梅梅保育園　新しい命-2020/11/29(日)

梅梅保育園　新しい命　１

ここは空の上の梅梅保育園

園長の梅梅先生は副社長を呼びました
ｺﾝｺﾝ♪　小さな手がノックします
「はい、どうぞ」
「園長先生、なあに？」
「副ちゃん、パンダの神様が副ちゃんにお話があるそうです　いってらっしゃい」
「はあい　なんやろな」

そして副ちゃんはパンダの神様のところに行きました
パンダの神様は笑顔で迎えてくれました
「おお、副ちゃんよく来たね」
「はい、ぼく、何か悪いことした？」
「ハッハッハッ、君が少々いたずら好きなのは知っとるがそんなの大したことじゃない　今日は大事な話があるんじゃよ」
「ほっ、話ってなあに？」
「副ちゃん、またお母さんのところに行きたいかい？」
「うんっ、行きたい　母さんがぼくのことを覚えてなくてもあのおうちにまた行きたいの」
「わかった　君の願いをかなえてあげよう」
「ほんと？わあい」
「なにか希望はあるかの？」
「んーと、んーとね、今度は大きくて丈夫な体がいいの」
「ああ、そうじゃの　今度は丈夫で元気いっぱいの男の子で生まれるようにしてあげよう」
「ありがとう、神様」
「ただ、ここでの記憶は消えることになるがいいかの？」
「あっ…」
副ちゃんの頭に梅梅先生、お兄ちゃん、じいじ達の顔が浮かびました
「みんなもぼくのことを忘れてしまうの？」

梅梅保育園　新しい命　２

副ちゃんは不安になって神様に尋ねました
「副ちゃん、心配は無用じゃよ　みんな副ちゃんのことはちゃーんと覚えてるし、忘れないよ　空の上から見守っているよ」
「うん」
「君は強くて賢くていい子だ　わしが保証するじゃよ」
「うん」
「さあ、あまり時間がないから梅梅先生や皆さんに挨拶しておきなさい」
「はあい」

副ちゃんは保育園に戻り、梅梅先生に報告しました
「そう、よかったわね　男の子は久しぶりだし永明さんも良浜も喜ぶわ」
上野のお兄ちゃんやじいじ達も喜んでくれました
「副ちゃんおめでとう」
「よかったのう、永明さん似のイケパン間違いなしじゃ」
「お兄ちゃん、ごめんね　その、ぼくだけ先に…」
「僕のことは大丈夫だよ　僕もいつか行くよ」
お兄ちゃんは自分のことのように喜んでくれました
「そうじゃよ、順番なんて関係ないんじゃよ　それよりしっかり生きていくんじゃよ」
「男の子は少々やんちゃなくらいがいいんじゃよ」
「誰かさんみたいにタイヤを壊したりせんようになガハハ」
「父さん、あれはたまたまじゃよ」

そして出発の時間が迫ってきました
みんなの計らいで副ちゃんと梅梅先生の二人きりになりました
「副ちゃん、うんとかわいがってもらいなさい」
「うん、ばあば、お願いがあるんだけど」
「なあに？」
「お口グルグルしてほしいねん」
「いいわよ　じゃあ抱っこするわね」
「うん」
梅梅先生は副ちゃんを抱き上げるとお口グルグルをはじめました
副ちゃんの体は優しくくるくる回りました
それはゆりかごのようです
副ちゃんは目を閉じてそのまま眠りにつきました

そして、次に聞いたのは
「ようこそ、私のかわいい坊や」
それは懐かしい声なのでした

おわり