※21話①②とさせて頂きました。(管理人)
七夕物語~雨のち星空:20話
7月7日、今日は七夕の日です。曇ってはいますが雨は大丈夫そうです。
パンダのもりは閉園時間を過ぎてから、改めて賑やかになってきました。
「エッホ!エッホ!エッホ!エッホ!」
威勢の良い掛け声が聞こえてきます。リーさんひとりの声ではありません。
流しそうめんの準備に、なんと東園から応援が駆けつけてくれています。
「リー兄さん!このくらいの高さでいいの?」
「ちょっと高いかな、君たちの頭ひとつ分くらい下げられる?」
「オッケー!」
あうんの呼吸で竹の三脚を組んでいるのは、エゾヒグマのポロくんとポンくん。
今日は初めてシャオシャオとレイレイに会えるので、ウキウキしています。
「リーにい!洗った竹どこに置いとけばいいー?」
「ありがとう!そこに並べていってくれる?」
「りょうかーい」
竹のフシを取り除いて洗ってくれたのは、ホッキョクグマのイコロくんです。
イコロくんは昨夜もパンダのもりへ来て、竹を割るのを手伝ってくれました。
室内ではマレーグマのキョウコさんが指揮を執り、食事の準備が進んでいます。
高齢動物や出産前後の動物たちには、鳥さんたちがデリバリーするそうですよ。
シャンシャンは、シンコさんにりんご柄の浴衣を着付けてもらっています。
「こまさちゃん、きてくれましゅか?」
「6時頃って言ってたから、もうすぐだと思うわ」
「ほんとに、きてくれましゅか?」
「来るわよ、小雅ちゃんはお約束を守る子だもん」
シンコさんはきゅっと帯を整えて、シャンシャンの背中をポンポンしました。
帯のせいなのか何なのか、少しだけ息苦しさを感じるシャンシャンでした。
七夕物語~雨のち星空:21話-①
小雅ちゃんと母ちゃんは、今日は東園パンダ舎で待ちあわせをしていました。
空調設備の試運転中の涼しいお部屋で、小雅ちゃんの浴衣の着付けをします。
浴衣の柄は朝顔で、これは珍々軒の女将さんから母ちゃんがいただいたもの。
そのため少し古風なデザインですが、小雅ちゃんを大人っぽく見せています。
「帯はきつくないかい?少し動いてごらん」
「うん、大丈夫!ありがとう母ちゃん」
「もうすぐ約束の時間だね、そろそろ行こうか」
「うん」
小雅ちゃんは着崩れないように小さく屈んで、ポシェットを手に取りました。
そしてもうひとつ。頑張って描いた絵本の入った紙袋を、小脇に抱えました。
パンダ舎を出ると、周辺の動物たちも西園を目指して歩いています。
会話に耳を傾けると、パンダのもり周辺で七夕まつりが開催されるようです。
「母ちゃん、今夜はお祭りなの?」
「さあねえ、そういう話は聞かなかったけどねえ」
いそっぷ橋が見えてきました。動物たちで混雑していて、なかなか先へ進めません。
約束の時間には余裕があるのですが、小雅ちゃん自身は余裕がなくなってきました。
パンダのもりで小雅ちゃんを待つシャンシャンも、うろうろと落ち着きません。
そこへ流しそうめんの準備を終えたクマメンズが、休憩のため戻ってきました。
「あっパパ!こまさちゃんきまちたか?」
「いやあまだ見てないけど、もうそろそろかな?」
「そうでしゅか」
「今日は東園からこっちへ来るって聞いているよ」
父娘の会話を聞いていたイコロさんが、シャンシャンに声をかけました。
「お友だちが東園から来るの?遅くなるかもしれないよ」
「え、どうしてでしゅか?」
「うちの奥さんもこっちに向かってるんだけど、橋が渋滞してるって」
イコロさんは奥さんからのラインを見せてくれました。渋滞の写真つきです。
「うわあ、想像以上に大規模な祭りになっちゃったなあ」
「…シャン、おそとでこまさちゃんをまちましゅ!」
浴衣姿とは思えない俊敏さで、シャンシャンはお外へ飛び出して行きました。
熊仲間総出でお手伝いしてくれてるー!w
シャンちゃんのりんご柄の浴衣姿可愛いだろうなぁ
もうすぐ小雅ちゃんに会えるね、ドキドキだね!
ドキドキしてきまちたよ
> 高齢動物や出産前後の動物たちには、鳥さんたちがデリバリーするそうですよ。
素敵な配慮だなぁ
上野動物園のみんなが楽しめるようにするんだね
今からワクワクドキドキしてましゅ
きたーー!おりんご柄の浴衣!
かっわいいんだろうなー
小雅ちゃんが来てくれるかのドキドキで帯が少し息苦しいんだね
賑やかな七夕になりそう
いよいよ小雅ちゃんがパンダのもりへ…!
渋滞でなかなか進めないじれったさや緊張感、いてもたってもいられずお外へ飛び出したシャンちゃんのソワソワ落ち着かない気持ち、どちらもすごく伝わってきてこちらまでドキドキです…
たくさんの人々の隙間から、浴衣を着て首を伸ばして小雅ちゃんを探してるシャンちゃんの姿が見えるようです
「ごめんね」って素直に言えるといいな
小雅ちゃん親子だけでなく、園のみんなも来たり鳥さんのデリバリーがとっても嬉しい!
小雅ちゃんとシャンのソワソワする気持ちが伝わってきます
周りの大人達も素敵だなあ
七夕物語~雨のち星空:21話-②
小雅ちゃんと母ちゃんが橋を渡り始めた時、上空から声が聞こえました。
「あれ?小雅ちゃん?」
声の主はスマートに舞い降りて、小雅ちゃんを見つめて小首を傾げます。
小雅ちゃんも、相手の長い睫毛と長い足に見覚えがあるような気がします。
「はい、小雅です…?」
「そうだよね、コトちゃんのところへ遊びに来ていた小雅ちゃんだ」
「あ!パックンチョくん!」
相手は東武動物公園から最近お引っ越ししてきた、ヘビクイワシでした。
小雅ちゃんと同い年で、何度か楽しくおしゃべりをしたことがあります。
「パンダのもりへ行くの?」
「そうなの、でもなかなか進めなくて」
「そうかあ」
パックンチョくんは長い足でタンっと地面を蹴り、再び舞い上がりました。
そして橋の上を大きく旋回しながら、橋の上の動物たちに呼びかけました。
「みんな!あのパンダさんたちを先に行かせてあげてくれないかな!」
動物たちは一斉に振り返り、視線が小雅ちゃんと母ちゃんに集まりました。
シャンシャンの友だちだ!珍々軒の店員さんだ!などと声が聞こえてきます。
動物たちが続々と橋の端へと体を寄せ合い、小雅ちゃんを優先してくれます。
パックンチョくんはバチンとウィンクして、一足先に西園へ飛んで行きました。
「ありがとうパックンチョくん!皆さんもありがとうございます!」
小雅ちゃんはぺこりとおじぎして、浴衣の裾に気をつけつつ駆けだしました。
パックンチョくんのこと知らなかったのですが、オレンジ色のお顔と長~い脚がすてきなワシさんなんですね
パックンチョくんのおかげで道を空けてもらった小雅ちゃん、シャンちゃんが待つパンダのもりまでもうすぐだね
下り坂だから転ばないよう気をつけて!
あぁー、徐々に二人が近づいてきていてワクワクドキドキするー!!
コトちゃんにもつながってたんだ!
コトちゃんの名前だけでも登場がうれしい
七夕祭りの上野動物園行ってみたいなぁ
続きを楽しみにしています!