ある日、私はハンチョウと呼ばれてるニンゲンに話したの。
シン「最近、娘にお乳をせがまれてもあまり出なくなってきたし、時々噛まれて痛いの。それでつい。カッとなってしまったりして…」
班長「そうか、それで手を出したりするんだね?」
シン「ええ、でも娘の事は大好きよ。自分でもよくわからないけど、突き放したくなるの。」
班長「シンシン、それは自然な事だよ。」
シン「そうなの…」
私はママの事はよく覚えていない。娘が生まれた時はとにかく大きくなってほしいと必死だった。
娘も大きくなり、おしゃぺりするようになって、愛しさも増してきた。
でも、娘にはもっと広い世界を見て欲しい。
私とリー君のように他のパンダ達と接して欲しいと思うようになってきた。
ハンチョウは言った。
班長「シンシン、これからシャンがひとり立ちする為の準備を始めるよ。辛いかも知れないけど、これは必要なんだ。」
シン「ええ、わかってるわ。お母さんはみんな経験することなのね。」
班長「そうだよ。」
私はママの事を思い出した。もしかしたらママも辛い思いをしたのかも知れない。
ママも私をひとり立ちさせる時、胸がきゅんとなったのかしら。
夜、娘の寝顔を見ながら私は日本に来る前に聞いたかぐや姫の物語を思い出していた。
by 真真
食いしん坊シンシンがそんな思いしてるなんて
朝から泣いてしまった
すてきなお話ありがとう
朝から泣き
81 以下、名無しにかわりましてVIPが実況します sage 2018/04/19(木) 22:49:53.16 ID:lOev9BdK0
「仙女、ご飯は足りそうかい?」
「うん、いっぱい持たせてくれてありがとう」
「もうすぐ出発だよ。できるだけ手足を伸ばして、できるだけ楽な姿勢でね」
「あ、あのね」
「どうした?やっぱり窮屈?」
「ううん、そうじゃなくて…今までお世話してくれて、ありがとう。毎日毎日、ご飯とお掃除ありがとう」
「…立派なお母さんになって、帰っておいで」
「はい、行ってきます」
「はなむけに、僕の知っている日本の昔話をしてあげよう」
「日本の昔話?」
「そう。むかーしむかし、とっても仲良しの夫婦が、光り輝く竹を見つけました。その竹の中から、小さな小さな可愛い赤ちゃんが産まれました
子どものいなかった夫婦は、赤ちゃんを大切に育てて、幸せに暮らしましたとさ」
「…不思議だけど、素敵なお話ね」
「そうだね、不思議だけど幸せなお話だね」
「日本に行ったら、私も光る竹に出会えるかな?」
「うん、きっとね」
「光る竹は美味しいかな?」
「…どうだろうか」
夕方、僕の仙女は比力とともに基地から旅立った。出国は明日になるのだけれど、僕は留守番だから見送りには行けない。
でも今夜までは、同じ月の下にいられる。満月を少しだけ過ぎた月だ。
竹取物語の本当の結末は、いずれ仙女は身をもって知る事になるだろう。
でもね、仙女。かぐや姫を帰す日が来ても、君は泣かなくていい。哀しまなくていい。
祖国へ帰ったかぐや姫を追って、いつかは君も帰ってくるのだから。
何回読んでも泣ける
>>22
泣けて困る
前のこのお話しと今繋がるんだね。
前に読んだ時も泣いたけど、いまも泣ける。
シンシンよく頑張ったよ。シンシンもいつかは帰っちゃうと思ったら辛い
100 以下、名無しにかわりましてVIPが実況します sage 2018/04/19(木) 23:28:28.76 ID:lOev9BdK0
すみません>>81ですが訂正を…
行を詰めるために何ヶ所か削った際、必要な部分も消してしまいました
「そうだね、不思議だけど幸せなお話だね」
↓
「そうだね、不思議だけど幸せなお話だね(ここで終わる物語ならね…)」
あと、実際の竹取物語のかぐや姫は罪と罰を背負ってますが
この小話の中では罪も罰も当然ナシです
子どもに読み聞かせできる絵本程度の竹取物語と受け取ってくださいませ
素敵なお話ありがとうございました
改めてこのスレに貼ってくださった方もありがとうございました
どういたしまして。
夜中に目が覚めてしまい、ふとシンシンの竹取物語のエピソードを思い出して思い付くままに書きました。
シンシンは愛情深い、いいお母さんだと思います。
その血を受け継いだシャンもきっといいお母さんになることでしょう。
竹取物語の話を貼ってくださった方、ありがとうございました。