思い出のバナナケーキ-2021/06/21(月)

思い出のバナナケーキ1

「ママ、ちちの日って何？シャンおねえちゃんが今日はちちの日だから料理を作るってキョウコおばちゃんに言ってるの聞こえたんだけど」
「アルン、アルンも今日は父の日を祝おうか？」
「ちちって何なの？ぼくも今日は料理するの？」
「ええ、そうしましょう　何がいいかしら？そうねぇ、バナナケーキにしましょう」
「わーい！バナナケーキ大好き！」
「うふふ、じゃあ一緒に作るわよ」
「はーい」
ウタイとアルンはときどきバナナをつまみ食いしながら、楽しく作り始めました

思い出のバナナケーキ2

「出来上がり　うふふ、美味しそうね」
「できあがり！おいしそう！おいしそう！早く食べよう！」
「まだダメよ　バナナケーキを切り分けて、バスケットに入れてと
ええと、あとはお皿とフォークとコップとリンゴジュースを用意しなきゃね」
「ママ早く！」
「アルンはスーリヤさんを呼んできて」
「はーい、スーリヤさーん！ﾄｺﾄｺﾄｺ」
数分後、アルンがスーリヤを連れて戻ってきました
「スーリヤさん、今日は父の日なんで私たちと一緒にスーリヤさんも祝ってくれない？」
「ええ、もちろんよ」
「じゃあ、アルン出発よ」
「しゅっぱつ！よーし行くぞ！ﾄｺﾄｺﾄｺ
あれ？どこに行くの？」

思い出のバナナケーキ3

「ここよ、ここで食べましょう」
「いつものお庭だよ、もっと遠くに行こうよ」
「ここがいいの、ここじゃないとダメなの」
「アルン君、私もここがいいと思うな」
「うーん、スーリヤさんがそう言うならいいよ」
ウタイはレジャーシートを広げ、その上に持ってきたものを次々と並べていきました
「あっ！」
アルンがウタイが最後に並べたものを見て声を上げました
「アルン、父の日はお父さんに感謝する日
つまりお空の上のパパにいつもありがとうって言う日よ
そしてダヤーさんにもお空の上でいつもパパと一緒にいてくれて、ありがとうって伝える日なの」
ウタイが最後に並べたのはアティとダヤーの写真でした

思い出のバナナケーキ4

「パパとダヤーさんは姿が見えなくてもいつも私たちのそばにいるわ　いつも見守ってくれてるわ
だからこれからも父の日やパパやダヤーさんの誕生日の日も、こうして3人でお祝いしましょう
2人が生前過ごしたこの庭なら2人のぬくもりを感じられる気がするの」
「うん！ぼくはパパに会ったことないし、ダヤーさんとも少ししか一緒にいられなかったけど、でもぼくは2人が大好きだよ
ママとスーリヤさんから聞く2人はすっごくすっごく優しくて、かっこいいんだもん！
パパ！ダヤーさん！ありがとう！」
「ｸﾞｽｯ ｸﾞｽｯ」
「スーリヤさん、どうしたの？なんで泣いてるの？ﾊﾟｵﾝ？」
「ウタイがいつの間にかすっかり大人なって、優しいお母さんになったんだなって思ったらうれしくて ｸﾞｽｯ」
「ぼくのママも優しくて強くてかっこいいんだよ！スーリヤさんも優しくて大好きだよ！」
「うふふ、アルンもスーリヤさんもありがとう　スーリヤさん涙を拭いて
じゃあお空の上のアティとダヤーさん、アルンもスーリヤさんもバナナケーキを食べましょう
みんなでせーの！いたーだきます！」
こうして父の日のバナナケーキはアルンにとって、特別なバナナケーキとなりました

思い出のバナナケーキ5

「ゾウーさんゾウーさんおーはながながいのね　そうぉよー　かーあさんもなーがいのよー」
「あっ、アルンしゃん、こんにちはでしゅ」
「シャンおねえちゃん、こんにちは
ねえねえ、おねえちゃんは昨日のちちの日どうだった？」
「昨日はでしゅねぇ、オムライ……(はっ！アルンしゃんはお父しゃんがいないんでちた)
えっと、えーっとでしゅねぇ、昨日は魔女の宅急便を観たあと、飼育員しゃんからホウキを借りて空を飛ぶ練習をして、そのあとお昼寝して気づいたらもう夜で、シャンメリー飲みながらサザエさん観てたらもう朝になってまちた
えへへへ、これが日曜日のオトナの女の正しい過ごし方でしゅよ　エッヘン！」
「ぼくはね、ママとバナナケーキを作って、ママとスーリヤさんとパパとダヤーさんとみんなでちちの日をお祝いしたんだ
初めてのちちの日はすっごく楽しかったんだよ」
「そうでちたか　それは良かったでしゅねぇ(ｱﾙﾝの頭ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ)
バナナケーキおいしかったでしゅか？ｼﾞｭﾙﾘ」
「うん、今度またママと作るから食べにおいでよ」
「あい、行きましゅ　じゃあ今日は一緒にホウキで空飛ぶ練習しましゅか？
あんたの顔いいよ、この前よりずっといい顔してる(ｱﾙﾝ、ﾎﾟｶｰﾝ)」
プミとアルンはルージュの伝言を口ずさみながら飼育員さんのもとに行くのでした