いながわ櫓-2018/08/02(木)

お暑うございやす
お初にお目にかかりやす
いながわ櫓っす

実はあっしは元は多摩の山奥育ちなんですがね、
何でも動物園という生き物をたいそう育てているところで
是非にとあっしを欲しがっているお方がいるということで
親方に頼まれて上野にやってきたという次第です。

職人さんに綺麗にしてもらって、組み立ててくれたのは
本職は動物のお世話をされておられる兄さん衆と姐さんと聞きました。
ずいぶん大事に組み立ててもらって、上野のお嬢様のお部屋で働いておりやす。
毎日兄さん、姉さんに磨いてもらってありがたいことです。

こんなあっしは頑丈に座っているだけの仕事なんですがね、
あるときあっしの右手を生暖かいさわさわしたものがさわるんでさあ。
ん？
お姫様の部屋と聞いていたが、なんだろう。
ｺﾜｲﾅ、どうなるのかな

と、ぶるぶるっと震えて身構えていますと、
生暖かいものがあっしの左右の手に橋を架けるようにのしかかってくるんでさあ。

勘弁して下せえ、ただの多摩出身の丸太です。
といっても、一日に何度も橋はかかったのでごぜえます。

そして生暖かいもさもさっとした怪物がこう言ったんでさぁ。

「逆さま、た・の・ち・い」