七夕物語~雨のち星空:15話
東園から帰宅した小雅ちゃんは、とりあえずエアコンをつけました。
エアコンの効率を上げるために、しばらくの間は扇風機も併用します。
「わ゛~れ゛~わ゛~れ゛~わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~」
扇風機に向かって宇宙人の物まねをして、畳の上で大の字になりました。
暑さで少し頭がぼーっとします。でも心がざわざわして落ち着きません。
「七夕、七夕って明後日だ…」
シャンシャンへのお手紙は、今日のうちに清書するつもりでいました。
でもそれをいつ渡そうか、まだそこまでは考えていなかったのでした。
心のざわざわが胸に伝わって、どきどきしてしてきたことを感じます。
小雅ちゃんは大の字で寝転がったまま、体温が下がるのを待ちました。
その頃、シャンシャンはお部屋でママを相手に小暴れしていました。
「いちじかんだけっていったじゃないでしゅかああ!」
「ごめんねシャンちゃん、遅くなっちゃって」
娘をカゲムシャにしたシンコさんは、なんと夕方まで帰らなかったのです。
「お土産どっちがいい?メンチ?コロッケ?」
「りょうほうでしゅ」
「仕方ないわね、じゃあママとはんぶんこね」
「しかたないはシャンのセリフでしゅ」
メンチもコロッケもはんぶんこして、母娘で交互にムシャムシャします。
「そうだシャンちゃん、明後日の夜は小雅ちゃんが来るの」
「えっこまさちゃ…けふっけふっ」
シャンシャンの背中をトントンしながら、シンコさんは話を続けます。
「七夕だから一緒にお素麺を食べましょうって、お誘いしたの」
「そ、そうでしゅか。けふっ」
コロッケを詰まらせたのではなく、ちょっとむせただけのようです。
「明日はパパが竹を割って準備してくれるんですって!楽しみね」
シンコさんはウキウキで、双子たちの待つ部屋へ帰っていきました。
七夕物語~雨のち星空:16話
7月6日、水曜日です。今日は小雅ちゃんは丸一日お留守番となりました。
昨日の帰宅後に水分を取らなかったために、熱中症を起こしかけたのです。
もうすっかり元気なのですが、今日一日は大事をとって安静に過ごします。
母ちゃんは「エアコン消しちゃだめ!」と命じて、お仕事へ出かけました。
「今日こそは、お手紙を書きあげなくっちゃ」
小雅ちゃんは麦茶をゆっくりと飲んでから、ちゃぶ台に向かいました。
ちゃぶ台の上には、カレンダー裏の下書きとレターセットを準備します。
ちゃぶ台の下には、半分に折った画用紙とクレヨンの箱が見えています。
どうやらお手紙を書くだけではなくて、何か工作もするようですね。
同じ頃、シャンシャンはパパと一緒に多摩動物公園へ来ていました。
園内の竹林は涼しくて、ちょっとした避暑旅行の気分を味わえます。
「どうだいシャンちゃん、どの竹が美味しそう?」
「こっちもいいにおいでしゅし、あれもいいでしゅねえ」
「これとあれだね、後で施設係さんに切ってもらおう」
「でもパパ、おそうめんながすためのタケでしゅよね?」
「そうだよ」
「おいしいタケじゃなきゃだめなんでしゅか?」
「うん、後でママが食べるから」
「たべるんでしゅか」
「そう、SDGsというやつです」
「えすでぃーじーず?」
施設係さんが到着するまでの間、父娘はごろんごろんして過ごします。
濃い土の香りが父にとっては懐かしく、娘にとっては新鮮な気分です。
「そうだシャンちゃん、七夕のお願いごとは決まった?」
「うーん、きめてましゅけど…」
「どうしたの?なにか迷ってる?」
「なんていうか、それっておねがいごとかなあっておもうでしゅ…」
シャンシャンのお願いごとは、もちろん小雅ちゃんに関することです。
でも『仲直りしたい』ことは、誰かにお願いすることではない気がします。
仲直りをした上で『ずっとお友だちでいたい』と、お願いしたいのです。
そんなわけで、シャンシャンの短冊はまだ白紙のままだったのでした。
むかし扇風機の前で宇宙人の物まねやったな~w
メンチとコロッケ交互にムシャムシャしてる母娘かわいすぎるw
小雅ちゃん、明後日までドキドキソワソワだと思うけど、絶対上手くいくからお手紙の清書がんばって!
シャンちゃんもコロッケ食べ終えたら仲直りに向けて心の準備開始だね
扇風機の前で宇宙人の物マネする小雅ちゃんかわいい
そのあと大の字になって体温下げながらいろんなこと考えてて…
なんて健気なんだろう
仲直りまでもう少し!
SDGs!
無駄を出さないシンシン素敵!
大変!小雅ちゃん熱中症になりかけちゃったのね
でも大事なかったようで良かったです
いよいよ七夕まであと一日
シャンちゃんの望みどおりの願い事が短冊に書けたらいいね
小雅ちゃんの図工なんだろ
ワクワク