~ベビールームのウタ先生とおちびさんたち~クリスマス編
---アルンの願い---
(つづき)
サンタクロースは、手早くトナカイとソリの準備をしました。
「あ、あの!上野への行き方が分からないんですが!」アティはサンタクロースに伝えました。
「心配せんでいい!わたしとルドルフが先に走るから、それに着いてくれば大丈夫じゃよ!」
「は、はい!分かりました!」
「では出発するぞ!ダッシャー!ダンサー!プランサー!ヴィクセン!コメット!キューピッド!ドナー!プリッツェン!アティくんを頼んだぞ!!それっ!ルドルフ!行くぞ!!」
トナカイのダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、コメット、キューピッド、ドナー、プリッツェンの8頭は、アティのソリを任されました。
「さあ!だんな、出発しますから、しっかり手綱を掴んでくださいよ!」
先頭のダッシャーがアティに言いました。
「は、はい!!」
アティは慌てて手綱をギュッと握ると、ソリは走り出しました。
ソリはシャンシャンシャンと鈴を鳴らしながら、下界を目指して空をゆるやかに降りて行きます。
空の上から漆黒の下界が見えたときには怖いと思ったアティでしたが、だんだんと上野の街並みの中から動物園が見えてくると、ああ、あそこに愛しいアルンとウタイがいるんだと思い、アティは胸がいっぱいになりました。
…アルン…待っていておくれ…今パパが行くからね…ウタイ…愛するウタイ…今行くよ…
…シャンシャンシャンシャン……
クリスマスイブの夜、アルンはクリスマスツリーの下の小さなテーブルに、サンタさんのために一生懸命書いたお手紙と、クッキーとミルクを置いて、眠りにつきました。
アティはウタイとアルンの家に着きました。
それから、アルンからの手紙に気付き、それを手に取り封を開いて読みました。
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さんたさん と となかいさん え
さんたさん とおくからきてくれて ありがとう
あるんのぱぱ おそらにいるの
さんたさん おそらで ぱぱにあったら ぱぱのおともだちになってください
さんたさん おねがいします
あるん
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「(アルン…ありがとう…ぼくがお空で1人で寂しい想いをしていると心配してくれているんだね…)」
アティはアルンが優しい子に育っていること、そしてこんな風に育ててくれたウタイに感謝したのでした。
それからアティはアルンへのクリスマスプレゼントを手に、ウタイとアルンの寝室に入っていきました。
アルンの枕元にクリスマスプレゼントをそぉっと置くと、アティはアルンの顔を見つめました。
初めて間近に見る我が子。
アルンが可愛くて可愛くて…愛おしくてたまらなくなってしまいました。
アティはアルンの頬にそっとキスをして、鼻で優しく撫でました。
「(アルン…優しい子に育ってくれてありがとう…ママの言うことを聞いて…いや、やんちゃでいいから…良い子じゃなくてもいいから…元気にすくすく育っておくれ…)」
アティはそう願いながら、もう一度アルンの頬にキスをしました。
そして、アルンの隣で眠っているウタイにもキスをしました。
「(愛するウタイ…ひとりにしてごめん…アルンを素敵な子に育ててくれてありがとう…ウタイ…空からずっと見守っているからね……ウタイ…ずっと愛しているよ…)」
アティはウタイを撫で、そしてもう一度キスをしました。
…シャン……
外からソリの鈴の音の合図が聞こえてきました。
そろそろ行かなくてはなりません。
アティはウタイとアルンの家を後にすると、急いでスーリヤの家に向かいました。
「(スーリヤさん…いつもウタイとアルンを助けてくれてありがとう…スーリヤさんのことも、ぼくは空から見守っているから、どうかずっとお元気でいてください…)」
アティはスーリヤに、ひと言お礼を言いたかったのです。
「アティくん!そろそろ帰る時間だが…大丈夫かな?」
サンタクロースはアティに聞きました。
「はい!大丈夫です!アルンにもウタイにも、スーリヤさんにも会えました」
「そりゃよかった!では行くとするかな!それっ!ルドルフ出発だ!」
「だんな!また、しっかりと手綱を握っていてくださいね!出発しますよ!」
「はい!!」
往きは不安でいっぱいだったアティも、今は皆に会えたことで自信に満ちています。
…シャンシャンシャン……
サンタクロースを先頭に、アティを乗せたソリも続き、アティは空に帰っていきました。
つづく
~ベビールームのウタ先生とおちびさんたち~クリスマス編
---アルンの願い---
(つづき)
クリスマスの朝
寝室からアルンがテケテケと走ってリビングに入ってきました。
「ママー!ママー!プレジェント!サンタさん、アルンにプレジェントもってきてくれたよー!」
「おはよう、アルン!まあ!よかったわね、サンタさん来てくれたのね」
「うん!サンタさん、きてくれたの!…あっ!」
アルンはクリスマスツリーの下にある小さなテーブルに置いておいた、お手紙とクッキーとミルクがなくなっていることに気が付きました。
その代わりに、その小さなテーブルには、クリスマスカードが置いてありました。
アルンはクリスマスカードを手に取ると、文字が書かれていたので、それをウタイに読んでもらいました。
「じゃあ読むわね。『アルンくん、メリークリスマス!クッキーとミルク、それにお手紙をどうもありがとう。
遠くから来たからお腹が空いていたので、クッキーとミルクとても嬉しかったよ。アルンくんのパパはお空にいるんだね。サンタさんがお空でアルンくんのパパに会ったら、きっとお友だちになるからね。アルンくんは優しい子だね。これからもママと一緒に、元気に楽しい毎日を過ごしてくださいね。サンタより』」
「サンタさん、パパにあったら、おともだちになってくれるって?」
「ええ、そう書いてあるわ。よかったわね、アルン」
「うん!」
「あら?…これは…」
今度はウタイが何かに気付きました。
クリスマスカードのメッセージの端に、象の鼻紋が押してあったのです。
(これは…アティ?…アティが来てくれたのね…)
「あれ?これ、ゾウさんのおはなのスタンプだ!ゾウさんのサンタさんがきてくれたんだね、ママ!」
「ええ!ゾウさんのサンタさんが来てくれたのね!」
アルンとウタイは鼻と鼻を絡ませて喜び合いました。
サンタクロースとアティは空の上に戻ってきました。
「さて、着いたぞ。アティくん、初めてのサンタクロースの任務はどうだったかな?満足できたかな?」
サンタクロースはアティに聞きました。
「はい、緊張しましたけれど、とても満足しました!ありがとうございました!」
「そりゃあよかった!アティくんの笑顔を見られて嬉しいよ。きっとアルンくんもウタイさんも喜んでいるだろうよ。Ho!Ho!Ho!」
「はい!」
アティはアルンからのお願いごとが気になっていました。
サンタクロースとして、『サンタさんがお空でアルンくんのパパに会ったら、きっとお友だちになるからね』とは答えたものの、やはりサンタクロースの存在は偉大すぎて、友だちになってとは言い出せずにいました。
(アルン…ごめんよ…今年はサンタさんとお友だちになれないかもしれない…また次の機会にがんばってみるよ……)
「さあ、これからトナカイたちにごはんを食べさせるんだが、わたしたちもちょっと一杯やろうじゃないか!」
「え?一杯ですか?いや、ぼくはお酒はあんまり得意では…」
「まあまあまあ、今日はクリスマスだ!楽しくいこう!いやね、美味しいエッグノッグのお店を知ってるんだよ」
「いやまいったな。まあ少しならいいか!」
「そうその意気じゃよ!これで、わたしたちは良い友だちだな!ホゥホゥホゥ♪」
アティはハッとしました。
サンタクロースはアルンの願いごとを知っていて、それでアティからサンタクロースに友だちになって欲しいとは言いにくいのを察して、誘ってくれたのではと気付いたのでした。
(サンタクロースさん、ありがとうございます)
二人は肩を組んで、エッグノッグの店に向かいました。
…ホゥホゥホゥ♪……
今宵はクリスマス。
フブキくんとユキさんのところには、豪太パパが…、
ホウちゃんとイッちゃんさんのところには、ゴーゴパパが…、
楓浜ちゃんと良浜さんのところには、永明さんが…、
大きなクリスマスプレゼントを贈り、それぞれのクリスマスの夜を過ごしました。
明日の朝には、またベビールームに足を運んで、おちびさんたちは、きっとサンタクロースのお話を身ぶり手ぶりで一生懸命お話するのでしょう。
おしまい
>>274
アティ…きっとずっと上野の3頭のことをこうやって見守ってくれてるんだね
素敵すぎるクリスマス
アティの想いがみんなには届いたね
あたたかいお話、作家さんありがとう
ところで浜家リビングとベビールームさんへお名前を決めさせていただいた方がいいのかなと思ったのですが、なにかアイデアはありますか?
浜家リビングとベビールームの者です
これでクリスマス編のお話は終わりです
本当に長い作品を読んでいただきありがとうございます
>>276さん
お名前の件ありがとうございます!
いつも名乗りながら長いなぁと思っていましたし、作品を投稿されている方のネーミングセンスが素敵なので
いいなぁと思っておりました
何か付けていただけたら嬉しいです!
今朝、世界ゾウの日の動画を見ながら支度していたのですが、アル坊の小ちゃいこと小ちゃいこと
ウタイちゃんが立派に550キロまで育ててくれました。アティくんとダヤーちゃん、これからも、空の上から見守っててね。浜家さん、素敵なお話ありがとしゃんでした。
>>277さん
読んでいただきありがとうございます!
クリスマスすぎてしまいましたが、クリスマス当日の気分でまた続きも読んでいただけたら嬉しいです!
素敵なお話ありがとうございました
ここのスレのお話は全部愛情溢れていて大好きです
特に今回の作家さんはお部屋とベビーちゃんの印象が強いので
「ベビールーム」さん良いと思います
クリスマスのお昼から夜にかけて、とてもワクワクしながらお話を追わせていただきました。
暖かく優しい、愛しい世界のお話をありがとうございます。
みんながお互い
お互いを思いやる気持ちがクリスマスの奇跡を産んだのですね。
(途中で書き込んでしまってすみません)
サンタさんも粋ですねぇ。トナカイさん達の様子も目に見えるようで、(ルドルフが可愛い♪)
クリスマスのキラキラした雰囲気が感じられました。
アルンも他のお子様たちも、みんな素敵なクリスマスになりましたね…。ウルウル
作家さんのお名前ですが、私は「ベビールームさん」とお呼びしたい気がします。
浜家リビングのお話でも、いつも幼い頃のピキちゃんや今のプルちゃんが可愛くてほっこりするし、
小さなベビー達の描写が印象に残る作品が多いと思うので、お名前には「ベビー」の言葉が入るのが
お似合いではないかと思ってます。
また浜家リビングの作品も楽しみに待っております。大好きです♪
>>283
長編お疲れ様でした 楽しく読ませていただきました
アル坊とウタイさん 良かったね
アティも本当はアルンの成長を生きて見守りたかっただろうけどサンタと仲良しになったからまた来年のクリスマスには上野動物園エリアのサンタに任命してもらえるかな
いつも優しくてほっこりしたお話ありがとうございます!
>>286
ベビールームさん 良いですね
ベビールームさん またお話待っていますね
>>286
ベビールームさん、とてもいいと思います
浜家のお話にも通じますし
ベビールームさんのお話、私も大好きです
>>282
クリスマスにとても素敵なお話のプレゼントをありがとうございました!
アルン坊やがサンタさんに宛てたお手紙に涙涙…。・゜・(ノД`)・゜・。
アティさんが残した鼻紋もウタイさんにとって何よりのプレゼントだったと思います
そしてリンリンじいじ!いい味出してたーw
颯爽とエレファント・キングダムまで出向いてアティさんの背中を押すじいじ、かっこ良かったです
お空でも元気そうで嬉しくなりました
作家さんのお名前ですが、リビングやベビールームなどお部屋のお話をお書きになっているので、私は勝手に「ルームさん」とお呼びしてましたw
ですので>>286さんご提案の「ベビールームさん」はさらにわかりやすいお名前で良いと思いました
おおらかで懐の深いサンタクロースさんカッコいい!
物心がついて初めてのクリスマスが素敵な思い出になってよかったねアルン
ベビールームさん素敵な長編をありがとうございます
>>286
読んでくれてありがとう御座います。
浜家リビングとベビールームの者、
あらため「ベビールーム」です!
この度は長い作品を読んでいただき本当にありがとうございました!
また名前まで考えてくださりありがとうございます
「ベビールーム」と名乗らせていただくことにいたしましたので
これからもよろしくお願いします!
あのー1つ疑問なのですが
>>292
のレスは私ではないのですが
代わりにお礼を言ってくださったのでしょうか?
>>298
ベビールームしゃん、今後ともよろしくお願いします!
お名前が決まってよかったです
今後はおちにきしゃんみたいにいろんな変化形もあるもしれませんねー
例えば、べビルしゃんとかw
どなたかが代わりに返信してくれてたんですかね
いわゆるなりすましさん?
でも代わりにお礼言ってくださってるみたいなのでれいしょうかもしれませんね