かなw
らうちゃんの心の声w