少し大人になったシャンのおはなし-2019/04/03(水)- 班長さんありがとう

ある日私は気が付いたの
そういえば班長さんをしばらく見ていない
長靴さんに尋ねてみたら、他の動物の係になったと言われた
あの時、銀のお皿を班長さんから奪ったわーいって喜んでいたけど、わざと私に取らせたのね
今思うと、班長さんは嬉しそうな寂しいような顔をしていた
ずるいよ、突然いなくなるなんてｸﾞｽﾝ
そして私が日本を離れる日、トラックに乗せられてドアが閉まる瞬間、ふと見ると班長さんが銀のお皿を掲げて大きく手を振っていた
私はだんだんその光景が涙でぼやけていくのがわかった

そして私は両親の故郷の中国に行き、同じ年頃のパンダ達と一緒に過ごした
そして私も年ごろになり、パートナーを見つけた
ある日、日本から偉い人がやってくると言われた
エンチョウさんとかいう人らしい
ドアの向こうで声が聞こえた
「園長、こちらです」
ドアが開くとそこには銀のお皿を持った班長、いえ、園長がいた

「シャンさん、お元気でしたか　あなたが選んだパートナー、私も気に入りましたよ　一緒に日本に帰りましょう」

少し大人になったシャンのおはなし