ベビールームです
先日もお話を読んでくださりありがとうございました
いつも読んでいただけただけじゃなく感想まで寄せてくださり、とても嬉しくまた励みにさせていただいています
また続きを数レスUPさせていただきたいと思います
よろしくお願いいたします
登場動物たち
・アジアゾウ
アルン
ウタイ
スーリヤ
・アビシニアコロブス
ローラ
赤ちゃん
・ジャイアントパンダ
シャオシャオ
レイレイ
リーリー
シャンシャン
・マレーグマ
キョウコ
・レッサーパンダ
カリン
ルカ
・のらねこ隊
隊長
ハチワレ
チャトラ
オッドアイ
アルンの冒険~【母の日】のために④
のらねこ隊・隊長「こちら、のらねこ隊・隊長!隊長からカリンママとルカちゃんへ!至急いそっぷ橋、東園側の坂の上、第三ポイントまでお願いします!どうぞ!」
西園のレッサーパンダのおうちでお昼ごはんの支度をしていたカリンママとルカちゃんは、無線機から入ったのらねこ隊の隊長からのメッセージに気付き、ごはんの支度の手を止めました。
カリン「こちらカリン・ルカ!カリン・ルカから隊長さんへ!すぐにそちらへ向かいます!どうぞ!」
カリンママは無線機に向かって隊長にそう伝えると、素早くインカムを装着しました。
そしてカリンママとルカちゃんは顔を見合わせてコクンとうなずき合い、エプロンを外しながら外へ飛び出しました。
ルカ 「ママ!これ、さっきから無線で流れてきたアルンくんのことやんな!」
カリン「どうやら、そうみたいやね!きっとアルンちゃんに何かあったんやわ!」
二人は走りながら、無線機から流れてきた内容を確認し合いました。
アルンが坂の上でどうやら足が止まってしまったということは分かっていましたが、それがどうしてなのかは分かりませんでした。
カリン「こちらカリン・ルカ!カリン・ルカから隊長さんへ!アルンちゃんの様子を教えてくれへんか?なんで足が止まってもうたんやろう?」
のらねこ隊・隊長「こちら、のらねこ隊・隊長!スーリヤさんの話によるとアルンくんは下り坂が怖いとのこと!下り坂のあと、いそっぷ橋を渡り、もう一度下りスロープもあるため、どうにか怖がらせることなく、アルンくんを西園へ誘導願います!どうぞ!」
カリン「了解!」
のらねこ隊・隊長「それと…これはボクの…勝手な想いなんですが、アルンくん、やっぱり一人で目的地までたどり着けたと思いたいかと。なので、カリンママとルカちゃん、あくまでもさりげなく偶然を装ってアルンくんを助けてあげてください!頼みます!どうぞ!」
カリン「隊長!了解!心配いらへんよ!うちらはそんなんは得意やから!任せといてや!」
ルカ 「怖がらせへんように、偶然を装って、ね!なるほど、何でうちらが選ばれたのか理由が分かった気ぃするわ。な!ママ?」
カリン「そやねぇ。うちらの腕の見せどころってとこやねぇ」
カリンママとルカちゃんは、いそっぷ橋の真ん中辺りまで来ると、走るのをやめて歩き始めました。
二人はまた顔を見合わせてうなずき合い、それからアルンには偶然に通りがかったと思われるように、おしゃべりをしながら歩き始めました。
カリン「この前な、買い物帰りに知り合いの奥さんに会うてん」
ルカ 「うん」
カリン「『これからお買い物かいな?』って聞いたらな」
ルカ 「うん、うん」
カリン「『何言うてんねん。見たら分かるやん。犬の散歩してんねん』って」
ルカ 「うん、うん」
カリン「『いや、犬はどこにおるん?』って言ったらな、『おもろいこと言うなぁ、ここにおるとちゃうん』って言うんよ」
ルカ 「うん」
カリン「『いや、おらへんわ』って返したら、『何言うて……ほんまや!』って!!」
ルカ 「うん??」
カリン「その奥さんな、犬忘れて散歩しとってん」
ルカ 「なんやて!?」
カリン「笑えるやろ!」
ルカ 「笑えるわぁ!」
アハハ!ウフフ!イヤヤワァ!キャハハ!
そんなやり取りをしていると、坂の上にいるアルンの目の前にたどり着きました。
アルンはまだ坂の上で立ちすくんだままでした。
カリン「あら、こんにちは!アルンちゃん」
アルン「こんにちは…」
カリン「アルンちゃん、うちらとは初めましてやろか?」
ルカ 「うちらはパンダのもりに引っ越してきたレッサーパンダなんよ。うちはルカ、こちらは母のカリンやで」
カリン「よろしくね!ニコニコ」
アルン「あ…よろしくでしゅ。パオン」
ルカ 「アルンくん、ここにおるってことは西園におでかけするとこなん?」
アルン「うん…あのね…どうくつカフェにいってね…シャンおねえちゃんにあいたいの」
カリン「そうやったのね。ほなうちらと一緒に行こか!」
カリンママとルカちゃんは、アルンより二、三歩前を歩いて、おしゃべりをすることでアルンの気を紛らわせながら、下り坂を誘導しようという作戦を考えていました。
ところが、カリンママがアルンより一歩先に出ようとしたとき、
カリン「あっ!キャーーーー!!」
ゴロンゴロンゴロン!!
ルカ 「ママーーー!!」
カリンママはつまずいて、いそっぷ橋のたもとまで転がってしまったのでした。
ルカちゃんはカリンママの元へ急いで走っていきました。
カリン「いたたたたた…」
ルカ 「ママ!大丈夫?」
カリン「いたたたた。アホやねぇ。慌ててもうて、こけてもうたわ」
アルン「…あの…だいじょぶでしゅか?」
アルンはカリンママを助けなきゃと、必死になって下り坂を下りてきたのでした。
でも、カリンママとルカちゃんは、アルンの足が震えていることに気付きました。
アルン「けがちてないでしゅか?」
カリン「おおきに!大丈夫や!ほらね、こうやって立ったらな、大丈夫…いたたたた!!」
ルカ 「ママ、無理せんといて!」
カリン「ほんまにアホやわ。こんな大事なときに、歩けんようになってもうて」
アルン「あ…あの…ぼくのおせなかに、のんのしてくだしゃい」
カリン「ええの?アルンちゃん、おおきに」
アルンはカリンママをお鼻で持ち上げてから、背中にそっと乗せました。
続けてルカちゃんのことも背中に乗せました。
いつも、シャオシャオとレイレイが遊びに来ては、アルンのお背中に乗りたがるので、そのときと同じようにやってみたのでした。
それからアルンは前を向きました。
アルンの前には、平坦ないそっぷ橋が西園に向かって真っ直ぐ延びています。
この平坦な橋を渡りきると、そこからは下りのスロープが続いているのでした。
アルンは一歩踏み出し、歩き始めました。
二人を落とさないように慎重に、でも一定のリズムで歩いて、いそっぷ橋を進んでいきます。
カリン「アルンちゃん、ほんまおおきにね。助かるわぁ」
ルカ 「アルンくん、ほんますごいなぁ。二人も乗せて歩けるんやなぁ」
アルン「えへへ。いつもね、シャオくんとレイちゃんのせてるの。だからできるんだ!」
カリン「そうなんやね。さすがやなぁ」
そうこうしていると、いそっぷ橋の平坦な道を渡りきり、下りのスロープの手前まで来ました。
アルン「あっ…」
アルンの足が再び止まってしまいました。
そこからのスロープは少し傾斜がきつくなっていて、途中には右へ曲がる急なカーブもあるのでした。
アルン「…どうしよう…」
アルンの足が小刻みに震えています。
心配したルカちゃんが、声をかけました。
ルカ 「アルンくん、無理しないで…」
ルカちゃんがそう言いかけたとき、カリンママはルカちゃんの腕を掴むと目を見つめながら首を横に振りました。
それからニッと微笑むと、パチンとウィンクをしたのです。
ルカちゃんはカリンママの表情からカリンママの考えを汲み取りました。
ルカちゃんもOK!とウィンクで返事をしました。
それから、カリンママはスゥーッと深呼吸するように息を吸い込み、そして、大きく明るい声で言ったのです。
カリン「いやぁ、アルンちゃんのお背中は広うて乗り心地が最高やわ!」
ルカ 「ほんまやなぁ!」
カリン「さすがは、タイ王国から選ばれて上野に来てくれたアティさんとウタイさんの子や!」
ルカ 「ほな、言うてみたらアルンくんは王子さまみたいなもんやんなぁ」
アルンはカリンママとルカちゃんの言葉をじっと聞き、それから首にかけてある、がま口の紐に結びつけてあるお守りを、お鼻でギュっと握りしめました。
お守りには『あるん』とウタイさんがアルンにも読めるように刺繍してありました。
お守りの中には、お父さんのアティとお母さんのウタイが、タイ王国から上野に来たときの記念写真が入っているのでした。
アティさんとウタイさんは、タイ王国の民族衣装を身にまとい、まだ子どもだった二人は少し緊張した面持ちで、でも品格を保って佇んでいるところが、その写真には納められていました。
ウタイさんは、時々この写真をお守りから出してはアルンに見せながら、アティさんとの思い出話をするのでした。
タイにいたころから甘えん坊なウタイさんが、歳上のアティさんのことを、とても頼りがいがあると慕っていたこと。
アティさんはやんちゃなところもあったけれど、ウタイさんにはとても優しかったこと。
そして、いつも話の終わりには、
「アルンのお父さん、アティは立派なゾウだったのよ。だから、アルンもきっとお父さんのようになれるわ」
、と言うのでした。
アルン「パパみたいに…」
カリンママとルカちゃんは、アルンの様子を静かに見守っていました。
アルンはお守りからお鼻を離すと、下りのスロープへと一歩足を踏み出しました。
カリンママとルカちゃんは、固唾を飲んで次の一歩を待ちました。
そして、アルンは震える足で、そっと次の一歩を出しました。
つづく (ベビル 4)
よろしくお願いいたします
(ベビールーム)
ベビールームさんお話の続き待ってました
隊長からの無線メッセージを受けたカリンママとルカちゃん正義のヒーローの出動シーンみたいでカッコいい!
その後の漫才みたいなやり取りも最高です
アルンもう少しだよ
アルン!!がんばれー
みんなに支えられながら、でも最後は自分で坂道を克服しようとする姿に感動です
カリンちゃんとルカちゃんは大阪から来た親子なんですね
犬の散歩のお話が面白くて爆笑してしまいました
レッサーパンダさんがでてきたら洞窟カフェはもうすぐそこですね
ベビルーさんのお話、優しくて大好き
続き楽しみにしています
>>164
続き待ってましたー!
レッサーパンダ母子の登場嬉しい!
いつもレッサーパンダ舎で機敏に動き回っているカリンさんとルカちゃんを思い出し、ぴったりの任務だと思いました
のらねこ隊長の心遣いも素敵だなぁ
コラ来てたー
ありがとしゃんでしゅ!
かわいい!
がま口とお守り!
お話を細かくコラしててすごいなー
ブルーのがま口はアルンくんっぽくていいね
可愛いー
アルンのお守りにちゃんと名前の刺繍がしてある!
再現率がすごい
コラありがとシャン
アル坊にブルーのがま口似合ってますね
>>165
ベビルしゃん、続きをあリーリー
アルン、もう少しだよ ガンバレ
関西弁のノリツッコミも面白かったです
プミちゃん、ゴワゴワを…
とても素敵なお話ありがとうございます
アルンがカリンとルかちゃん乗せてるコラも誰かおねがいしますー
プミちゃん、わたくしにもゴワゴワを…
アルン頑張れ!