アルンの冒険～【母の日】のために（ケーキ作り編）⑨-2022/08/06(土)

アルンの冒険～【母の日】のために（ケーキ作り編）⑨

リーリー「じゃあ、みんなパレットナイフでクリームをすくってケーキにぬってみようか」
アルン・シャオ・レイ「はーい！」

３人は取り分けてもらったピンク色のクリームの入った小さなボールから、パレットナイフですくうとケーキに塗っていきました。

レイレイはカップケーキにピンク色のクリームを塗ると、パレットナイフを握りしめたまま、うーん、と考えてからリーリーの方を見上げて言いました。

レイ　　「とうしゃん、レイね、パンダしゃんのおひめしゃまちゅくりたいの」
リーリー「パンダさんのお姫さまか。オッケー！じゃあ、こうして…と」

リーリーはクリームの絞り袋に白いクリームを入れると、レイレイのカップケーキの上に、パンダさんの形になるように丸いお顔と小さなお耳を作っていきました。

リーリー「ふむ。レイちゃん、これでどうかな？」
レイ　　「とうしゃん！これホッキョクグマしゃんよ。パンダしゃんじゃないもん」
リーリー「ふふ、慌てない慌てない。これでね、お耳とお目めを描いてごらん」

リーリーはレイレイに、クリームに模様を描けるチョコペンを渡しました。
レイレイは真剣にチョコペンでお耳とお目めを描いていきました。
すると、レイレイはまた、うーん、と考えています。

レイ　　「とうしゃん、おひめしゃまはね、きらきらちゅけるのよ」

レイレイはそう言いながら、左右の指を合わせて１つの丸を作り、それをおつむに被っている三角巾の上に乗せて何かを伝えようとしました。

リーリー「頭の上にキラキラ？うーむ、なんだろう」

シャオシャオもレイレイの真似をして、お手てで丸を作って三角巾の上に乗せてみましたが、首をかしげて不思議そうな顔をしています。

するとアルンが何かを思い出したのか、首にかけてあるお守りの中から、お父さんのアティさんとお母さんのウタイさんが写っている記念写真を取り出して、リーリーに写真を差し出して言いました。

アルン　「リーおじしゃん、これ、パパとママのあたまにつけてあるの、きらきらなの」
リーリー「ん？どれどれ。おー！これはアティさんとウタイさんのお国のタイ王国の民族衣装だね。綺麗だねぇ ﾎﾜﾜｰﾝ」

アルンのお父さんのアティさんとお母さんのウタイさんは、上野動物園に来日したときの記念写真に、タイ王国の民族衣装を身にまとった姿が写っていたのでした。

タイシルクに金糸で刺繍されていると思われるそのきらびやかな衣装は、体だけでなく頭にも被せてありました。
タイシルクの光沢に金糸がほどこされていたので、それを見てアルンはきらきらだと言ったのです。

レイレイはアルンの写真をじっと見て言いました。

レイ　　「アルンにいちゃまのとうしゃんとかあしゃん、しゅてきねー！」
アルン　「レイちゃん、ありがとう！ﾊﾟｵﾝ」

リーリー「レイちゃん、きらきらってのは、こういうことかい？」
レイ　　「ううん、このきらきらしゅてきだけど、これじゃないの。こういうのなの」

レイレイはそう言うと、また両方のお手てを三角巾の上に乗せました。
シャオシャオもまた真似をして、お手てを三角巾の上に乗せて、でも不思議そうなお顔をしています。

すると、ダイニングテーブルの端でアップルティーを飲みながら、みんなの様子を伺っていたシャンちゃんがおもむろに口を開きました。

シャン　「ここはまたまたシャンの出番でしゅかね。ｵﾎﾝ お姫さまの頭にきらきらと言ったらでしゅね、それは『ティアラ』でしゅよ」

リーリーとレイレイ、シャオシャオとアルンは、シャンシャンの方を向いて、

「おおー！」

と声を上げました。

リーリー「そうか！ティアラか！そうだよね、お姫さまの頭の上にきらきらと言ったらティアラだよね。シャンは賢いなぁ！」ｼｬﾝﾉｱﾀﾏﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
シャン　「えへんでしゅ。亀さんの甲より年の功と言いましゅからね」

シャオ　「とうしゃん！シャオ、かめしゃんにごはんあげゆの」
リーリー「ああ、シャオ、分かったよ。デコレーション終わったらあげようね」ｼｬｵﾉｱﾀﾏﾓﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

リーリーの飼っている亀さんは、ダイニングルームの端のケージの中で、シャオシャオとリーリーの会話を知ってか知らずか首を伸ばしてこちらの方を見ています。

それから、リーリーはあごに手を当てて、しばらく考えてからティアラを作り始めました。

マシュマロをティアラに見えるようにナイフで小さく切り、それからホイップクリームでハート型のチョコスプレーと銀色のアラザンをマシュマロに付けていきました。

そして、そのマシュマロでできたティアラをそっとパンダさんの頭の上に乗せました。

リーリー「どうだろう、レイちゃん。お姫さまのティアラ、きらきらかな？」
レイレイ「わぁー！…しゅてきー！おひめしゃまのきらきら！とうしゃん、あいあとー！」

レイレイは両方のお手てを口元に当てて、頬をちょっぴりピンク色にしてうっとりとティアラを見つめています。

シャン　「レイちゃん、よかったでしゅねぇ」
リーリー「ふふ、やっぱり女の子なんだなぁ。お姫さまやティアラに憧れるなんて」

シャン　「女の子は誰でもプリンセスなんでしゅよ」
リーリー「そういや、シャンも小雅ちゃんとお姫さまごっこしてたっけな（シャンは王子さま役だったけど）」

シャン　「そうでしゅよ。かあしゃんだってプリンセスなんでしゅよ」
リーリー「ﾊｯ！シンちゃん！母の日なのにシンちゃん放ったらかしにして…シンちゃん怒ってるかな…ｸｼｸｼ」

シャン　「とうしゃん。かあしゃんはウタイしゃんとエステに行ってくるって言ってまちたよ。夜はパーティーだろうからって」
リーリー「あ、そうなんだ…ﾎｯ じゃあ、パーティーの準備もするから、早くケーキを仕上げないとね」

つづく（ベビル ９）

おはようございます。上野動物園開園です。
アジアゾウの「アティ♂」と「ウタイ♀」がタイ王国から日本にやってきたのは2002年の今日（10月11日）。来園当時はアティが5歳、ウタイは4歳でしたが、13年を経てすっかり立派になりました。 pic.twitter.com/Ks7UATMg0M

— 上野動物園［公式］ (@UenoZooGardens) October 11, 2015

アティさんとウタイさんの来日したときのTwitterです。