温泉プミ女将の湯けむり事件簿③-2019/03/30(土)

ー温泉プミ女将の湯けむり事件簿③

デッキブラシを振り回し暴れ回りまだ息のあらいプミ子が尋ねた。
「とうしゃんはきょうちかくのたきちゅぼにいきまちたか？」
「滝壺ー？駅から番頭さんが運転するマイクロバスでここに来て、すぐお風呂に入ったから知らないよー」
プミ子の夫湯庵も
「滝壺近くで何かを掘り返している不審者が目撃されたのですよ。お義父さんと違いうすぼんやりした肌色の男らしいのですが、念のため」
と続けた。
プミ子に殴られ疑われたことでショックを受けている力男の様子を察した湯庵が
「お義父さん、我が家のワイナリーの最高の赤ワインで一杯やりましょう」と誘い、ビショビショの着物を大女将に見られたら
「プミ子さん、また暴れて池に落ちたのザマスカ？」と言われるに違いないと思ったプミ子も
「そうしましゅよ」と力男を促した。

大浴場から出て行こうとすると、入れ違いに泥だらけのうすぼんやりした肌の男が入ってきた。

「ちーざいしゃん！」プミ子が叫んだ。

…つづく