クリスマスの贈り物

くすん…

昨日のお仕事中のことだった。今日もグリーンのベルトがカッコよく決まってるじぇ！とボクチンは大満足でレイちゃんにガブガブ甘えていた。そこにお客さまの声が聞こえてきた。今日もボクチンに（正しくは上野ファミリーに）会いに来てくれるお客様で園内はとても混みあっている。

「泣かないの！そんなに騒いだり暴れたりして良い子できないならサンタさんは来ないわよ！」

どうやら待ち疲れた子供が待機列を外れて走り回っているようだった。それをママに注意され、小さなお客さまは泣き出している様子…。

「うわぁ、こんなになるまで待たせるなんて、なんて罪作りなボクチン！」
思わずそう呟いてしまった。

「シャオ、そうじゃなくて…」
レイちゃんがため息交じりに言う。
「良い子にできないならサンタさん来ないみたいよ？」

レイちゃんのお背中をガブリとしようと開けた口がそのままフリーズした。
「良い子？！」

え、良い子してないとサンタさんって来ないの？
ボクチンはこのクリスマスにサンタさんにプラレール S-24 パンダくろしお 「Smileアドベンチャートレイン」 (専用連結仕様)が欲しいとお願いしている。３歳以上が対象のプラレールだけど、パンダの年齢は人間の年齢に３を掛けるから全然OK！ボクチン遊べるもんね！とサンタさんにお手紙を書いたのは先週のこと。プミゾンにもビックシンコカメラにも、リー天市場にも在庫はまだまだあるのは確認してあるから、後はクリスマスを待つだけなはずだ。

レイちゃんは何をお願いしたのかな？
「ねぇレイちゃん、チミは何をサンタさんにお願いしたの？サンタさん来るかな？」

レイちゃんはめっちゃ良い子だ。ボクチンが甘えても嫌がる様子もなく（ホントか？）いつも広い心で受け容れてくれる。良い子サンタ来る来る理論が適応されるのなら、きっとレイちゃんにはサンタさんが来てくれる。それどころか、数10年の長期契約を締結して、大人なった遠い将来のクリスマスプレゼントも約束されること間違いなしだ。

「シャオ、どうしたの？」
「ん…なんでもない…レイちゃんこの笹美味しそうだよ？食べる？」
「うん！一緒に食べよ！！」
「うーん、ボクチンは…良いよ、レイちゃん食べてて。ボクチンはあっちのお客さまの近くでゴロンしてファンサして来るよ…」
ボクチンはトボトボ歩き出した。

クリスマスにサンタさんが来てくれない…そんなことあり？各種ECサイトの在庫状況は把握しているから、後はサンタさんがポチっとしてくれるだけ、そう今日まで信じで疑っていなかったけれど、万が一サンタさんが来なかったら…。

「きゃー可愛い！この緑の子がいつもガブガブしてるやんちゃな子だよね？」
寝ているボクチンの耳にそんな声が届いた。

「や、や、やんちゃ？」
えぇっと、ボクチンはお客様にそう映っているの？ビックリ仰天。単に甘えてるだけだったのに…。レイちゃん、嫌じゃなかったかな？そう思うと悲しくなり、くすんと涙が出た。

クリスマスにボクチンからレイちゃんに何かプレゼントしよう、ごめんねとありがとうと大好きの気持ちを込めて。

クリスマスの日、ボクチンはレイちゃんをバックヤードに呼び出した。なんだかレイちゃんもボクチンにご用があるようだ。

「まずはボクチンからね。いつもありがとう。そして、いつもお首をガブガブしてごめんね。これ、使ってくれると嬉しいな。そうすればボクチンがお首を嚙むことも減ると思う…。」
そう言って可愛らしいピンクの包みを差し出した。

「なぁにこれ？」
そう言いながらレイちゃんは包みを開けると、中から出てきたのはふわふわの毛糸で編まれたピンクのマフラーだった。
「え…」
あれ？何だかレイちゃんの表情が微妙だぞ。気に入らなかったのかな？どうしよう。

「これ私からもクリスマスプレゼントなんだけど…」
そう言ってレイちゃんがお背中から小さな包みを差し出した。

「わっ！パンダくろしお号？」
包みをバリバリと開けると、中から出てきたのはふわふわの毛糸で編まれた緑のマフラーだった。
「これって、レイちゃんと色違い？」

「うん！びっくりした！！」

「シャオ、お客さまの近くでねんねしてる時、一人で寒そうだなっていつも見ていたの。それでこれを巻けば少しは暖かくいられるよねと思ったの！」

さすが双子。選んだものがお揃いだったなんて。これで二人暖かいクリスマスを過ごすことができそうです。

今年も二人仲良くできましたね。これからも元気に楽しく過ごしてね。待機列でのお子様お手洗いアテンドサービスに勤しむプミ子さんはそう思うのでした。

（サムネ作：わいわい）

（2024/01/06 レス追加）