クマの丘のリレークッキング1話〜3話-2022/09/15(木)

クマの丘のリレークッキング 2話

「キョウコおばちゃん！こんにちは！」
「まあいらっしゃい！小雅ちゃんも来てくれたんだね」
「こんにちはキョウコさん、材料を揃えてきましたよ」
「ありがとう小Ｙさん。さあさあ、まずは涼んでちょうだいな」

９月も半ばを過ぎたというのに、まだ日中は残暑の厳しい東京です。
キョウコさんは冷蔵庫から、麦茶とところてんを出してくれました。
近所の甘味処のところてんです。酢醤油でさっぱりといただきます。

「そうだキョウコさん、今日の役割分担なんですけど」
「そうね、決めておきましょうか」
「火を扱うのは私でもいいですか？煮卵を教わりたくて」
「いいけど暑いわよ？パンダさんにはつらくないかしら」
「大丈夫ですよ、珍々軒で鍛えてますから」
「そう言えばそうね、じゃあお願いするわね」

小雅ちゃんの「ごちそうさまでした」を合図に、調理スタートです。
さっそく小Ｙさんは鍋にお湯を沸かして、茹で卵と煮汁の準備から。
小雅ちゃんとキョウコさんは、じゃがいもの芽を取り皮をむきます。

「上手ね小雅ちゃん、ちゃんとお母さんのお手伝いしている証拠」
「うーん、でもデコボコのじゃがいもは下手っぴなんです」
「むきにくいのは半分に切っちゃえばいいのよ」
「こうですか？」

ぱこん。

「ほんとだ！むきやすくなりました！」
「どうせ潰すんだから、無理して丸ごとむかなくてもいいのよ」
「キョウコさん、煮汁の味を見てもらえますか？」
「はーい。…うん、お醤油もうひと回ししましょ」

ここのところのぶり返しの暑さで、少しお疲れ気味だったキョウコさん。
今日は火元を小Ｙさんに任せて、小雅ちゃんとの会話を楽しんでいます。

（明日以降に続く）

クマの丘のリレークッキング 3話

煮卵の仕込みが終わり、今度は大量のじゃがいもを蒸していきます。
道具を準備をしていると、ふたりのツキノワグマさんがやってきました。

「キョウコママ！とうもろこし茹でたけど食べる？」
「あら？煮卵を作ってるの？うーんいい匂いだわー」

ツキノワグマのクーさんとウタさんは、キョウコさんの娘のような存在。
彼女たちは最近のキョウコさんの体調を心配し、お見舞いに来たのです。

「お客さまなの？やだ、うるさくしちゃって恥ずかしいわ」
「こんにちはクーさんウタさん、お噂はかねがね」
「小Ｙさんですよね！お会いしたかったんですよ」

小Ｙさんとクーさんは（推定）同世代、自然と会話が盛りあがります。
キョウコさんはにっこり笑ってから、ぱんぱんっと手を鳴らしました。

「はいはい、小Ｙさんはじゃがいもに取りかかってくれるかしら？」
「あっ！はい！」
「クーちゃんは、そのとうもろこしを2～3本ばらしてちょうだいな」
「いいけど、ばらしてどうするの？」
「コーン入りのコロッケにしましょ」

小Ｙさんとクーさんは顔を見合わせて、てきぱきと作業を始めました。

「ウタちゃんと小雅ちゃんは、こちらへいらっしゃい」
「はーい？」
「コロッケを丸めるのはふたりにお願いするから、説明しておくわね」
「はーい！」

室内の温度と湿度が上がってきました。小Ｙさんはじゃがいもを蒸します。
クーさんは蒸しあがったじゃがいもをつぶして、とうもろこしを混ぜます。
ここから小雅ちゃんとウタさんの出番です。

「熱いから気をつけてね」
「はーい！」

まあるくしてぎゅっ。まあるくしてぎゅっ。小判型のコロッケです。
ちょっぴりコツのいる俵型は、キョウコさんが作っていきます。
こうして５人で連携して、たくさんのコロッケの準備ができました。

（明日以降に続く）