クマの丘のリレークッキング 7話
すべてのコロッケが揚がりました。小Yさんとクーさんは、軽く放心中です。
キョウコさんが運んでくれた冷たい麦茶に、なかなか手が伸びないほどです。
「お姉ちゃんたち、大丈夫かなあ…」
「あんな母ちゃん初めて見たかも…」
小雅ちゃんとウタさんの手が止まりかけた時、外から声が聞こえてきました。
威勢の良い掛け声に、何やらキャッキャと楽しげな声も混ざっています。
「エッホ!エッホ!」
「エッホ!エッホ!」
「危ないから乗り出さない!」
「あーい!エッホ!エッホ!」
「とうちゃーく!」
小雅ちゃんとウタさんは完全に手を止めて、何事かと顔を見合わせました。
小Yさんとクーさんは耳だけ外に向けますが、テーブルに突っ伏したまま。
「あら、ずいぶん早く助っ人さんが来たわね」
キョウコさんはクスクスと笑いながら、玄関の扉を大きく開けました。
「こんにちは!おてつだいにきまちたよ」
「はーいこんにちは!来てくれてありがとうね」
声の主にすぐにピンと来た小雅ちゃんは、大慌てで玄関へ駆けつけました。
外にはリヤカーが2台、その片方にシャオシャオとレイレイが乗っています。
リヤカーを引いてやって来たのは、なんとシャンシャンとリーさんでした。
キョウコさんがシンコさんへ電話して、デリバリーの助っ人を頼んだのです。
「シャンちゃーん!」
「こまさちゃーん!」
ハグをすると、シャンシャンの鼻が美味しい匂いをキャッチしました。
「こまさちゃん、いいにおいでしゅ」
「ふふふー、コロッケの匂い?煮卵の匂い?」
「りょうほうでしゅ!」
朝から末っ子役だった小雅ちゃんが、急にお姉さんの顔になりました。
(月曜日『くらい』に続く)
クマの丘のリレークッキング 8話
「さっそくだけどリーさん、ご長寿リストを渡しておくわ」
「えーと、これが東園でこっちが西園ですね」
キョウコさんから手渡されたのは、コロッケと煮卵の配達先のリストです。
リーさんは園のマップを頭の中で広げて、ルート順を書き込んでいきます。
ウタさんはシャンシャンと小雅ちゃんに指示を出して、改めて役割分担です。
まだ年長ふたりがぐったりしているので、ウタさんが仕切ってくれています。
「残りは私が箱に詰めるから、ふたりはリヤカーに積んでくれる?」
「はーい!シャンちゃん、私たちもリストを見せてもらお」
「あいっ!ひがしはシャンにまかせてくだしゃい」
「シャオくんとレイちゃんは、ここでしばらくお座りしていてね」
「あーい」
いつも末っ子役のウタさんが、お姉さんの役目をしっかり果たしています。
その姿に目頭を熱くしたキョウコさんは、誰にともなく小さく頷きました。
「おチビちゃんたちに、絵本を読んであげようかね」
キョウコさんは押入れを開けて、下段の奥から木箱を引っ張り出しました。
木箱の中にはいくつかのおもちゃ、そして数冊の絵本が納められています。
「ねえウタちゃん、おチビちゃんたちには“ぐりとぐら”がいいかねえ」
「うわあっ懐かしい!いつもママが読んでくれたなあ」
「この絵本はね、元々は私の娘のマチが読んでたのよ」
「え?そうなの?」
「マチが読んでクーちゃんが読んでエゾフタゴが読んで、そしてウタちゃん」
「え?」
「ずっとね、このクマたちの丘をリレーしてきた絵本なんだよ」
「‥それは知らなかったわ」
「交代しましょウタちゃん、おチビちゃんたちに読み聞かせをしてあげて」
キョウコさんはウタさんの手からトングを取り、絵本を渡しました。
(月曜日以降に続く)
ワイワイさん申し訳ありません、お手数おかけいたします
エラーになるのでアンカー付けられず…
↓
520 1話
564 2話
576 3話
605 4話
635 5話
692 6話
※梨さんお気遣いありがとうございます。
まとめ作業に関してはアンカーなくても大丈夫ですよ👌(わいわい)
梨さん、続き嬉しいです
リレークッキングという言葉でいろんな情景が浮かんできました
これから頼もしく鼻のきくw助っ人たちが加わってますます賑やかで楽しいことになりそう
続きも楽しみです
梨さん続きをありがとシャンです
頼もしい助っ人達が来てくれましたね
さすがシャン、鼻が効いてますねw
素敵なタイトルもついて、続きが楽しみです
シャンちゃんもリヤカー引いたんだw
素敵なタイトルに決まりましたね
疲れきった描写がとってもリアルw
小Yさんクーさん本当にお疲れさまでした
賑やかな助っ人の登場で楽しいデリバリーになりそう
続きが楽しみです
続ききてたー!
疲れきった小雅ママとクーさんが外の賑やかな声に耳だけ向けたとこ好きw
そしてシャンちゃんの立派なお鼻はやはり伊達じゃありませんでしたねw
とても素敵なタイトルでますます続きが楽しみです
大好きなクマの丘の子たちの話が聞けて嬉しい
クーさんの後にポンポロがやってきたのですねー
絵本が大事にリレーされててほっこりしました
いつも続きを楽しみにしています
ごめんなさい、クーちゃんとポンくんポロくん産まれ順で書いています
来園順だとポンくんポロくん方が早いかも知れません
>>971
優しい時間にほっこりしました
続きも楽しみにしてます
>>971
クマたちの丘の子どもたちが親しんできた絵本のリレー素敵だなぁ
マチちゃんから始まり、今シャオレイに渡ったんだと思うとなんとも感動的です
さぁ、このあとはリヤカー部隊の活躍に期待ですね
続きも楽しみにしております
「ぐりとぐら」は今までもこれからもずっと子どもたちの大好きな絵本であり続けるでしょう
いよいよコロッケ煮たまごお届け隊の出番ですね
訪問先の皆さんの反応が楽しみです