中国から見るだけのつもりでしたが…
〜もったいないセール 1ムズムズめ
故郷の中国に戻ったリーシン夫妻
故郷の環境にもすぐに慣れて、のんびりと過ごしていました
いつものように二人で朝食を食べた後、シンコさんはいいました
「天気もいいから上の東屋に行ってくるわね。どんな植物があるか見てくるわ ウフフ」
「ああ、いっておいで お昼前になったら呼ぶよ」
「じゃあ行ってくるわね」 パタンドスドス
シンコさんは山の上の東屋に向かって行きました。去年は同じ場所を娘が使っていました
「あの子、ちゃんと綺麗に使ってたかしら ふぅ、着いたわ ヨイショっと」カチャ
シンコさんは東屋のドアを開けると電源を入れて、パソコンを繋げました
「まあまあ片付いてるわね ネットはちゃんと繋がるようね
えーと、今やってるイベントは…あら、もったいないセールをやってるじゃない 毎回凄い人だったわよね あら、箱物ギフトとかレトルトスープセット、ハムの詰め合わせとか安いじゃないの ムズムズ なんだか行きたくなったわ ムズムズ
そうだわ、確かここに奥の扉が…えーと暗証番号は」
ギイィィィ ピコン
「あいたわ ウフフ」
そしてシンコさんは扉の向こうのトンネルに向かって行くのでした
その頃、もったいないセールの会場はとても混雑していました
「はい、押さないで 在庫はまだまだあるから大丈夫ですよ」
ポン君がバイトをしていました
大柄なのであちこちから声がかかります
「そこのお兄ちゃん、これを取ってもらえる?」
「はい、お待ちください これですね?」
「ありがとう あとね、これも欲しいの」
「お客様、この缶詰詰め合わせは重いけど大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、帰りはタクシーで帰るから」
「ポン君、奥に台車があるからこちらのお客様を1階のタクシー乗り場までご案内しなさい」
「主任、売り場を離れるけどいいんすか?」
「(小声で)こちらのご婦人は上お得意様だから、少しの時間なら大丈夫だよ くれぐれも粗相のないようにね」
「は、はい あ、お客様、今台車を持ってきますから、そしたらタクシー乗り場までご一緒します」
「そう、ありがとう じゃあ、あとこれもお願いね ドサッ」
「はい」
ドスドスバキムシャドスドス
「ん?なんか聞き覚えのある音が」
ポン君が振り返るとそこにはシンコさんがこちらに向かって歩いてます
「あれっ? シンコおばさん?」
「あら、ポン君、来ちゃったわ ウフフ ここでバイトしてるの?」
「うん、一人でいるより忙しい方がいいかなと思って」
「そうね、忙しい方が色々考えなくて済むわね」
「あら? シンコさん?」
常連のお客さんがシンコさんに気が付きました
「中国に帰ったんじゃないの?」
「ちょっと子供たちが心配で来てみたの すぐに帰るけど ウフフ」
もったいないセールが気になって来たことはナイショです
「そうよね、心配よね シンコさん、鶏肉のクリーム煮込みソースはどこにあるかご存じ?」
「ええと、去年と同じところなら ちょっと待ってね はい、すみませーん通りますよ カレイニヨコアルキー シャッシャッ はい、お待たせ ウフフ」
「すごーい、さすがシンコさんね」
「ねえ、ズワイガニの缶詰在庫あるかしら?」
「はあい お待ちください」
いつの間にかシンコさんは、バイトをしてる時と同じように動いていました
「シンコおばさん、すげーや あ、台車取りに行かなきゃ」
ポン君は台車を持ってくると、お得意様の荷物を載せて一緒に一回のタクシー乗り場に向かおうとしました
すると別のお客さんから
「お兄ちゃん、あの上の方にあるのを取って欲しいんだけど」
と呼ばれました
「あ、はい 今行きます」
ポン君は呼ばれたお客さんの方に向かいました
「はい、これどうぞ」
「ありがとう」
「あっ いけね、さっきのお得意さんをほったらかしにしてた 戻らなきゃ」
ポン君は慌ててエレベーターに向かいましたが、お得意様も台車もありませんでした
もしかして一人で台車を押していった? ポン君は焦りました
主任にバレたら大目玉です
「売り場に戻ってるかもしれない」
売り場に戻りましたが、お得様の姿は見当たりません
「どうしよう…」
そこに主任がやってきました
「ポン君」
「は、はいっ」
「さっきの上お得意様だけどとても満足してくださってね、これを是非ポン君に渡して欲しいと」
それは「お礼」と書かれたポチ袋でした
「え? 俺にですか?」
「ああ、じゃあ渡したからね」
「??? 俺、行ってないんだけど」
何があったのかよくわからないポン君でした
〜もったいないセール 2ムズムズめ
そんなポン君を柱の陰からそっと見守っていた3人がいました
「じいじ、あれでよかったの?」
「おお、上出来じゃよ、ポロ君」
「ポロお兄ちゃん、カッコよかったよ」
「照れるなあ」
そこにいたのは、じいじ、お兄ちゃん、ポロ君でした
「ポンったら大切なお客さんをほったからしにするから焦ったよ 慌てて俺がついて行ってあげたけどさ チップはポンが使えばいいよ ポンも忙しくしてるから安心したよ」
「そうじゃの また様子を見にくればいいじゃよ」
「そうだね」
「じいじ、次はシャオとレイちゃんの様子を見に行かなきゃ」
「おう、そうじゃった じゃあ行くかの」
「うん、行こうか」
3人はシャオ君とレイちゃんの様子を見に行きました
キョウコさんももったいないセールにやってきました
「ふぅ、相変わらずすごい人だね おや? シンコさん?」
「あら、キョウコさん ウフフ ちょっと戻ってきたの 体調はどう?」
「ありがとう、今のところ大丈夫よ たまには外の空気を吸わないとね」
「あ、キョウコママ、大丈夫かい?」
「ありがとう、大丈夫だよ ポン君の仕事ぶりを見てみたいと思ってね ところで、ふりかけを探してるんだけど」
「どんなふりかけ?」
「ええとね、名前がヒデキだったかしら」
「ヒデキ? そんな名前のふりかけあったかなぁ」
「キョウコさん、それもしかしてヒデキじゃなくて、『しげき』じゃないの? ウフフ」
「ああ、そうだったかもしれないわ」
「それ、ワサビ味の刺激が強くて鼻にくるやつだよ キョウコママ大丈夫?」
「おにぎりにして少し混ぜれば大丈夫だと思わよ ウフフジュル」
「じゃあおにぎりにして食べてみるかね ヒデキを」
「ちがうよ、しげきだよ」
「あらやだ また間違えちゃったよ」
「さてと、私はそろそろ帰るわね また来るわね ウフフ」
「シャオ坊とレイちゃんに会うの?」
「今日は会うのはやめておくわ 遠くからちょっと見て帰るわね」
「そうかい あの子達は頑張ってるから大丈夫だよ」
「ありがとうキョウコさん それを聞いて安心したわ」
そしてシンコさんはもったいないセールの戦利品を抱えて、洞窟カフェの奥にある秘密の扉から帰って行きました
「やだ、大つけ麺博に行くのを忘れてたわ また行かなくちゃ ウフフジュルリ」
おしまい
作者さま(おちりニキさん)宛のご感想をワイワイスレ等に頂けますと幸いです☺️
(2024/10/27追記)皆さんから届いたレス
おはしゃんですーわいわいです
規制で書き込めないとのことで
鬼ヶ島へ出張中のおちりニキさんより
新作をお預かりしています
新作ありがとうございましゅ
ポンポロの絆…😭
>>203
わいわいさん、おちりニキさん、どうもありがとうございます!
ポロくん、じいじやお兄ちゃんと一緒にポンくんのこと見守ってくれてた(`;ω;´)
ポンポロの兄弟愛に泣き、キョウコさんのヒデキで笑わせていただきましたw
シンコさん、これからも時々秘密のトンネルでこちらに遊びに来てね
またシンコさんが元気に活躍するお話を密かに楽しみにしています
おちりニキさんが早く出張先の鬼ヶ島から帰って来られますように
>>203
わいわいさんお知らせありがとうございます
おちりニキさん新作ありがとうございます
シンコさんは食べることも働くことも大好きでとっても素敵
ひとり頑張るポンを見守るみんなも温かいし、ヒデキにはクスッとなるし楽しかったです
ほとんどの人が足早に通るリーちゃん庭ですが、洞窟に物語を思い浮かべてじっと見つめてしまいます
おちニキさん新作ありがとシャン
なんだかシミジミシジミしてしまったのでわいわいさんとこからポンとポロのタグ引っ張ってきまちた
梨男さんのちょっとワイルドで男気あるふたり好きだったなあ
>>209
梨です。ありがとうございます
おちりニキさんも、ポロくんの暖かいお話をありがとうございます。泣けました。愛が伝わりました
梨男も公式を待ちつつ、ポロくんの最期の物語を少しずつ書いております。ほんとに少しずつですが
ここはシャンシャンのためのスレだと分かってはいますが、お許しいただければ年内に出したいです
(公式の発表によって下書き3通りのうち、どれかを出すことになると思います)
梨男さん、ポロくんのお話楽しみにお待ちしてます
執筆しながらポロくんを思い出してお辛いこともあるかもしれませんので、どうぞ梨男さんのペースでご無理のないようになさってくださいね
書き込めるかな?
おちりニキさん 胸が熱くなるお話ありがとうございました。
もったいないセール、次からはワタシも参戦しようっと!!