〈シンコー学習塾 番外編 おくりもの1〉
授業が終わり、プミ子がピキ子にパンダの絵柄の封筒を渡した。
「ピキー(何でしゅかこれ?手紙?)」
「今は開けちゃダメでしゅ!いいでしゅか、それはまだ開けちゃダメでしゅよ!」
「ピキー?(いつ開けていいんでしゅか?)」
「封筒の裏に日付けが書いてありましゅ。その日に開けてくだしゃい」
ピキ子が日付けを見て、うなづいた。
永明お父さんの操縦で白浜に帰る自家用ジェットの中で、ピキ子はリュックから封筒を出した。
「ピキ子、何やそれは?」
「ピキー(プミしゃんから渡されまちた。まだ開けちゃダメって、開けていいのはこの日だって言われて)」
永明お父さんが封筒の日付けを見て、小さく微笑んだ。
「プミ子ちゃん、ええとこあるなぁー。本当かわいらしい子や。ピキ子、ちゃんとその日まで大事に持っとるんやで」
「ピキー(うん)」
ピキ子は封筒を折り曲げないよう丁寧にリュックに入れた。
〈シンコー学習塾 番外編 おくりもの2〉
プミ子から封筒を受け取った数週間後、ピキ子は不安で胸が押しつぶされそうになっていた。
今日から母親の匂いがしない、この知らない場所で一人暮らしをしなければならない。
ピキ子はキョロキョロしながら、母親の姿が見えないか必死に見渡した。
「ピキー!(お母さーん!グスン)」
「ピキ子、大丈夫?」
「ピキー!(あっ!桜お姉ちゃん!)」
「今日からピキ子、一人暮らしね。でも大丈夫だよ、お姉ちゃんたちがそばにいるからね。桃は今、お仕事中だけど」
「ピキピキー!(お姉ちゃん!お母さんに会いたいよー!)」
「うん、わかるよ。お母さんとずっと一緒にいれるって思ってたのに、急に会えなくなって私も最初は寂しかったよ。
でもピキ子、これは大人への大事な一歩なの。最初は寂しくても、いつか強くなって一人でも大丈夫って思えるから」
「ピキー(うん、わかったでしゅ)」
ピキ子は涙を手で拭った。
〈シンコー学習塾 番外編 おくりもの3〉
ピキ子は姉に励まされたものの、涙は止まらなかった。
「(お母さんにもう触れられないなんて、あたち耐えられましぇん。グスングスン)」
ふとその時、ピキ子はプミ子にもらった封筒を思い出した。封筒の裏に書かれた日付けが今日だったのだ。
封を開けると、中から何枚もの写真が出てきた。
太い竹を鼻の穴を膨らませながら食べるプミ子、カラスにつつかれて怒るプミ子、ニンジンを嫌そうに食べるプミ子、水風呂に入って足をバタバタするプミ子、枝が折れて落下するプミ子。
どの写真もプミ子の日常を写したものだった。
「(そっかー、プミしゃんはお姉ちゃんたちがいないから本当に一人なんでしゅね。一人でもこうして楽しく過ごしてるんでしゅよね。
あたちもプミしゃんを見習わなければ!
プミしゃんの写真見てちょっと元気でまちた。
ありがとう!プミしゃん!)」
ピキ子はその写真を壁に貼って、新生活をスタートさせたのであった。
おわり
>>568
プミ子やさしいなー
ピキちゃん頑張って!
お話ありがとう
そう、ひとりでもいきいきと生きるプミちゃんのこの健気さに私達も魅了される!
あなたの写真も素敵です
かわいい!
あの乳くさいモジャもひとりだちできたから
一緒に遊びたかったでしゅ
ピキー(にんじんしゃんこくふくはピキのほうがさきでしゅ。ピキはかぷりこもちでたべてましゅよ)
再現すごいかわいい
良い写真だね
独り立ち、ピキしゃんなら大丈夫だよ!
ピキ子のお目目まんまる
歯はまだ小さいね
その写真、私の部屋中に貼りたいです