浜家の日曜日
~ここは浜家の大きなリビング~
永明さんが日曜日の朝早くから、リビングの隅でガタゴト音をさせています。
何をしているんでしょうか?
おや?結浜が眠そうに目をこすりながらリビングに入ってきましたよ。
「ふわぁ~。お父さん、おはよう。こんなに朝早くから何してるのー?」
「あぁ結浜。おはよう。すまんすまん、起こしてもうたかな?」
「うん。でも桜浜おねえちゃまと桃浜おねえちゃまと彩ちゃんはまだ寝てるよ」
「そうか。結浜だけ起きてもうたんやな。ガハハ」
永明さんは軍手をはずして、結浜の頭を撫でました。
「ここ彩ちゃんのプレイコーナーでしょ?模様替えするの?」
「ああ、楓ちゃんが産院から戻ってきたんでな。楓ちゃんも、ここで遊んだりお昼寝したりするやろ。そやさかい、少し広うして、彩ちゃんと一緒に使えるようにしよう思てるんや」
「そうなんだ!…あ!このお昼寝用のお布団ピンク色でかわいいー!新しくしたんだ。あれ?お布団が三つ??」
「これはな」
そう言うと永明さんは結浜の鼻の頭を指先でチョンチョンと触れ、
「誰かさんのお昼寝用布団や ガハハ」と言いました。
「え?え?これゆいの?ゆいのお昼寝お布団なの?」
「ガハハ そうや。誰かさんは、彩ちゃんが気持ち良さそうにお昼寝しよると、彩ちゃんのお布団にもぐりこんで寝てしまうやろ。そやさかい、結浜と彩ちゃんと楓ちゃんの布団を用意したんや。これでゆったり寝れるやろ ガハハ」
「わー!お父さん大好き!ありがとう!」
そう言って結浜は永明さんに抱きつきました。
ガハハ ガハハ ! テレルガナ
「じゃあ、ゆい模様替えのお手伝いするー!」
「そうか!手伝ってくれるか!こら、はかどりそうやな!」
プレイコーナーにはリビングとは違う色のふかふかの絨毯を敷き詰め、そこに、背の低い本棚と、キャビネット、丸くて広いテーブルを置きました。
背の低い本棚には、彩浜のお気に入りの絵本が、そしてキャビネットの引き出しにはぬりえや画用紙、クレヨンや折り紙がたっぷりと入っています。
丸いテーブルは、彩浜と楓浜二人で画用紙を広げても、まだまだ余裕がありました。
そして、ふかふかの絨毯の上には、小さいクッションをいくつも置いて、子どもたちが転がっても痛くないようにしました。
そろそろ模様替えが終わりそうなころ、
桜浜と桃浜に手を繋がれて彩浜もリビングに入ってきました。
「おはよう、お父さん、結ちゃん」
「ずいぶん早くに起きてたのねぇ」
「おはようでしゅ」
すると、彩浜が模様替えしたことに気付き、
「わぁ!」
と、とっとっとっとプレイコーナーへ走っていきました。
「あ!彩ちゃん、おはよう!どう?プレイコーナーかわいくなったでしょ?」
「おはよう、彩浜。どや?ここで大好きな絵本読んだり、ぬりえさんいっぱいできるやで。ガハハ」
「おはようでしゅ!かわいいでしゅ!ぬりえさんいっぱいするでしゅ!ニコニコ」
桜浜と桃浜もやってきました。
「わぁー!ずいぶん広くなったのねぇ!」
「テーブルも大きいのにしたのね!これなら彩ちゃんと楓ちゃんが一緒にお絵描きしてもまだまだ余裕があるわね」
「私たちも一緒にこのテーブルでおやつ食べられるわね!」
「フフフ 桜浜はやっぱり食いしん坊ねぇ」
「だって、ここからお庭を眺めながら、おいしいスイーツなんて最高じゃない!」
「たしかにそうね!それじゃあ、あとで一緒にスイーツ作ろうか?」
「それいい!あとで私レシピ本持ってくるね!」
桜浜と桃浜がおしゃべりしているそばで、
彩浜は抱っこしていたおひな様を小さな椅子にそっと座らせ、
早速キャビネットの引き出しからぬりえとクレヨンを出して、いそいそとテーブルの上に広げました。
「あらまあ!プレイコーナー模様替えしたの?」
「バブー!」
良浜が楓浜を抱っこして起きてきました。
「ああ!らうちゃん、おはようさん!これだけ広ければ楓ちゃんが飛び跳ねて遊んでもぶつからんやろ ガハハ」
「ほんとねぇ。この子はよく動くから ウフフ」
「バブー!バブー!」ジタバタ
「あら、降りたいの?」
良浜が楓浜をそっと床に下ろすと、楓浜ちゃんは…てちてちてち…ぴょこんぴょこん…とハイハイでプレイコーナーに向かって進んでいきました。
そして、彩浜が座っている低いテーブルに、小さいお手手を振りかぶるようにして、テーブルの上にバチーン!と手を着きました。
そして、もう片方のお手手も振りかぶってバチーン!と手を着き、
それから、両方のお手手にぐぐぐっと力を入れて、テーブルに乗ろうとしています。
「だめでしゅ!ふうちゃん、おつくえに乗んのしちゃいけないでしゅよ」
彩浜はハラハラして言いました。
「ブー!バブー!!」
楓浜はちょっぴり怒ったような顔をして、彩浜の方をジーっと見つめています。
「ふうちゃん、おこってるでしゅか?」
「彩ちゃんに怒ってるんじゃないのよ。
楓ちゃん、テーブルに乗れなかったのが悔しいのね。
少し高いところに上るのが、今、楓ちゃんのお気に入りだから。ウフフ」
「さぁて、朝食のパンケーキを焼くとするかいな。みんな、何枚焼いてほしいか言うてや!ガハハ」
「私3まーい!」
「私は2枚かな」
「えっとね、ゆいは、んー2枚かな」
「さいは、さいは…1まいにするでしゅ」
「よっしゃ!後はらうちゃんとわしの分を焼いて、と。みんな、ちょっと待っとってや!」
「はーい!!!!」
「あなた、私もやりますよ」
「いやいや、らうちゃんは休んどって。楓ちゃんのお世話で疲れてるんやさかい」
「いいんですか?」
「もちろんや!ガハハ ガハハ」
良浜は永明さんの言葉に促されて、ソファに座ってテレビを観ながらゆっくりすることにしました。
パンケーキが焼ける間に、姉妹たち5人はプレイコーナーに集まって遊ぶことにしたようです。
塗り絵するー?
折り紙もいいね!
ワイワイ!キャッキャッ!アハハ!ウフフ!バブー!
しばらくすると、永明さんが焼いているパンケーキの甘い香りがリビングに広がってきました。
アナタ~ノタメニ~マモリ~トオシタ♪オンナ~ノミサオ~~♪フンフン♪
永明さん、ご機嫌で歌っています。
「さあてと、そろそろ焼き上がるで!メイプルシロップとバターと、他に何をトッピングしよか?ホイップクリームとフルーツもええな!みんな甘いの好きやろ?」
「あなた、あなた…」
「ん?らうちゃん、どうしたんや?」
「ほら、あれを見てくださいな」と、良浜はプレイコーナーを指差しました。
永明さんはプレイコーナーに顔を向けると、そこには、
姉妹たち5人が、楓浜と彩浜を真ん中にして、みんなでぎゅうぎゅうに寄り添って眠っている姿がありました。
スヤスヤ グースピー ムニャムニャ
「おやおや、待ちくたびれてもうたかな」
「ふふふ、そのようですね」
永明さんはプレイコーナーで眠っている姉妹たちに、そっと毛布をかけました。
「せっかく焼いてくださったパンケーキ、冷めちゃうわねぇ」
「大丈夫や。わしのパンケーキは温め直しても美味いさかい、いけるで ガハハ」
「そうですね。ウフフ」
「お昼寝布団、三枚じゃあ窮屈そうやなぁ」
「5人で寝るには、そうですねぇ」
「桜浜と桃浜の分も買い足すことにするかいな」
「そうですねぇ、大きいからもうお昼寝はいいかと思ってたけれど、あんなに気持ち良さそうに眠っているのを見たら、そうしてあげましょうかね フフフ」
「今日の午後にでも、買うてくることにしよか ガハハ」
それから、永明さんはキッチンに戻ってコーヒーを淹れ、良浜と二人でソファに座り、コーヒーを飲みながら子どもたちが起きるのをゆっくりと待つことにしました。
子どもたちの幸せそうな寝顔を眺めながら、二人は顔を見合わせて、フフフと笑い合いました。
浜家の日曜日は、ゆったりと時間が流れていきます。
おしまい
ありがとうございます~
いつも素敵なお話ありがとうございます!
素敵な家族
作家さん、ありがとうございます。
コーヒーをいれてゆっくり読みました
あったかくて素敵な家族だなあ
読んでるこちらもあたたかく幸せな気持ちになります
永明さんとても素敵なパパですねラウちゃんウラヤマ
温かいお話ありがとうございます
生きる元気が出ます
永明さんいいですよね
素敵なお話キテタ━♪
元気な楓ちゃんにハラハラする彩ちゃん可愛かったなぁ
浜家の大きなリビングはプレイコーナーを広くしてもなお広々してそうで羨ましいですw
ぜひまたお話お待ちしてます!
ラウちゃん裏山
浜家を書かせていただいた者です
いつも読んでくださり本当にありがとうございます!
特に何か起きるわけでもない話なのですが、
浜家はきっとこんな風に過ごしているのかななどと思いながら書かせていただいております
長いのに読んでいただき、感想まで書いてくださり心からうれしく、また励みにもなっています
またよろしければ書かせていただけたらと思っております