ポムポム上野 大人への階段を昇るだけ【1】〜【4】2023/01/27(金)

ポムポム上野
大人への階段を昇るだけ【１】

「プミ子さぁ～ん！遅れるわよぉ～！」
今日も所長は元気だ。ゴハンが美味い。

お正月明けからとても忙しいプミ子。
東の長屋のカリスマお嬢の果てしない待機列に、おでんや甘酒を販売する
ピキ美ちゃんのお手伝い、待ち疲れた子供たちへのお声掛け、更にはおトイレに
行きたいお家の人に代わって、子供と一緒に待機列に並ぶお手伝いなど、寒い中
大車輪の活躍だった。

この頃は結露の激しい窓を時々こっそり拭きに行くなど、通常業務以外のお仕事も忙しい。

そんなわけで、所長ともゆっくりお話をする余裕がない。

ポムポム上野
大人への階段を昇るだけ【2】

ベビバブちゃんも独立に向けて進み出したようだ。
「いつまでもちちくしゃいと思っていまちたが、じりつするんでしゅねｼﾐｼﾞﾐｼｼﾞﾐ」
窓拭きの間、カリスマお嬢はそう言います。

プミ子は、とても仲良くなれたこのカリスマお嬢と交わす短い会話がとても楽しみで毎日頑張っている。カリスマお嬢は時間を見つけては、プミピキ断捨離サービスに来てもらい、荷物を整理し始めている。先日はプミ子に自分のまだ使っていないニーハイソックスをプレゼントしてくれた。今度お揃いで履こうね！と言葉を添えて。

もうすぐ婚活の旅に出かけるというカリスマお嬢、マッチングアプリで良いメンズをゲットするのを楽しみにしているようだ。流石カリスマ、スケールが違うとプミ子はびっくり！

ポムポム上野
大人への階段を昇るだけ【3】

１日を終え、事務所に戻ってきた。
「・・・。」
何やら思いを巡らすプミ子。
「お疲れ様～、今日も寒い中ありがとうね。」
背後から所長が出現、美味しそうな肉まんを食べながら。
「はい、おひとつどうぞ」

「所長、私決めました！」
手渡された肉まんを一口頬張ってプミ子は言います。

この数か月、多岐にわたる仕事をこなしながら今後のことを考えていた。そろそろ自分もステップアップが必要な時期なのでは？と。もっと沢山の人たちと触れ合うことのできる仕事もしてみたい。そう考えて、自分に何ができるかをずっと考えていた。そんな中、海外の渡航制限も緩和された。今まで見たことのない景色を見ることもできるようになった。カリスマお嬢もその流れで出かけていく。

ポムポム上野
大人への階段を昇るだけ【4】

「海外の幼稚園で働いてみたいんです！」

突然の告白に驚く所長。でも、すぐににっこりまぁるい笑顔。
「いいじゃない！素敵な挑戦ね」
「え、いいんですか？」
「いいも何も、プミ子さんの人生よ」
「ちゃんと考えて出した結論なのか、自分でも不安なんです。忙しい中、現実逃避で言い出したことではないのは確かです。それでも本当に正しいことなのか…」
「いいじゃない、やってみなさいよ。それでもしダメなら方向転換すれば良いのよ？プミ子さんまだまだ若いんだから。それに今までよその国に出ることもままならない不便な世の中だったんだもの、今がチャンスよ」
「所長…」
「何かあったなら、なくてもいいわ、また戻って来てね。待っているわ、ずっと、ここで」

もうすぐ（？）春です。今年ほど春が来ないでほしいと願った年はありません。
桜が咲くころ、カリスマお嬢は、プミ子さんは、そして私たちわいわいタウン住人はどうしているでしょう。また、こうしてここで会えますように…いえ、お会いしましょう。必ず。

じゃあね
そっと　手を　振って
じゃあね　じゃあね
だめよ　泣いたりしちゃ
ああ　いつまでも
私達は　振り向けば　ほら　友達