七夕物語~雨のち星空:6話
母ちゃんが東園へ向かっている頃、小雅ちゃんは図書館に向かっていました。
お昼に母ちゃんにお弁当を届けるのですが、それまでは図書館で過ごします。
何となく絵本を読みたくて、久々に「すこやかとしょしつ」へ行きました。
「おはようございます」
「おはよう小雅ちゃん、久しぶりね」
司書のお姉さんに、お昼前に声をかけてもらうようお願いしました。
本に夢中になって時間を忘れがちなので、いつもお願いしているのです。
そんな小雅ちゃんが最初に読む本は、思い出いっぱいの「ぐりとぐら」。
カステラに憧れて、自分の5歳の誕生日に初めてカステラを作りました。
「いつか焼いてあげるって、シャンちゃんと約束したことがあったな…」
うっかり涙がこぼれそうになって、慌ててぱたりと絵本を閉じました。
気分を変えようと、次に手にした絵本は「ヘンゼルとグレーテル」です。
魔法つかいは怖いですが、お菓子の家を見つけるシーンは大好きです。
絵本によって使われているお菓子が違うので、何冊でも読んでしまいます。
「小雅は屋根はチョコ派だけど、シャンちゃんはクッキー派かな?」
またまたシャンシャンを思い出してしまい、慌てて絵本を閉じました。
「食べものから離れよう」
小雅ちゃんは「青い鳥」や「金の斧」など、次から次へと読み続けます。
その様子を見守っていた司書のお姉さんは、心配になって声をかけました。
「小雅ちゃん」
「あっ、時間ですか?」
「ううん違うの」
いつもは、一冊の本をじっくり読み続けるタイプの小雅ちゃんなのです。
「ちょっぴり休憩しない?あっちでお姉さんとお話しようか」
お姉さんは優しい笑顔で手を差しのべて、小雅ちゃんを誘いました。
七夕物語~雨のち星空:7話
「シャンちゃん、お部屋に行く前にママに会いに行く?」
「ママに会いたいでしゅ」
「よーし、じゃあこっちだよー」
リーさんはシャンシャンの両肩に手を置いて、優しく押して誘導しました。
パキッパキッという音が聞こえてきます。ママは起きているようですね。
「シンちゃん!ただい」
「シーッ!」
ママは起きて食べていましたが、シャオシャオとレイレイは寝ています。
シャンシャンとリーさんは、そろりそろりとシンコさんへ近づきました。
「ママ、おはようごじゃいましゅ」
「おはようシャンちゃん」
シャンシャンはリュックを開けて、折り紙のお星さまを取り出しました。
昨日、一番上手に作れたお星さま。小雅ちゃんがほめてくれたお星さまです。
「ママ、おたんじょうびおめでとうでしゅ」
「あらあ綺麗!シャンちゃん、ありがとう」
「えへへ」
「朝ご飯まだよね、一緒に食べましょう」
「あいっ」
シャンシャンはシンコさんにくっついて座りました。ママはいい匂いがします。
「僕も食べよっかな」
「リーくん、あなたは先にお風呂」
「えっ」
「汗びっしょりよ、イヤだわあ」
リーさんはショボーンとしましたが、確かに今のパパはいい匂いがしません。
「シャンちゃん、ついでにお部屋にリュック持ってってあげるね」
「おねがいしましゅ」
双子たちが眠っている間、シャンシャンは久しぶりにママをひとりじめ。
ママと奏でるバキムシャが嬉しくて、半日ぶりに本当の笑顔になりました。
七夕物語~雨のち星空:8話
司書のお姉さんに連れられて、小雅ちゃんは図書館の事務室へやってきました。
母ちゃんが清掃のパートの時に、この部屋で待たせてもらうことがあります。
ひとりで絵本を読んだり、お絵かきしたり。でも今日はお姉さんと一緒です。
お姉さんは気楽な世間話から始めて、徐々に小雅ちゃんの近況を聞き出しました。
「嫌いって言われちゃったのね、それは悲しかったね」
「うん、でも小雅が人参を食べてみてって言ったのが悪いと思うの」
シャンシャンの名前は出していませんが、お姉さんは気づいていました。
(お友だちって、シンコさんちの上のお嬢さんのことよね)
シャンシャンが人参を好まないことは、近所の誰もが知っていることです。
「あれ?ねえ小雅ちゃん」
「なあに?」
「お友だちが嫌いって言ったのは、本当に小雅ちゃんのこと?」
「?」
「人参のことを言ったんじゃないかしら?」
小雅ちゃんは一生懸命、昨日の出来ごとを順番に思い出してみました。
お姉さんの言うように、嫌いという言葉は人参のことかも知れません。
「それでも、小雅ちゃんが悪いことしたなって思うなら」
「うん…」
「勇気を出して、もう一度ごめんなさいって謝ろっか」
「謝りたいけど…会ってくれるかなあ…」
「小雅ちゃん、自分から『帰る』って言ったんだよね?」
「あっ…」
「お友だちは、小雅ちゃんが怒って帰ったと勘違いしているかもよ?」
お姉さんの腕時計がピピッと鳴りました。お昼が近づいていました。
「お友だちに、お手紙を書いてみようかな…」
「うん、良いと思うな」
「お姉さんありがとう、頑張ってみる」
「応援してるからね、仲直りしたら一緒においで」
小雅ちゃんがいつもの笑顔に戻って、お姉さんは心からほっとしました。
うぅ
涙を我慢したら鼻がツンときまちた ゴワゴワ
小雅ちゃんの手芸好きやお菓子作りの手際のよさ、知識はすこやかとしょしつでの読書からきてるんだね
でも今日ばかりはどの絵本取っても上の空
なんて健気でいじらしいんだろう
2人がお互いを思う気持ちが伝わってきてウルウルしてしまいます
早く仲直りできるといいねという気持ちと、ずっとお話を読んでいたい気持ちがせめぎあっています!
続きをありがとシャンです
お互いに気になってるのよね
仲直りできるといい、ううん、絶対できるわよ
ゴワゴワお借りしましゅ
小雅ちゃんと司書のお姉さんのやり取りが気になります!
お姉さんは何かに気付いたんですね
続き楽しみにしています
どの絵本を読んでいても思い出すのはシャンちゃんのこと
本当に仲良しで大好きなんだね
「すこやかとしょしつ」という図書室の名称や「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子のおうちは本によって使われているお菓子が違うことなど、細かい設定や表現もすごくすてきで作家さんすごいなぁと思いながら読ませていただきました
小雅ちゃん、司書のお姉さんにお話聞いてもらえるみたいで良かった
続きも楽しみにしています
シャンちゃん、久々のママひとりじめ嬉しいね
上手に作れたお星様のプレゼントも渡せて良かった
読んでいてこちらまで笑顔になりました
ありがとうございます
お手紙いいね!
シャンもどうしていいかわかんなくて困ってるだろうし
小雅ちゃんも落ち着けたみたいだし
司書のお姉さんありがとう
仲直りは号泣しそう(自分が)
www
アテクシはもう潤々きてます
お互いのことがどれだけ大切か伝わってきて、もー鼻の奥ツーンだよぉ
小雅ちゃんが、「今度シャンちゃんちにお泊まりに行った時折り紙しよう」とセリアでいろいろ考えて買った姿や、スイカの折り紙を作る姿とか
そしてそんな小雅ちゃんが大好きなシャンちゃん
すべてが愛おしすぎる
>>704
ご近所にも広く知れ渡るシャンのニンジン嫌いw
お姉さんのおかげで小雅ちゃんの中の誤解が解けそうだね
それでも自分も悪いことしちゃったって思ってる小雅ちゃんが愛おしくて仕方ない
お手紙作戦きっとうまくいくよ!小雅ちゃんがんばれ!