クマの丘のリレークッキング 11話
「ありがとうシャンちゃんリーくん、キョウコさんによろしくね」
「あい!こまったことがあったらシャンにれんらくしてくだしゃい」
シャンシャンとリーさんは、旧正門付近から反時計回りで配達をしました。
ご長寿さんの他に、医療センターで健康診断中の動物たちとも会えました。
そのため予定よりも時間がかかりましたが、これですべての配達完了です。
「シャンちゃん疲れてない?リヤカーに乗ってもいいよ」
「のってみたいけど…ゆれましゅよねえ…?」
「パパちょっと寄りたい場所があるんだ。すぐそこだし乗ってみる?」
「うーん、じゃあちょびっとだけ」
「怖くなったり気持ち悪くなったりしたら、すぐにパパに言うんだよ」
ごろごろごろごろ。できるだけ揺らさないように、リーさんはゆっくり歩きます。
シャンシャンが赤ちゃんの頃は、休園日に貸出用ベビーカーで散歩したものです。
ベビーカーとリヤカーの違いはあれど、シャンシャンの重みが伝わってきます。
「大きくなったねえシャンちゃん」
「おもたくなったといういみでしゅか」
「いやあ、まあ。うん」
「でもまだ“おおだい”にのってないっていわれるんでしゅ」
「そうかあ。でも元気で過ごしているんだから、それでいいんだよ」
「パパがそういうなら、あんしんしまちた」
ごろごろごろごろ。シャンシャンとリーさんは、旧正門付近まで戻ってきました。
「着いたよシャンちゃん、気分は悪くない?」
「だいじょうぶでしゅ。やっぱりここだったんでしゅね」
「うん、しばらく来られなかったから」
シャンシャンはリーさんに手を借りて、リヤカーからぴょんと降りました。
少し風が出てきたようです。周囲の木々や折り鶴が、静かに揺れています。
父娘は手をつないだまま、ブロンズ製のリボンとフクロウに一礼しました。
「よし、それじゃあキョウコさんのお家へ戻ろう」
「あいっ!きっとこまさちゃんがまってましゅ!」
キョウコさんのお家はすぐそこです。シャンシャンは元気よく駆け出しました。
(明日以降へ続く)
クマの丘のリレークッキング 12話
がらがらがらがら。リヤカーの音が聞こえて、小雅ちゃんがパッと笑顔になりました。
なかなか帰ってこないシャンシャンとリーさんを、外に出て待ってくれていたのです。
「シャンちゃん!おじちゃん!お帰りなさい」
「ただいまでしゅー!」
「遅くなっちゃったけど、うちの双子たちは大丈夫だった?」
「あ、レイちゃんがちょっとだけ泣いちゃいました」
「ええっ!」
キョウコさんのお家の中からは、とても楽しそうな笑い声が聞こえてきますが…?
「実は、ポン兄ちゃんとポロ兄ちゃんが」
小雅ちゃんの話によると、エゾフタゴはシャオレイのために寸劇をしたそうです。
3びきのくまという童話の、大・中・小のくまをエゾフタゴが交代で演じました。
(ちなみに人間の女の子の役はクーさん、ナレーターは小Yさんでした。)
エゾヒグマの迫力の巨体!ダイナミックな演技!シャオシャオは大興奮でした。
しかしレイレイは途中から混乱してしまい、ぐすんぐすんと泣き始めたのです。
「レイちゃんどうしたの?怖かった?」
小Yさんがレイレイを抱きあげました。エゾフタゴはオロオロしています。
「ぐすっ…おにいしゃんたち、ごめんなしゃい…」
「うん?」
「レイね、おっきいくましゃんしかわかんないの…」
「んん?」
「ちゅうくらいのくましゃんと、ちいしゃいくましゃんが、わかりましぇん…」
声色を変えたり膝を曲げたりと、2人で3役を頑張って演じたエゾフタゴでした。
しかしレイレイの目には、それは大きな3びきのくまにしか見えなかったのです。
それで物語についていけなくなり、シャオシャオが何を笑っているのか分からず。
悲しくなったレイレイが泣きだしてしまった…というのが、一連の流れでした。
「でもほら、もう今は楽しく遊んでますよ」
小雅ちゃんが玄関を開けて、お家の中を指さしました。
「…なにをしているんでしゅかね?」
エゾフタゴがシャオレイに、無言で大きなお尻を突き出しています。
リーさんはシャンシャンに言葉を返せず、両目をクシクシしました。
(月曜日以降に続く。皆さんありがとうございます!)
>>111
苦手な方がいらっしゃいましたら、ごめんなさい
11話はスルーして餃子をお召しあがりいただけたらと思います
実は今回の登場動物の母親(他園在住)が、近ごろ亡くなっていまして
しかしながら前スレで、お悔やみについてのご意見が出ていましたので
直接そういうことに触れないよう気をつけつつ、この11話を挟んだ次第です
(台風の前に動物慰霊祭が行われたということもあり…)
12話からキョウコさんのお家に戻ります
大きな双子と小さな双子が、わちゃわちゃすると思います
ベビバブ言葉が難しくて、時間がかかるかも知れません
頑張ってみます
素敵なお話ありがとうございます ゴワゴワ
双子のわちゃわちゃも楽しみに待ってますね
>>112
梨さん、素敵なお話をありがとうございます
リーちゃんがエッホエッホとリヤカーを引く姿が思い浮かびました
慰霊碑は場所はわかっていても素通りしてるので、今度行ったときはちゃんと挨拶しますね
またお話の続きを楽しみにしてます
シャンちゃん、ガタゴト揺れるのちょっと苦手だもんねw
リーパパとの体重のやり取りは可愛らしくてほっこりしました
そして心優しいリーちゃんの寄りたかった場所がわかった時は少し涙が出そうになりました
これからはシャンちゃんもここを通りかかる時、パパとお祈りしたことを思い出してペコッて一礼するようになるのかな…なんて想像しました
この先の双子同士のわちゃわちゃ展開もとても楽しみです!
リボンの慰霊碑に手を繋いで一礼したところでウルウルしました
少し大きくなった娘をリヤカーに乗せたのは昔を思い出したかったからかな
いろんな作家さんの描いた小さいシャンちゃんとパパのエピソードが蘇ってきて鼻の奥がツーンとなりました
どんまいエゾフタゴw
二人が楽しませようとしたのはレイちゃんに伝わってるよ
それにしても今は何の遊びをしているの?w
>>133
ありがとうございます
3びきのくまの劇で子どもが混乱して泣いたのは、実話なんです(演じたのはお相撲さんたち)
その後の遊びは元々「おままごと」の予定でしたが、ワイワイさんの新着を読んで変更しました
よろしければ週明けに、続きをお読みいただければと思います
理解できないもどかしさに泣いちゃうあたりレイちゃんの聡明さが表れてるなぁって思いまちた
ポンポロ兄弟はお尻突き出して一体何を…w
ポンポロくんたちが3役一生懸命演じてて優しい
でも大きいくましゃんしかわからなくて泣いちゃうレイちゃんもかわいい
シャンちゃんとリーパパが見た場面はなにかな?
続き楽しみです
混乱して泣いちゃったレイちゃんがかわいくてキュン
お兄ちゃんズどんまいw