アルンの冒険～【母の日】のために-2022/05/16(月)

～ここはウタイさんとアルンのおうちのダイニングルーム～

ウタイさんはアルンとの朝食が終わり洗いものをしています。
アルンは出窓を開けて部屋の中に風を入れました。

ウタイ「朝食の片付けが終わったわ。これからちょっとスーリヤさんのところに行ってくるわね。アルンも来る？」

アルン「んー、いまはいいや ﾊﾟｵﾝ」

ウタイ「じゃあ、ママ行ってくるわね。何かあったら言いに来るのよ」

アルン「はーい！いってらっしゃい、ママ」

ウタイさんが出かけると、アルンは出窓に両方のおててで頬杖をついて、外を眺めました。

窓の先の方からアビシニアコロブスの赤ちゃんとローラちゃんの遊んでいる声が聞こえてきます。
ローラちゃんは今年生まれた男の子の赤ちゃんにお姉さんっぽくお世話をやくのが楽しいようです。

アルンはそんな声を聞きながら、昨日のことを思い返していました。

～１日前のウタイさんとアルンのおうち～

おうちの外でトコトコと誰かが近づいてくる足音と話し声が聞こえてきました。

レイ　　「アルンにいちゃまー！あしょぼー！」
シャオ　「あしょぼー！」
リーリー「こんにちは！アルンくん、いますか？」

ウタイ　「はーい！いらっしゃい！二人とも遊びに来てくれたの？」

レイ　　「うん！レイね、アルンにいちゃまとあしょぶのしゅきなの！」
シャオ　「ぼくもしゅきなの！」

ウタイ　「うふふ、ありがとう。アルンは今お庭にいるから行ってみてね」
シャオ・レイ「はーい！」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀ…

リーリー「ウタイさん、いつもすみません。うちの子たち、アルンくんに遊んでもらうのが楽しみで楽しみで。しょっちゅう来てしまって　ｸｼｸｼ」

ウタイ　「いいんですよ！賑やかな方が私もうれしいわ。それにアルンもお兄さんぶりたくて、二人が来るのを楽しみに待っているんですよ　ｳﾌﾌ」

ﾁｭｷﾞﾊ.ﾎﾞｸﾉﾊﾞﾝｰ！ｷｬｯｷｬｯ！ﾚｲﾓ.ｵｾﾅｶﾉﾝﾉｼｭﾕｰ！ｱﾊﾊ！ﾊﾟｵﾝ！ﾜｰｲ！

お庭の方から三人の楽しそうな声が聞こえてきます。

ウタイ「リーリーさん、どうですか？お茶でも。それとも今日は洞窟カフェのお支度があるからお忙しいかしら？」
リーリー「そうなんです、すみません。ウタイさんの淹れてくれる紅茶好きなんですが、今日はもう戻らないといけなくて」

ウタイ　「洞窟カフェ、人気ですね！また今度ランチに伺おうかしら」
リーリー「ぜひぜひ！また新作メニューがんばってますので、楽しみにしていてください」

ウタイ　「スーリヤさんとアルンと一緒に伺いますね」
リーリー「お待ちしてます！ではそろそろ。今日はお昼前に二人を迎えにきますが、それまで遊ばせてよろしいですか？」

ウタイ　「もちろんです。安心してお仕事してくださいね」
リーリー「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」

リーリーは西園のパンダのもりに帰っていきました。
お庭では何やらシャオシャオとレイレイがアルンに話し始めました。

シャオ「あのね、アルンにいちゃま、【ママのひ】ってちってゆ？」
レイ　「シャオ、ちがうわよ！【ははのひ】よ！」
アルン「【ははのひ】？うん、しってるよ！ベビールームでウタしぇんしぇいにおしえてもらったよ」

シャオ「ママの…【ははのひ】にね、ぼくとレイちゃんでママのおかおのえをかくの！」
レイ　「かーねーしょんはシャンねぇねが、よういちてくれるのよ」
シャオ「あとね、あとね…」

シャオシャオはそう言ってレイレイと顔を見合わせると、二人はニンマリと笑い、それから二人はアルンのお耳に近づくように背伸びをして小声で言いました。

シャオ「あのね、ないちょなんだけどね…」
レイ　「パパとね、ケーキちゅくってママにぷれじぇんとしゅりゅの」
シャオ「ママにないちょなの」
レイ　「しゃぷりゃいじゅなの」

そして二人は言い終わると、両方のおててでお口を覆い、ちょっぴり肩をすくめるようにして、うふふと笑いました。

アルン「へー！ケーキのプレゼントかぁ、いいね。きっとママよろこんでくれるね」
シャオ・レイ「うん！！」

ｳﾌﾌｳﾌﾌ！ｸｽｸｽｸｽｸｽ……

つづく（ベビル １）