(書き込めますように…)
クマの丘のリレークッキング ~番外編1:雪氷とけて~
休園日の上野動物園。東園の中央の一角が、何故か朝早くから賑わっています。
もう皆さんはお気づきですね。そうです、ここはキョウコさんのお宅のお台所。
おなじみの小Yさん小雅ちゃん母娘に、ツキノワグマのクーさんとウタちゃん。
そして今回は、エゾフタゴことポンくんポロくんまで台所に立っているのです。
「ねえ小Yさん、お出汁の味はこんなもんかしら?」
「クーねえちゃん!梅の型抜きもういっこあるー?」
「水めっちゃ冷てーっ!俺も買い出しが良かった!」
「エゾヒグマのくせに水が冷たいとか言わないの!」
キョウコさんは若者たちの騒ぎを聴きながら、紙製の重箱を組み立てています。
小さな重箱は高齢の動物たちや、赤ちゃんのいる動物たちへのおすそ分け用に。
大きな重箱は贈りもの。丁寧に組み立てて、すっすっと仕切り板を配置します。
キョウコさんは組み立てながら、箱のデザインのシンプルさが気になりました。
「そうだ小雅ちゃん、手が空いたら手伝ってくれる?」
「あ、はーい!」
絹さやの筋取りをしていた小雅ちゃんは、振り向いて元気にお返事しました。
「小雅ちゃん、こっちは大丈夫だからキョウコママ手伝ってあげて」
型抜きした人参を飾り切りしていたウタちゃんが、小雅ちゃんを促しました。
小雅ちゃんは大きく頷いて、手を洗ってキョウコさんのもとへ駆けつけます。
「ありがとう小雅ちゃん、その棚の赤い箱を取ってくれる?届くかしら?」
「はい!よいしょっ!」
小雅ちゃんが背伸びして取った赤い箱は、折り紙や千代紙が詰まっていました。
「千代紙すごくきれい…」
「これを使ってね、お重のフタに飾りつけしましょ」
「わあ!小雅こういうの大好きです!」
大賑わいの台所の隣の部屋で、うきうきと工作に取りかかる小雅ちゃんでした。
>>150
クマの丘のリレークッキング ~番外編2:囀をこぼさじと~
外から軽トラックのエンジン音、続いてドアをバンッと閉じる音が聞こえました。
エゾフタゴが羨ましがった買い出し組の、ホッキョクグマ夫妻が帰ってきました。
「ただいまー!思いのほか遅くなっちゃったな」
「イコロくんが勝手に浅草まで行っちゃうから」
「でも行って良かっただろ?」
イコロさんとデアさんがエコバッグから取り出したのは、桜もちなどの和菓子。
そして「これが重たかったんだ」と、最後にお赤飯のパックを取り出しました。
「あら、お赤飯の容器が変わったんですね」
「そうそう、電子レンジ対応になったらしいですよ」
「浅草だったら頼みたいもんがあったんだけどなあ」
「ああ、北海道のアンテナショップがあるんだよね」
台所組はついつい手を休め、買い出し組が買ってきたものに夢中になっています。
小雅ちゃんはハサミを動かしつつも、さっきから両耳がうずうずと動いています。
キョウコさんは壁の古時計を見上げましたが、まだまだランチには早すぎる時間。
しかしみんな早朝から動き回っていますので、そろそろ小休憩のタイミングです。
「はいはいあんたたち、その辺を軽く片づけてちょうだい。お茶にしましょ」
「そうですね、じゃあとりあえずお湯を沸かしますね」
「あっ母ちゃん!小雅がやるよ」
「そうかい?ありがとう、先に手を洗っておいで」
「ウタちゃん、人参のカケラはこのタッパーに集めて」
「はーい。集めてどうするの?」
「楽しみにしてて、後でサツマイモと一緒に煮るから」
「ポロ、手分けしてラップかぶせていこうぜ」
「オッケー、じゃあ俺はこっち側から行くわ」
「あ、俺は軽トラを返しに行かなきゃ」
「気をつけてね、私ここに残ってお茶の準備をするわ」
こういう時に自然に役割分担ができるのは、日ごろのキョウコさんの指導の賜物。
小雅ちゃんと小Yさんも、母娘のチームワークでテキパキと素晴らしい動きです。
「この調子なら3時頃にはお重に詰められそうだわね」
キョウコさんは再び古時計を見上げて、ひとりでコクコクと頷いて微笑みました。
>>162
クマの丘のリレークッキング ~番外編3:萌えいづる春~
みんなのチームワークとキョウコさんのタイムマネジメントで、料理は着々と進みました。
早すぎることも遅すぎることもなく、目標にしていた3時から重箱への盛りつけスタート。
(ちなみにランチには、イコロさんの故郷の動物園ラーメンを美味しくいただきました。)
重箱に詰めるのは春の香りのちらし寿司。少しだけ早いですが、ひな祭りの贈りものです。
ぴかぴかの酢飯を敷き詰めるのは、エゾヒグマのポンくんとポロくん。
「ポン、あんまりぎゅうぎゅうにするなよ」
「いっけね、これじゃ箸が刺さらないよな」
錦糸玉子と桜でんぶを散らすのは、ホッキョクグマのイコロさんとデアさん。
「イコロくん、その辺もうちょっと薄いほうがいいわ」
「こんな感じ?なかなか難しいな、でもすごく綺麗だ」
具材をのせるは、ツキノワグマのクーさんとジャイアントパンダの小Yさん。
甘辛く煮た根菜類の他にも、春野菜の天ぷらなどのおかずも添えていきます。
「ねえ小Yさん、椎茸はもう少し薄く切っても良かったかしら?」
「私はこれで良かったと思うわ、とてもふっくらと煮えてるもの」
飾り切りの人参や蓮根を添えて蓋を閉じるのは、ツキノワグマのウタさん。
重箱に和菓子を添えて袋へ詰めるのは、ジャイアントパンダの小雅ちゃん。
この二人は「はいっ!」「はいっ!」と掛け合い、まるで職人さんのよう。
エゾフタゴは「俺らよりも双子っぽい連携プレー!」と、感心しています。
アンカーはマレーグマのキョウコさん。袋ひとつひとつに、一筆箋を入れます。
薄桃色の一筆箋には流れるような美しい文字で、こう書き添えられていました。
「明日まで気温やや高し、お早めに召しあがれ」
梨男さんだ!おかえりなさい!
番外編嬉しいです
今回はお重に詰めるお料理を作ってるのかな?
続きも楽しみにしてますね
今度はどんな美味しいものができるんでしょう。
小雅ちゃんの飾りつけ、きっとまた一生懸命に頑張るんでしょうね。可愛いなぁ。
これからどんな展開になっていくのか、楽しみです。
梨男さん、おかえりなさい
書き込めてますよーーー
リレークッキングの番外編、とても嬉しいです
小雅ちゃんはじめ登場する子たちの仕草がとにかくかわいく表現されていて梨男さんのお話大好きです
続き楽しみです
今回はエラーが怖いので短めにいきます。
今昔さんの物語の合間にお楽しみいただけると幸いです
今昔さん、梨男さん、お話ありがとシャンです
続きを楽しみにしてます
いつもながら情景が目に浮かんで
ニコニコしながら読みまちた
続きも楽しみにしてますね
リレークッキングの続きもきてたー!
無駄なくテキパキ立ち働くみんなの様子は読んでいて気持ちがいいほど
両耳うずうずの小雅ちゃんも可愛いw
小休憩のティータイムもこの顔ぶれだと賑やかで楽しそうだな
この先のお話も楽しみです
少し早いひな祭りの贈りもの…
なるほど、そういうことだったのですね
ちらし寿司はもちろん、根菜類の煮物も春野菜の天ぷらも美味しそうでこんな時間にお腹がすいてきてしまいましたw
このあともチームワーク抜群のみんなの活躍が楽しみです
長い!と怒られなければ次回で終わり、怒られたら残り2回となる予定です
長くないですよ
次回、シャンちゃんの反応楽しみにしてます
>>218
長いなんてとんでもない
一気に読み進めるとあっという間です
続き楽しみにしています
ワイワイ民からのお赤飯、リレークッキングに私たちも参加させてもらったみたいで嬉しいです