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~ベビールームのウタ先生とおちびさんたち~ 【 Magical Christmas Night 】

わいわいタウンの皆さま、おはようございます。
いつも読んでいただきありがとうございます。ベビールームです。
この度、作品を書きましたので、わいわいさんのサイトにて投稿させていただきました。
ただ、この作品は、パンダさんが、メインではありませんので、その辺りをご了承いただけたらと思います。
また、この作品は、昨年のクリスマスに向けて、2022年12月に書いたものです。
昨年の12月はシャンちゃんや永明さん、桜浜ちゃん、桃浜ちゃんが中国へ渡るという発表があり、私自身ショックを受けたのと、その最中に投稿することを躊躇ってしまい、今になってしまったという経緯がございます。
ですので、登場人物(動物)や背景は、昨年12月時点のものであることも、ご了承いただけたらと存じます。
長い作品ですが、お時間のあるときにでも、読んでいただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。(作品の最後にクリスマスソングのタイトルを幾つか紹介してありますので、YouTubeなどで探してみてください。作品を読みながらなど、クリスマスの期間に楽しんでいただけたらと思います。)

~ベビールームのウタ先生とおちびさんたち~
【 Magical Christmas Night 】

ウタ先生:(ニホンツキノワグマ・上野動物園)

タロコ:ウタ先生の母 (ニホンツキノワグマ・上野動物園→多摩動物公園)

ソウ:ウタ先生の父(ニホンツキノワグマ・上野動物園→多摩動物公園)

新星:(シンシン・ジャイアントパンダ・川川の妻・リーリーのおばあちゃん・シャンシャンのひいおばあちゃん)

川川:(チュアンチュアン・ジャイアントパンダ・新星の夫・リーリーのおじいちゃん・シャンシャンのひいおじいちゃん)

灵灵:(リンリン・ジャイアントパンダ・リーリーのお父さん・シャンシャンのじいじ)

大地:(ダーディー・ジャイアントパンダ・リーリーのおじいさん・シャンシャンのひいおじいちゃん)

琳琳:(リンリン・ジャイアントパンダ・シンシンのお父さん・シャンシャンのおじいちゃん)

アティ:(アジアゾウ・上野動物園)

アルン:(アジアゾウ・上野動物園)

楓浜:(ジャイアントパンダ・アドベンチャーワールド)

ホウちゃん:(ホッキョクグマ・天王寺動物園)

フブキ:(ホッキョクグマ・男鹿水族館)

フブキくんの「おれ」は「お↑れ↓」

※2022年12月上旬時点でのお話です。

ここは老舗ホテルの一室にある、お馴染みのベビールーム。

今日はクリスマス・イブ。

昼間、おちびさんたちはクリスマスソングを歌ったり、サンタさんの似顔絵を描いたり、クリスマスメニューのお昼ごはんや、おやつの時間にはクリスマスケーキを食べたりして、たっぷりとクリスマスを楽しみました。

ウタシェンシェー!バイバーイ!マタネー!バイバーイ…

「はーい!またね!おうちでも楽しいクリスマスを過ごしてね!」

ベビールームのナニー、ウタ先生はおかあさんたちとおちびさんたちに手を振りました。

去年のクリスマスのときより、みんなぐんと大きくなりました。

フブキくんはおかあさんのユキさんより大きくなり、ホウちゃん、アルンくん、楓浜ちゃんもだいぶ大きくなりました。

それでも、まだまだおちびさんたちは無邪気であどけなさが残っているのでした。

フブキくんはウタ先生より背が高くなりましたが、相変わらず「おれね!おれね!」と自分の話を聞いてもらいたがってウタ先生にまとわりついてたりしています。

ホウちゃんと楓浜ちゃんは最近はディズニープリンセスやおしゃれの話に夢中です。

アルンくんは今年も去年のようにサンタさんに来てもらえるよう、お母さんのウタイさんや、お隣のスーリヤさんのお手伝いを続けて良い子に過ごしてきました。

ウタ先生はおちびさんたちの後ろ姿を見送りながら、去年のクリスマスのころを思い出し、おちびさんたちの成長に喜びを噛みしめていました。

みんなの姿が見えなくなると、ベビールームに戻り、ドアを閉めました。

窓から見える外は、もうすっかり日が暮れて真っ暗でした。

ウタ先生は空を見上げ、それからおもむろに胸に下げたロケットペンダントを手に取り、中に入っている写真を見つめました。

そして、再び空を見上げ、

「…お母さん……」

少し悲しげに、そう静かにつぶやいたのでした。

〜ここは空の上の老パンホーム〜

梅梅保育園のお隣の老パンホームでは、今日もシャンちゃんのじいじたちや、ばあばが賑やかにお茶の時間を楽しんでいます。

おや?今日は誰かお客さまが来ているようですよ。

アッハッハッハ!コリャケッサクダ!ワッハッハッハ!…

「あなた、そんなに笑ったら失礼ですよ」

新星ばあばが夫の川川さんを諭しました。

「これは失敬、失敬。いや、タロコさんをオスと間違えるだなんて、ずいぶんとおっちょこちょいな人間がいたもんだなぁと思ってなぁ ワッハッハ」

「父さん、それにしても笑いすぎですよ!」

さすがプレイボーイと名を馳せた灵灵(リンリン) じいじは、女性であるタロコさんを笑ったことに腹を立てて言いました。

今日、老パンホームを訪ねてきたタロコさんは、ウタ先生のお母さんです。

今年の夏が終わったころに、こちら…お空の上にやってきたのでした。

「いいんですよ。わたしがオスと間違えられて夕ロウと名づけられたのは本当のことですし。小さいころ、わたしは男の子のようにやんちゃだったんでしょうね」

「いやいや、こんな素敵な人をオスと間違えるなんて、どうかしとる!父さんもそれを笑うだなんて!」

リンリンじいじの怒りはまだ治らないようです。

「リンリンさん、みなさん、上野にいたころ、リーリーさんとシンコさんにはよくお世話になったんですよ。とても親切にしてくださって。うちのウタと遊んでくれたり。…それで、いつだったか、何かあったときには、じいじさんたちや新星さんを訪ねるといいと、リーリーさんから聞いていたんです」

「そうだったんですか。うちの息子もたまには良いことを言うようになったんですな。ワハハ」

「わしに似て気が利いたことを言うのぉ」

「いや、わしに似たんじゃよ」

「いやいや、わしじゃよ」

じいじたちが、ああでもないこうでもないとあれこれ言いあっているのを後目に、新星ばあばはお茶を淹れて、タロコさんにすすめました。

「あの…ご主人たち…止めなくて大丈夫でしょうか?」

タロコさんが心配していると、

「あの人たちは好きでああしているのよ。いつものことなの。だから放っておいて、こちらはお茶でひと息つきましょう」

新星ばあばはにっこりと笑って言ったのでした。

「そうなんですね…」

「そうなの。あ、美味しいお菓子もあったわ。これもどうぞ、召し上がって」

新星ばあばはタロコさんにお菓子をすすめると、それからテレビをつけました。

「あら、もう雪が降っているのねぇ」

新星ばあばは熱いお茶を飲みながら、地上の様子が映っているテレビを観て、そう言いました。

「雪…」

タロコさんはテレビに目をやると、そう呟きました。

すると、タロコさんの目からポロポロと涙が溢れ出てきたのです。

「タロコさん、どうしたの!」

新星ばあばの真剣な声に、じいじたちのおしゃべりはピタリと止まり、一斉にタロコさんの方を向きました。

「どうしたんじゃ、タロコさん!」

「気分でも悪いのかね」

「大丈夫かい?こっちで休んだらどうだい」

「母さん、タロコさんどうしたんです?」

じいじたちはオロオロしてタロコさんの心配をしています。

「いえね、今さっきテレビで雪が降っているのを観てから泣き出してしまってね…」

新星ばあばも心配そうに言いました。

「…ごめんなさい…ごめんなさい……ご心配おかけしてしまって…」

タロコさんは涙を拭いながら、皆の方に向き直しました。

「一体どうしたの?何か悲しいことでも思い出してしまったの?よかったら話してごらんなさい」

新星ばあばはタロコさんの手の上にそっと両手を乗せ、まるで子どもに話しかけるように優しく促しました。

タロコさんは、こくん…とうなずいて、ぽつりぽつりと話し始めたのでした。

それは今から10年ほど前のこと…タロコさんの娘のウタちゃんが、まだとてもとてもおちびさんだったころ。

タロコさんとウタちゃん、そしてお父さんのソウさんは、冬眠するためにお部屋を暖かくして眠っていました。

ある日の夜中、部屋の中が急に冷えてきて、タロコさんは目を覚ましたのでした。

ウタちゃんとソウさんを起こさないようにそっとベッドから起き出して、暖炉に薪を入れて部屋を暖かくしてから、ウタちゃんとソウさんに毛布を掛けようと納戸から毛布を出してきました。

「うぅ〜ん。。」

物音でウタちゃんが起きたのでした。

「あら、ウタ、起こしちゃった?」

「おかあしゃん…なにちてるの?」

ウタちゃんは、おめめをこすりながら身体を起こして言いました。

タロコさんは眠っているソウさんに毛布を掛けてから、ウタちゃんにも毛布を掛けベッドに腰を掛けました。

「寒かった?今お部屋を暖かくしたからね。また気持ちよく眠れるわ」

タロコさんはウタちゃんの頭をゆっくり優しく撫でながら言いました。

するとウタちゃんが小窓の方を指差して言いました。

「おかあしゃん、あれなぁに?」

タロコさんはウタちゃんが指差した小窓を見ると、雪がちらちらと降っていました。

「あら、雪が降っていたのね。通りで冷えてきたわけだわ。あれはね、雪というのよ」

「ゆき…?」

「そう、雪。寒くなるとね、雨が固まって白い雪になるのよ」

「ふうん…きれい!」

「うふふ、きれいね。そうだわ」

タロコさんは立ち上がって本棚の前に行くと、絵本を手に取ってベッドに戻りました。

「これを読んであげましょうね」

「しょれ、なあに?」

「これはね、子どもたちが雪で遊ぶお話なのよ」

「ゆきであしょべるの?」

「ええ、雪がたくさん降って積もったら遊べるわ」

「ウタもゆきであしょびたい!」

「そうねぇ、雪が積もったら遊びましょうね」

「ううん、いまあしょぶの。おんもいくの」

「今?今はまだ雪が積もってないわ。それに、まだウタちゃんは小さいから今はお外はだめなのよ」

「ウタ、おんもいく。ゆきであしょぶの」

「今はとても寒いから、ウタちゃんが風邪をひいたら大変だわ。今夜は絵本を読んであげるから、いい子でねんねしましょうね」

「うん…」

ウタちゃんはお外で遊べないので、ちょっぴり不満そうでしたが、タロコさんが絵本を読み出すと、絵本の中の子どもたちが楽しそうに雪遊びをしているのを見て、ウタちゃんのおめめはキラキラと輝いていき興味深く聞きいっていきました。

しばらくすると、ウタちゃんは眠りにつきました。

ほっぺは、ほんのりピンク色で、満足そうにお口は微笑んだまま、スゥスゥと寝息を立てていました。

きっと雪遊びをする夢でも見ているのでしょう。

それから何度も冬が来て、雪が降っても、まだウタちゃんが小さいこともあり風邪をひかないようにとタロコさんが用心深くお外に出さなかったり、時には雪が降らない年があったり…そうしているうちに、やがてウタちゃんは成長して大人になっていたのでした。

タロコさんは、ひとしきり話をすると、ようやく顔を上げて、そして続けたのでした。

「わたしたち夫帰はいつも忙しくて…ウタと遊んであげられなかったときもあって…それにわたしが心配性なものですから、結局ウタに雪遊びさせてやれないまま、わたしたち夫婦は上野から多摩動物公園に転勤になってしまって…。
落ち着いたら会おうと言っていたのに…結局会えないまま…わたしが早くにこちらに…空の上に来ることになってしまったんです…」

「そうだったのね…それはさぞかし心残りでしょうね…」

新星ばあばはそう言うと、タロコさんにハンカチを渡しました。

タロコさんはこくりと頭を下げてお礼をして、それからハンカチで涙を拭いました。

「それでテレビで雪が降っているのを観て、思い出して泣いてしまったんじゃな…」

「それは辛いのお…」

「そうじゃなぁ…」

「さぞ、悲しかろうて…」

じいじたちはしんみりとしてしまいました。

すると…

「いかん、いかん!沈んでおったら良くなるもんも良くならん!」

口火を切ったのは灵灵(リンリン)じいじでした。

「タロコさん!今からあなたの望みを叶えましょうや!心残りや思い残しは誰にでもあるもんだが、このままじゃ冬が来るたびに思い出しては悲しい気持ちになるじゃろうし、何よりウタちゃんの願いを叶えてやろうじゃないか」

「そうじゃな、ウタちゃんが寂しくないようにしてやりたいのう」

「たまには良いこと言うじゃないか。そうじゃ、そうじゃ、皆で叶えてやろうじゃないか」

「ありがとうございます…あの子…ウタは、わたしたちが忙しくしていても、いつも『わたしは大丈夫だよ』ってニコニコと笑ってくれて…決して不満を言わないんです…でもきっと我慢していたと思うんです…」

「ウタちゃん、いい子じゃなぁ…」

「タロコさんもお辛かったのう」

「家族のために忙しくしてたんじゃ。タロコさんもソウさんもなんも悪くないでな」

「そうと決まったら、早速行動じゃ!そうじゃな、願いを叶えると言ったら、ちょうどクリスマスじゃ。去年クリスマスに願いを叶えたものがおったでな」

灵灵(リンリン)じいじはそう言うと、どこかに電話を掛けました。

しばらくすると、老パンホームに誰かやってきました。

アティさんです。

「みなさん、ご無沙汰しております。リンリンじいじ、急いで来いと言うから来たのですが、何かあったんですか?」

「ああ、よく来てくれた、アティくん」

リンリンじいじはアティさんに、タロコさんが話してくれたこと、そしてタロコさんのウタちゃんへの想い、ウタちゃんに雪遊びをさせてあげたい、そのために雪をプレゼントしたい…その願いをみんなで叶えたいと思っていることを伝えました。

「なるほど、たしかに僕に連絡が来た意味がわかりました。去年、僕は皆さんのおかげでアルンへクリスマスプレゼントを届けることができましたから、タロコさんにもウタちゃんにも同じように想いを叶えてほしいです」

「そこでだ…」

「分かってます!リンリンじいじ!あの人ですね」

「おお、話が早い!そうじゃ、アティくん、お願いできるかの?」

「もちろんですとも!去年はアルンに勇気をもらって友だちになれたんです。今ではすっかりエッグノッグ仲間ですよ ハハハ」

エッグノッグ仲間といえば…そう、この人。

サンタクロースさんです。

「いやあ!アティ!またエッグノッグの新しい店でも見つけたのかい?HO ♪ HO ♪ HO ♪ 」

アティさんに呼ばれたサンタクロースさんはご機嫌な様子で老パンホームに現れました。

アティさんはサンタクロースさんに、リンリンじいじから聞いたタロコさんが話してくれたこと、そしてタロコさんのウタちゃんへの想いを今から叶えたいことを伝えました。

「ふむ、ふむ。なるほど、なるほど。では、今年はタロコさんにもサンタクロースの手伝いをしてもらって、クリスマスプレゼントをウタちゃんに届けることにしようか」

サンタクロースは分厚いスケジュール帳を取り出すと、パラパラとページをめくって早速スケジュールの調整と、トナカイの配置やプレゼントの手配を始めました。

すると、リンリンじいじが慌てて、

「サンタさん!ちょっと待ってくれんかの」

と言いました。

「はい、どうかしましたか?」

サンタクロースはページをめくる手を止めて、リンリンじいじの方を向きました。

「いや、その、先ほどアティくんから説明があったように、ウタちゃんに雪のプレゼントをしたいってことなんじゃ。タロコさんはウタちゃんに雪を楽しんでほしい、雪を楽しんでいるウタちゃんの姿を見たいってことなんじゃよ」

サンタクロースは分厚いスケジュール帳を持ったまま、リンリンじいじの顔を見つめ、きょとんとした表情をしています。

それからひと呼吸置いてから、

「ああー!!なるほど!そういうことでしたか!」

「そうなんじゃよ、プレゼントと言うのは…」

「"雪"なんですな!」

「その通り!そういう事情なんでな、サンタさん、あなたに頼んだわけなんじゃよ」

すると、サンタクロースさんは少し困ったような顔をしたのです。

「あの…リンリンさん…わたしはサンタクロースなんです…」

「そうじゃ。わしもよーく知っておる」

「いえ、あのですね…サンタクロースはクリスマスプレゼントを下界に届けることはできても、雪を降らすことは……できないんです…」

それを聞いたリンリンじいじと他の三人のじいじたちは、

『しまった!』

という顔をしたのでした。

「ええと…それじゃ…」

「やっぱり…雪を降らすことができるのは…」

「"神さま"じゃ!!」

「そうじゃ!神さまじゃな!!」

ソウジャッタ!ヤッパリカミサマジャナ!ウッカリシトッタワイ!ワハハ!ワハハ……

「サンタさん、呼び出して申し訳なかったの」

「いや、いいんですよ。わたしで役立つことがあれば何なりと。タロコさん、ソウさん、ウタちゃんの想いが叶いますように。HO ♪ HO ♪ HO ♪ 」

「しかし、神さまとなると、今回はタロコさんの願いを叶えたいということじゃから、やはりクマの神さまになるわけじゃな」

「でも、クマの神さまは知らんでな…コマッタワイ」

「どうするかのう…」

「あ、それなら、わたしが…あ、もしもし、サンタクロースです。今から老パンホームに来てもらえる?うん、うん、ではよろしく」

サンタクロースさんは誰かに電話をかけると、ひとしきり親しげに話してから電話を切りました。

じいじたちがしばらくじっと様子を伺っていると……

バーーーーーッン!!

「メリーーーークリスマーーーース!!」

静寂を破り、誰かが老パンホームの扉を勢いよく開けて入ってきました。

それは一頭のクマでした。

じいじたちは目をパチクリさせています。

「なんか見たことのある光景じゃな」

「デブジャかの?」

「それを言うなら、デジャブじゃろ」

「そうとも言うのぅ」

「ハハハハ!やあやあ!みなさん!ごきげんよう!わたしはクマの神さまじゃ!ニコニコ」

じいじたち、新星ばあば、タロコさん、アティさん、サンタクロースさんの目の前に現れたクマの神さまは、気さくな感じで挨拶をしました。

クマの神さまは、ふさふさとした口ひげを生やしていて、カウボーイハットを被り、革のベストを身につけ、脚にはウエスタンブーツ、そして背中にはバンジョーを背負っていたのでした。

「クマの神さまじゃて…」

「なんだかずいぶんと気さくな神さまじゃな」

じいじたちがザワザワとしている間に、サンタさんとアティさん、クマの神さまは輪になって、何やら相談をしはじめました。

じいじたちは、去年アティさんの願いを叶えるために、ゾウの神さまにかけ合ったときのことを思い出していました。

ゾウの神さまは心優しいけれど真面目で厳格でしたので、アティさんがアルンへのクリスマスプレゼントを届けるという願いを叶えるまでには、神さまを説得するのに少々手こずったのでした。

そんな経緯があったので、じいじたちはどうなるだろうとハラハラしながら、その結果を待っていました。

ワハハ!ワハハ!ソウシマショウ!ソウシマショウ!イイアイデアデスネ!ソレデキマリデスナ!ワハハ!ワハハ…

クマの神さまとサンタクロースさんとアティさんの和やかな話し声が聞こえてきました。

「なにやら楽しそうじゃな」

じいじたちが、雪のプレゼントがどうなったのかクマの神さまに聞こうとしたとき、3人の輪の中からクマの神さまが出てきました。

「タロコさん。タロコさんはいるかな?」

「あ、はい!わたくしです」

クマの神さまに呼ばれて、タロコさんはクマの神さまの前に歩み寄りました。

「タロコさん、お話は聞かせてもらったよ。つらかったね」

「いえ…今ではもう大丈夫です…でも、こんなことならウタを雪で思いっきり遊ばせてあげればよかったのに…と後悔しています…」

「大丈夫!今夜はクリスマス・イブですから。ウ夕ちゃんに雪のプレゼントをしてあげましょう ニッコリ」

「あ…ああ…ありがとうございます…」

タロコさんが感激して、お礼を言うのがやっとでした。
そして、今度はサンタクロースさんがタロコさんの目の前に歩み出てきました。

「タロコさん、では早速だが着替えて、それからプレゼントの準備が整ったら出発しましょう。ルドルフ、タロコさんにあれを パチンッ」

サンタクロースさんが指を鳴らすと、トナカイのルドルフが赤いお鼻の上に大きな包みを乗せて、タロコさんに差し出しました。

「あ…ありがとうございます。あ…あの…着替えてプレゼントの準備とは…」

タロコさんはルドルフから包みを受け取って戸惑っていると、今度はアティさんが目の前に出てきました。

包みの中にはサンタクロースの衣装が入っていました。

「去年ぼくはアルンにクリスマスプレゼントを届けたくて、みなさんの協力を得てそれが実現できて…とてもうれしかったんです。
だから、今年はタロコさんがウタちゃんにクリスマスプレゼントを届けられるように、ぼくからサンタさんにお願いしたんです。…おせっかいだったかな」

「いえ…ありがとうございます…雪のプレゼントだけじゃなくて、ウタにクリスマスプレゼントを届けることができるなんて…」

嬉しさで涙ぐんでいるタロコさんの肩を、アティさんはにっこり笑ってお鼻でポンポンと優しく叩きました。

「タロコさん…1つ申し訳ないんだが…」

サンタさんは困った顔をして言いました。

「その…サンタクロースの衣装、男ものしかなくてね…」

サンタさんが申し訳なさそうに言うと、

「サンタさん!大丈夫です!わたしはオスと間違えられてタロウと名づけられたんですもの。ええ、ええ、男性ものだって着こなしましょう!フフフ」

「そりゃあ、頼もしい!ありがとう !HO ♪ HO ♪ HO ♪ 」

サンタさん、アティさん、タロコさんがクリスマスプレゼントの準備に取りかかっていると、老パンホームの入り口の方から、ガヤガヤとクマの一団が入ってきたのでした。

クマたちはそれぞれ楽器を携えていました。

ギターにウッドベースにバイオリン、アコーディオンにハーモニカにタンバリン、ピアノやドラムにいたってはガラガラと台車に乗せて引いて運んできました。

他にも、きらびやかなドレスやスーツを身にまとったクマたちも楽団に続いて入ってきました。

「こりゃ、すごいことになってきたのお」

「ほほう、カントリーミュージックの楽団じゃな」

じいじたちや新星ばあばやタロコさんが思いもしない展開に目を丸くして驚いていると、クマの神さまが背中に背負っているバンジョーを手に取り、
ジャカジャン ♪ と、ひと鳴らししました。

すると、ふわりと雪が降ってきたのです。

「おや?雪じゃ」

じいじたちは不思議そうな顔をして、舞っている雪に手をかざしました。

「いやあ、みなさん、お待たせしたね」

クマの神さまはにっこりと笑って、みんなに向かって言いました。

「これから、タロコさんとソウさん、ウタちゃんの願いを叶えるために、ちょっとした魔法をかけようと思います。それでは、盛大にいきますよ!

Magical Christmas Night !!

ワン ♪ ツー ♪ ワン ♪ ツー ♪ スリー ♪ フォー ♪ 」

クマの神さまのかけ声で、楽団の演奏がはじまりました。

一曲目は【Jingle Bell Rock】です。

音楽に合わせて、サンタさんやアティさん、タロコさんを乗せたソリはシャンシャンシャンと鈴を鳴らしながら滑り出しました。

サンタクロースはルドルフがひくソリに乗り、アティさんとタロコさんのソリを先導しました。

ベテランのトナカイたち、
ダッシャー・ダンサー・プランサー・ヴィクセン・コメット・キューピッド・ドナー・プリッツェンは、今回はタロコさんのソリを任されました。

トナカイたちが引くソリは、真っ暗な空の中を走っていきました。

クマの楽団の演奏に合わせて、きらびやかなドレスやスーツを着たクマたちがクリスマスソングを歌います。

ソリはクリスマスソングをBGMにして、しだいに下界を目指してゆるやかに降りていきました。

アティさんは去年、真っ暗闇の中を走るソリが怖いと思いましたが、今回はすっかり慣れた様子で、後ろに続くタロコさんの方を時々振り向いては、初めてソリに乗るタロコさんが怖くないようにと優しく声をかけました。

「大丈夫ですか?タロコさん!」

「え…ええ…でも真っ暗闇で少し怖いわ…」

「大丈夫!あと少しだけ我慢してください!もう少ししたら、目の前が明るく開けてきますから!」

「は…はい!」

漆黒の空の中、下界へと進むトナカイが率いる3台のソリ。

カントリーミュージックが奏でるクリスマスソングの賑やかな演奏の中、ソリは下へ下へとぐんぐんとスピードを上げて進んでいきました。

時には陽気にテンポよく、時にはしっとりと歌い上げ、クリスマスソングは次から次へと途切れることなくクマの楽団の演奏は続きます。

そして、アップテンポのときは地上に雪がたくさん降り、スローテンポなときには粉雪がちらちらと静かに舞い降りていくのでした。

すると、新星ばあばとじいじたちの目の前にあるテレビから、アナウンサーの驚いた声が聞こえてきました。

「見てください!雪です!今日の予報では、雨も雪も降らないはずだったのですが、ご覧のように先ほどから雪がたくさん降ってきました!東京ではクリスマス・イブに雪が降るのは珍しく、ホワイト・クリスマスになるかもしれません!以上、現場の上野動物園正門前からお伝えしました!」

現場のアナウンサーは少々興奮気味に雪の様子を伝えました。

地上の様子をテレビで観ていた、じいじたちや新星ばあばは、顔を見合わせて、ふふふっと笑い合いました。

サンタさんとアティさん、タロコさんのソリが漆黒の闇の中、クマの神さま率いる楽団のクリスマス・ソングをバックに走り続けていると、だんだんと明るい下界が見えてきたのでした。

それから、暗闇の中から上野の街一帯が目の前に開けてきました。

「タロコさん!ほら!上野動物園が見えてきましたよ!」

アティさんはしっかりとソリの手綱を掴んだままタロコさんの方を振り向いて、声を弾ませて言いました。

「は…はい!」

すると、トナカイたちは上野動物園の上を大きく旋回し始めたのでした。

サンタクロースのソリの後に、アティさん、それからタロコさんのソリも続いて、空に大きな輪を描くように、空中を回りながら走り続けています。

「Merryーーー!Christmasーーー!HO ♪ HO ♪ HO ♪ 」

サンタさんが空に響くように高らかに声を上げると、サンタさん、アティさん、タロコさんのソリの荷台からプレゼントが次から次へと地上へ舞い降りていきました。

小さなパラシュートが付いた、たくさんのクリスマスプレゼントは、上野動物園の動物たちみんなに行き渡るように、動物たちの枕元にふわりふわりと落ちていったのでした。

「わあ!すてき…」

タロコさんは、色とりどりのクリスマスプレゼントが舞い降りていくさまを初めて観て感激しきりです。

それから3台のソリも、薄っすらと雪が積もり始めた動物園の正門前の広場に、ゆっくりと降り立ちました。

「それじゃあ、アティくん、タロコさん、あまり時間はないんだが、愛する家族やご友人たちに会っていらっしゃい」

「はい!」

「ありがとうございます!」

サンタさんに送り出されたアティさんとタロコさんは、それぞれの家に向かいました。

タロコさんは【クマたちの丘】に着くと、急いでウタちゃんの部屋に入っていきました。

ウタちゃんはスゥスゥ…と寝息を立てて眠っています。

「あ…ああ…ウタ…ウタちゃん…」

タロコさんは久しぶりに間近に娘のウタちゃんと対面できてうれしくて涙が流れてきてしまいました。

ウタちゃんの肩が出ていたので、そっと毛布をかけ直してからベッドの端に座り、ウタちゃんがおちびさんだったころと同じように、頭を優しく撫でました。

「いつのまにか…こんなに素敵なレディーになったのね…」

ゆっくりゆっくりと愛おしそうに頭をそっと撫でつづけました。

それから、タロコさんはクリスマスプレゼントをウタちゃんの枕元に置き、それからウタちゃんの頬にキスをしました。

シャン…

外からソリがそろそろ出発するという合図の鈴が聞こえてきました。

タロコさんはウタちゃんとの時間が名残惜しくて、ウタちゃんの頭を撫でながら席を立ちました。

「愛してるわ…ウタちゃん…」

タロコさんはウタちゃんに投げキスをしてから、小さい子どもにするように手を小さく振りました。

それから、タロコさんは急いで、【クマたちの丘】に住んでいる、ずっとお世話になっていたキョウコさん、クーさん、ポンさんとポロさんにも挨拶にまわりました。

「みなさん、ありがとう…これからもお元気で長生きしてくださいね…」

名残惜しいけれど、行かなければなりません。

【クマたちの丘】からサンタさんのもとに戻ると、まだアティさんは戻っていませんでした。

「タロコさん、時間があまり取れなくて申し訳ないね…。それじゃ行くとしようか」

「あの…アティさんは?」

「アティくんは、もう少しここにいて、後で迎えにくることになってるんですよ」

「そうなんですね…」

タロコさんは少し不思議そうな顔をして、ソリに乗り込みました。

10

「では行くとしますか!ダッシャー・ダンサー・プランサー・ヴィクセン・コメット・キューピッド・ドナー・プリッツェン!
タロコさんを頼んだぞ!さあルドルフ!出発だ!」

「タロコさん!またしっかりと手綱を掴んでいてくださいね!」

先頭のダッシャーが言いました。

「は…はい!しっかり掴みました!」

タロコさんの返事を確認すると、サンタさんのソリが走り出し、ダッシャーたちが率いるタロコさんのソリも後に続きました。

シャンシャンシャン……

2台のソリは鈴を鳴らしながら、雪が降る中、空を駆け上がっていきました。

上野動物園がだんだん小さくなっていくのを見て、タロコさんは寂しくなり、胸がきゅっと痛みました。

「ウタちゃん…」

サンタさんの乗っているソリはぐんぐんとスピードを上げて走り続けています。

何やら急いでいるようです。

それでもソリは、街並みが見えるくらいの高度を保って走り続けています。

タロコさんはとにかく振り落とされないように手綱をしっかりと握りしめて、前を見据えていました。

しばらくすると、ネオンの灯りで輝いていた街並みが、だんだんと薄暗くなってきたのでした。

山も見えてきました。

タロコさんはようやく気付いたのでした。

そう、サンタさんは多摩動物公園に向かっていたのでした。

「まさか…」

タロコさんが、まだ信じられないと思っていると、ルドルフの率いるサンタさんのソリは、多摩動物公園の上を大きく旋回し始めました。

「Merryーーー!Christmasーーー!HO ♪ HO ♪ HO ♪ 」

サンタさんは、また空に響くように高らかに声を上げると、サンタさんとタロコさんのソリの荷台からプレゼントが次から次へと地上へと舞い落ちていきました。

小さなパラシュートが付いた、色とりどりのクリスマスプレゼントは、上野動物園のときと同じように、多摩動物公園の動物たちみんなに行き渡るように、動物たちの枕元にふわりふわりと落ちていったのでした。

それから、2台のソリはゆっくりと地上に降りました。

「それじゃあ、タロコさん、行ってらっしゃい ニッコリ」

「はい、ありがとうございます。行ってまいります」

タロコさんはクリスマスプレゼントを胸に抱えて走り出しました。

「あなた…あなた…今行きます…」

タロコさんは懸命に、多摩動物公園のキツい坂を息を切らせながら駆け上がっていきました。

クマ舎に辿りつくと、ソウさんの部屋に静かに入っていきました。

タロコさんの旦那さまのソウさんはグーグーといびきをかいて眠っていました。

タロコさんはウタちゃんのときと同じように、プレゼントを枕元に置き、それからソウさんの毛布を肩までかけ直すと、ベッドの端に座って、ソウさんを見つめました。

タロコさんは思っていたより早くに空の上に行くことになってしまったことを申し訳なく思っていたのでした。

「あなた…ごめんなさい…ひとりにしてしまって…」

「う〜ん…」

ソウさんが寝返りを打ち、タロコさんの方を向きました。

タロコさんはソウさんの手の上に手を重ね、それからソウさんの頬にそっと自分の頬を合わせて愛おしそうに頬ずりをしました。

シャン…

外からソリの鈴の合図が聞こえてきました。

「あなた…元気に長生きしてくださいね…」

タロコさんはソウさんの部屋を後にしました。

「戻りました。サンタさん、ありがとうございました。ウタのことだけでなく、主人のところまで連れてきてくださって…」

「いやいや、喜んでもらえてよかった。少しは心残りが解消されたかな」

「はい。もう会えないと思っていましたから、ウタと主人に会えて…うれしかったです…」

サンタさんはポンポンと優しくタロコさんの肩を叩きました。

「それじゃあ、そろそろアティくんを迎えにいくかな」

「はい!」

11

ソリを走らせ、上野動物園に着くと、雪がずいぶんと積もっていました。

「HO ♪ HO ♪ HO ♪ クマの神さまたち、ずっとがんばって演奏を続けてくれていたんですな」

クマの神さまが率いるカントリーミュージックの楽団がクリスマスソングを奏でている間、ずっと雪が降っていたのでした。

すると、アティさんが動物園の正門から小走りでやってきました。

「サンタさーん!タロコさーん!お待たせしましたー!」

「アティくんも心ゆくまでアルンくんとウタイさん、スーリヤさんに会ってこられたかな?」

「ええ!アルンは、ぐんと大きくなっていてびっくりですよ!ウタイちゃんもスーリヤさんも元気そうでした!……アルンが…かわいくてかわいくて…グスッ」

「あらあら…」

タロコさんはハンカチを取り出して、アティさんの涙を拭こうとすると、

「あら?…うふふ」

「あれ?何か顔についてたかな?グスッ」

「お口のまわりにミルクのあとがついてますわ。ウフフ」

「あはは、ミルクがついてましたか!実は、今年もサンタさんのためにってアルンが用意してくれてたんです。
クッキーとミルクを。うれしかった
なぁ…」

そうなんです、アティさんは昨年のクリスマス・イヴの夜と同じように、アルンくんがサンタさん用にと用意しておいてくれたクッキーとミルクを、ちゃんと口にしてきたのでした。

時間があまりない中、慌ててクッキーとミルクを口にしたので、口の周りにミルクのあとが残ってしまっていたのです。

「さて、そろそろ帰る時間だが、お二人とも大丈夫かな?」

「はい!」

「大丈夫です!」

「では出発するとしよう!トナカイのみんな!アティくんとタロコさんを頼んだぞ!それ!ルドルフ行くぞ!」

サンタクロースを乗せたソリを先頭に、アティさん、タロコさんのソリも後に続き、空に向かって上っていきました。

シャンシャンシャンシャン……

12

日付けが変わってクリスマスの朝。

ウタ先生は、朝、目が覚めると枕元にあるプレゼントに気がつきました。

「あら?何かしら?」

それからプレゼントのリボンに挟んであったクリスマスカードを見つけました。

カードを開けてみると、メッセージが書いてありました。

****************

ウタさんへ

メリークリスマス

ウタさんはベビールームの先生として、よくがんばっているのですね

きっと子どもたちもウタさんのいるベビールームに通うことを楽しみにしているのでしょう

クリスマスイブの夜、たくさんの雪が降りました

今ごろたくさん積もっていると思います

大人になった今では少し遅いかもしれないけれど

今度こそ思いっきり雪で遊んでくださいね

体に気をつけて毎日楽しく過ごしてくださいね

サンタクロースより

****************

「雪……」

ウタ先生はそうつぶやき、しばらくクリスマスカードに目を落としていました。

すると、ウタ先生はハッと何かに気づいて、部屋を飛び出しました。

外に出るとキョロキョロと辺りを見渡し、それから動物園の正門の外まで走りました。

正門前の広場には、ソリの跡とトナカイたちの足跡が雪の上にまだたくさん残っていたのでした。

ウタ先生は、その中にクマの足跡があるのを見つけました。

「お母さん…」

ウタ先生はその足跡を見つめ、それから空を見上げました。

「お母さん…来てくれたのね…」

昨夜ベビールームの窓から空を見上げていたときとは、ウタ先生の表情が違っています。

悲しげな表情は消え、晴れやかで、やわらいだ、そんな表情でしばらく空を見続けていました。

13

ところ変わって、ここは老舗ホテルのイングリッシュガーデン

「いくよー!」

「それー!」

「きゃー!ちゅめたーい!」

「やったなー!」

ワイワイ!キャッキャ!アハハ!

ベビールームのおちびさんたち、アルンくん、楓浜ちゃん、ホウちゃん、フブキくんはたくさん積もった雪で雪合戦をはじめていました。

「みんなー!がんばってー!」

ウタ先生はみんなを応援します。

「ウタしぇんしぇー!それー!!」ポスン

「きゃー!冷たーい!こらー!フブキくん!」

「えへへ!おれ、あてるのうまいんだー!」

「やったわねー!それー!」ポスン

ウタ先生も急いで雪を丸めると、フブキくんに優しく投げました。

「わー!ちゅめたーい!キャッキャッ」

「ホウもー!えいっ!」ポスン

「わーい!ぼくも、えーい!パオン」ポスン

「ふうも、ふうも!えいっ!プルプル」ポスン

いつのまにかウタ先生も、おちびさんたちと一緒になって雪合戦を楽しんでいたのでした。

「(お母さん…ありがとう…わたしとっても幸せだよ…)」

ウタ先生はとても満足そうな笑顔を浮かべていました。

14

今日はクリスマス

おちびさんたちの元にも、お父さんサンタが…お母さんサンタが…やってくるのでした。

すぐそばから、遠いところから、お空の上から…時間を超え空間をも超えて…お父さんたち、お母さんたちは愛するわが子の元にやってきます。

それぞれの家族の形、事情はあれど、愛する家族が集まるクリスマス。

灯りがともる温かいおうちの中から、うれしそうな笑い声が聞こえてきます。

クマの神さまとサンタクロースさんとアティさんは、地上から聞こえてくる喜びに満ちあふれた声を聞きながら、うれしそうにエッグノッグで乾杯するのでした。

おしまい

****************

【クリスマスソング】

『Jingle Bell rock』
Blake Shelton

『It’s Beginning to Look a Lot like Christmas』
Michael Buble

『Have Yourself a Merry Little Christmas』

『Deck the Hall』

『Sleigh Ride』

『The Christmas Song』

『Santa Claus Is Comin’ To Town(サンタが街にやって来る)』

『Winter Wonderland』

『Rock and Roll Santa』

『Rudolph The Red Nosed Reinder(赤鼻のトナカイ)』

『Blue Christmas』

****************

皆さんとべビルさんのレス(2024/01/06 追記)

877: 名無しさん? 2023/12/23(土) 15:29:05.86 ID:qtSw/FKO0
>>876
べビルさん、作品ありがとうございます
あとでゆっくり読ませていただきますね
今は大きくなったあの子たちがかわいく出てくるのかなぁ
べビルワールドを楽しませていただきます

 

887: 名無しさん? 2023/12/24(日) 04:34:36.13 ID:sYameRu60
>>877さん
メリークリスマス♪
今回はウタ先生と家族が中心となったお話で、あまりおちびさんが出てこなかったので、
ご期待に添えたか自信がありませんが、もし読んでいただけたらうれしく思います!
クリスマスを楽しくお過ごしくださいね♪

 

878: 名無しさん? 2023/12/23(土) 16:52:04.77 ID:zd8f8zpE0

>>876
ベビールームさん、わいわいさんのところで読んでまいりました!
私はお話にパンダが出てこないことも気になりませんし、むしろパンダ以外の動物の勉強にもなり大歓迎です

ゴワゴワが手元になかったためティッシュを何枚もグシャグシャにしながら読み進め、でもじいじたちや陽気なサンタさんの様子にはクスッとさせていただきました
クマの神様率いる楽団が演奏している間雪が降るというのもとても素敵
ベビールームさん、幸せな気持ちになれる素敵なお話をありがとうございました

 

888: 名無しさん? 2023/12/24(日) 04:35:59.53 ID:sYameRu60
>>878さん
メリークリスマス♪
読んでいただきありがとうございます!感想まで寄せてくださり、とても励みになりました
またパンダメインでなくても大歓迎と言っていただきとてもありがたく存じます
クマの神さま率いる楽団はディズニーランドのジングルベルジャンボリー(クリスマス限定)から発想したものなんです
陽気だけど時にはしっとりと歌い上げるクマさんたちが大好きなんです
クリスマスを楽しくお過ごしくださいね!

 

884: 名無しさん? 2023/12/23(土) 21:45:26.45 ID:7biHMq8o0
>>876
ベビルさん、梨です。今回も暖かなお話をありがとうございました
一度は書いてみたいと思っていた、あの家族の物語。書かなくて良かったと今しみじみ思い安堵しています
ベビルさんの優しくて柔らかく繊細な表現、すごく羨ましい。見習いたい。もう何度でも読んでしまいます

 

889: 名無しさん? 2023/12/24(日) 04:37:24.30 ID:sYameRu60
>>884
梨男さん
メリークリスマス♪
読んでいただきありがとうございます!感想まで寄せてくださりうれしく存じます
わたくち梨男さんのクマさんたちのお話が大好きなんです
クマさんたちが可愛くて、それぞれのキャラクターが立っていて、そしてユーモアがあって、いつも楽しく拝読させていただいています
なので、ぜひ梨男さんのウタちゃんファミリーのお話も読ませていただきたいです!
クリスマスが楽しい時間となることお祈りしています