>>467
K.M.Revolution ~クマたちのIT革命~ 5話
「ちょっと意外ね、エゾフタゴがパソコンに詳しいなんて」
「そうなの、セキュリティがー!って叱られちゃったわよ」
キョウコさんはクーさんとウタさんを誘って、上野公園をお散歩しています。
弁天門からさくら通りへ、そして公園内の桜の名所を反時計回りで巡ります。
「あれ?ママもクー姉ちゃんも知らなかった?お兄ちゃんたち超詳しいんだよ」
「えー?そうなの?」
「非常勤だけど協会で情シスやってるし、夜はネトゲ実況の生配信とかしてる」
「えー!なにそれ!」
キョウコさんとクーさんの絶叫に驚いた野鳥たちが、一斉に飛び立ちました。
その弾みで揺れた桜の木の枝から、はらりはらりと花びらが舞い散りました。
「シャンちゃんの出発、桜が咲くまで待ってほしかったな」
「シャオくんレイちゃんの親離れも見守ってほしかったわ」
「もっと欲を言えばお誕生日も…ふふふ、キリがないわね」
ゆっくりと公園をお散歩しながら、満開を迎える桜のように思い出話に花を咲かせます。
キョウコさんたちが最初に思い浮かべたのは、シャンシャンとシンコさんのお花見です。
桜の花びらよりも濃いピンク色だった、幼いシャンシャンの大切な思い出のひとつです。
公園の桜の名所を巡って、博物館までやって来ました。この先には鶯谷の駅があります。
「ああそうだ、業務スーパーに寄っていいかしら?お昼の材料を買いたいの」
「あ!ねえキョウコママ、杏仁豆腐も買ってもいい?紙パックに入ってるの」
「もちろんいいわよ。そしたら献立は中華にしましょうね、何を食べたい?」
実は北京出身のキョウコさん。今日のランチは、本格的な中華料理を楽しめそうですね。
>>477
K.M.Revolution ~クマたちのIT革命~ 6話
キョウコさんたちが帰ってきました。二時間ほどのお散歩は、良い気分転換になりました。
ポンくんとポロくんは肩を並べて座り込み、ちゃぶ台で何やら作業を行っていた様子です。
「ママお帰り。おう、クーとウタも一緒だったのか」
「今ちょうどビデオ通話のテストしてるよ。話す?」
「まあ!どなた?」
「海の向こうの…」
ポンくんが言い終わらないうちに、キョウコさんは新品のノートパソコンに駆け寄りました。
「シャンちゃんっ?」
『やあだママ!残念ながらあなたの娘よ』
クスクスと笑っているビデオ通話の相手は、なんとキョウコさんの実の娘のマチさんでした。
マチさんの住まいは九州ですから、海の向こうと言えば海の向こうです。嘘ではありません。
「やあだマチ!ごめんなさいね私ったら」
『良かよ、海の向こうとか言うけん勘違いするよねえ』
クーさんとウタさんもエゾフタゴを押し退けて、マチさんへ向かって大きく手を振りました。
ここ数年はコロナ禍などで行き来が減っていたため、みんなとても寂しく思っていたのです。
「こうして顔を見て会話できるだなんてねえ。今までもったいないことをしたわ」
『こっちは問題ないけどそっちは大丈夫?ビデオ通話のテストしよるっちゃろ?』
「大丈夫よ。映像はカクカクしてないし、声が遅れて聞こえる感じもしないわね」
キョウコさんとマチさんの会話が弾みます。クーさんはウタさんに、そっと耳打ちしました。
(お昼ご飯の準備、先に私たちで始めておこっか)
(うん。エビの下拵えは、ウタがやってもいい?)
ふたりの小さな会話が聞こえていたキョウコさんでしたが、聞こえなかったふりをしました。
クーさんとウタさんの気遣いを素直に受けとめて、愛娘との久しぶりの会話を楽しみました。
>>478
K.M.Revolution ~クマたちのIT革命~ 最終話
寛永寺の鐘が正午を告げました。今日のクマたちの丘のランチは、北京風の中華料理です。
ウタさんの希望でメインの食材はプリプリのエビ。ちょっとしたコース料理となりました。
「炒飯と餃子はクーとウタが作ったんだろ?ママの味を受け継いだな」
「そんなに褒めたって、後は業務スーパーの杏仁豆腐しか出ないわよ」
若者たちの賑やかな食卓に目を細めながら、キョウコさんはお茶の準備を始めました。
「あっママ座って食べててよ、お茶は私が淹れるから」
「いいのよ。今日はみんな頑張ってくれたから、お茶くらい淹れなきゃバチが当たるわ」
お茶は鉄観音茶。普段は小Yさんが遊びに来た時だけに淹れる、とっておきの中国茶です。
「そう言えば小Yさんから連絡があってね、もうすぐ小雅ちゃん帰ってくるんですって」
「てことは?シャンシャンついに中国語マスターした?」
「それはどうかしらねえ。守秘義務とかで、小Yさんも詳しくは聞いていないみたいよ」
「でも小雅ちゃんが帰ってくるってことは、シャンちゃんは元気にしてるってことよね」
「そうだよね。食欲はあるそうだし、お外にも出てるみたいって長靴さんから聞いたよ」
「そろそろ検疫も終わるし、顔を見られる日も近いよな」
「そうだよ、そのための今日の『IT革命』だったんだ」
「やだポン兄ちゃん、カッコつけすぎてクサいよそれ!」
「しかも古くさいのよ、IT革命なんて二昔前の言葉よ」
若者たちの会話に花を添えるように、鉄観音茶の甘く優しい香りが食卓に広がりました。
「ねえあなたたち、食事の後は時間あるかしら?」
「俺たちは大丈夫だよ。パソコン講座でもやる?」
「お願いするわ、私の頭もIT革命しなきゃね!」
この瞬間、キョウコさんの新年度の目標が決まりました。
パソコンの操作をマスターすること。
ビデオ通話で世界各国の動物たちと交流すること。
そして、若者たちの厚意を素直にうけとめること。
新年度を迎える頃には、桜の木々は衣替えを始めていることでしょう。
若葉の爽やかな緑が、キョウコさんの励みとなるに違いありません。
>>479
以上です。ありがとうございました
ぎりぎりでしたが、桜の花が残っているうちに鬼が島を脱出できて助かりました
次の機会があれば、ホッキョクグマ夫妻にも登場してもらいたいと思っています
>>480
余談ですが、今回のタイトルは
K.M.Revolution
TM NETWORK
どちらにしようかと悩みました。世代がバレますね
TMではなくKMでした
エゾフタゴからタイピング講座を受けてきます…
どんまいですw
小雅ちゃん帰ってくるんですね
キョウコさんとシャンちゃんとのビデオ通話も楽しみ
楽しくてあったかいお話ありがとうございました
ゲットでワイルドな間違い どんとマイケルでしゅ
楽しいお話ありがとうございます!
ポンくんポロくんみたいな頼もしい革命児がいたら良いですね
わたくちもシャンちゃんを見守るために中国のネットに慣れる訓練をしなければ
梨男さん、素敵なお話をありがとうございました
ITに強いエゾフタゴ頼りになるねキョウコさん
小雅ちゃんの帰国報告も楽しみです
たしかに
K.M.Revolution
でも
KM NETWORK
でも今回のお話のタイトルにぴったり!w
キョウコさんの新年度の目標とても素敵だと思いました
梨男さん、鬼ヶ島から戻って来られてよかったです
楽しいお話をどうもありがとうございました