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梅梅保育園 新星ばあばの旅立ち-2020/12/21(月)

950: 名無し草 2020/12/21(月) 23:46:36.12 ID:gOkzDE8E0

梅梅保育園 新星ばあばの旅立ち 1

ここは森の中、一人の老パンダが歩いていました
「えーと、この道を歩いて行けばいいと言われたけどこっちでいいのかしらね」
道を進んで行くと看板が見えてきました 看板は矢印になっていて「こっちでしゅ」と書いてありました
「こっちに行けばいいみたいね」
矢印の通りに進んで行くと、道が見えてきました
「新星しゃーん」
「こっちやでー」
「あら、あそこで手を振ってるわね」
新星と呼ばれた老パンダは手を振ってる二人に気がつき、そちらに向かいました
「ここでいいのかしら? あなた達は?」
「わたくちたちは妖精でしゅ」
「そう、フェアリーやで 新星さんの旅立ちの手伝いをするんやで」
「おてつだいでしゅプルルン」
「おや、かわいい妖精さんだね」
3人目の妖精はポケットからかわいい顔を出しました
「うちの弟で見習いやねん」
「わたくちのでちでしゅエヘン」
「あかん、うちが立派に育てるんや ピキー」
「あらあら、ケンカはだめよ」
「いちゅものことでしゅ 気にしないでくだしゃい プルルン」
「あら、そうなの」
新星さんは妖精たちのやり取りを微笑ましく見てました
「それで、私はどうなるのかい?」
「あ、そうでちた まもなくお迎えの馬車がきますからそれに乗ってくだしゃい」
「中はゆったりしていて、エアコンやWi-Fi完備やで 」
「まあ、お洒落ね」

シャンシャンシャンシャン バカラッパカラッ
しばらくすると、軽やかな鈴の音と蹄の音が聞こえて来ました
「お待たせしました 」
トナカイがカボチャの馬車を引いてきました トナカイは赤と白のケープにたくさんの鈴をつけています
「おや、トナカイさんかい」
「一見トナカイだけど実は初代シュンでしゅプミー」
「今月はトナカイバージョンやで ツノは被り物やねん」
それはトナカイのツノをつけた初代シュンという馬でした

 

951: 名無し草 2020/12/21(月) 23:53:27.91 ID:gOkzDE8E0

新星ばあばの旅立ち 2

「シュンさんていうのね よろしくお願いしますね」
新星さんはシュンの顔を優しく撫でました
「こちらこそよろしくお願いします 安全運転で行きますからご安心ください」
シュンが応えました
「新星さん、車内にはお茶やコーヒーなど飲み物があるから自由に飲んでええよ こっちにはスープカレーが入ってるから適当な時に食べてや」
妖精は食べ物が入ってるバッグを新星さんに渡しました
「ありがとう」
「シュンは時々休憩しましゅがどうぞおかまいなくでしゅ なんでニンジン好きなんでしゅかねブツブツ」
「ニンジンも美味しいですよヒヒーン」
そういえば、ひ孫でニンジンが苦手な子がいたわねと新星さんは思いました
もし、留学に来てくれたらニンジン克服のメニューを考えていたのにと
「そろそろ出発の時間やで 新星しゃん、足元に気をつけて乗ってな」
「あわてなくていいでしゅプルルン」
「はい、ありがとう よいしょっと」
新星さんはゆっくりとステップを上がって馬車に乗りました
「シートベルトを絞めてくださいね ではしゅっぱーつヒヒーン」
3人が見送ってくれるなか、シュンがカボチャの馬車を引っ張ってゆっくりと走って行きました
シャンシャンシャンシャン
軽やかな鈴の音が森の中に響きます

 

952: 名無し草 2020/12/21(月) 23:55:08.28 ID:gOkzDE8E0

新星ばあばの旅立ち 3

新星さんはうとうととしていました
次に目が覚めた時、馬車は止まっているようでした
「おや、どうしたのかしら」
外を見るともう夜で、真っ白な風景が目に入りました
「雪が積もってるわね」
新星さんはゆっくりとドアを開けました
シュンが焚火で暖をとっていました
「あ、マダム すみません 起こしてしまったようで」
「いいのよ 休憩中だったのね」
「はい 少し休んだらまた出発します」
「ちょっとまってね」
新星さんは馬車の中にあったマグカップに温かいココアを淹れ、マシュマロを持って外に出ました
「さあ、ココアをどうぞ」
「あ、いや いいのですか?」
「もちろんよ マシュマロも焼きましょうね 私もお腹すいちゃったのよ」
焚火の前に小枝に刺したマシュマロを置きほどよい焼き具合になった頃、シュンと新星さんはマシュマロを食べました
「皆さん、こんな立派な馬車で旅立つの?」
新星さんはシュンに尋ねました
「いいえ、マダムはパンダ界のゴッドマザーと聞いてますので今回は特別なんです」
「あら、私は特別なことはしてないわよ ただ、皆さんよりちょっとだけ長生きしただけだったのよ」
「いえ、それがすごいことなんです マダム」
「そうね、長生きしてる分だけいろいろあったわ でも悲しいことや辛いことはだんだん忘れていって楽しいことだけ残っていくような気がするわ」
しんしんと雪が積もっていきます
「この馬車で雪道は大丈夫なの?」
「ご心配なく このボタンを押せば」
シュンが馬車の横についてるボタンを押すと、車輪があっという間にそりに変わりました
「まあすごい」
「これでどんな雪道も大丈夫です ではそろそろ出発します」
「はい」
新星さんが馬車に乗るのを確認したシュンは、焚火の火を消して持ち場に着きました
「では出発します」
シャンシャンシャンシャン
真っ白になった静寂の中をカボチャのそりが走って行きます

 

953: 名無し草 2020/12/22(火) 00:00:43.74 ID:TToYrXF30

新星ばあばの旅立ち 4

新星さんは外を見ながらいろんな事を思い出してました
子供たち、孫たち、ひ孫たち、思い出の橋の下…
「そうだ、あのひと元気かしらね」
そしてまた少し眠りました

コンコン
シュンが窓を軽くノックしました
「あら、また眠ったようね はい」
「マダム、到着しました」
「着いたのね ありがとう」
馬車のドアを開けて新星さんはシュンが用意してくれたステップをゆっくりと降りました
「私の役目はここまでです じきにお迎えの方達がきますのでここで待っててください」
「シュンさん、ありがとう 楽しかったわ」
「こちらこそありがとうございました、マダム」
シュンは新星さんを降ろすと去っていきました
外はすっかり明るくなっていて、目の前には雪で真っ白になった大きな平原が広がっていました
ベンチに腰掛けて待っていると
「新星ばあばー」
声が聞こえてきました 声の主は上野のお兄ちゃんでした
「おや、お兄ちゃん 久しぶりね」
「母さん、待ってたよ ずっと気になっていたんだ」
「リンリン(霊霊)、また会えてうれしいよ」
リンリンじいじもやってきました
「じいじ、顔が子供みたいになってるウフフ」
お兄ちゃんが言いました
「お兄ちゃん、親からみるといくつになっても子供は子供なのよ」
「父さんももうすぐくるよ ほら、きた」
「ああ、あなた ようやく会えましたね」
川川さんがニコニコしながらやってきました
「ああ、ようやく会えたね 梅ちゃんが待ってるからいっぱい話を聞かせておくれ」
「梅梅さんね」
「うん、梅梅先生がお茶とお菓子を用意して待ってるよ」
お兄ちゃんが言いました
「ええ、行きましょう」
新星さんは川川さんにエスコートされながら梅梅保育園に向かうのでした

おわり

 

954: 名無し草 2020/12/22(火) 00:14:58.27 ID:KPJOqt650
>>953
作家さんありがとうございます!
老パンホームのお話リクエストした図々しい者です。
素敵な話に涙ぐみそうになりながら自然と優しい気持ちの笑顔で読ませていただきました!
本当にありがとうございます!

 

956: 名無し草 2020/12/22(火) 00:39:43.56 ID:I7ydWLEb0
>>953
作家さん、素敵なお話ありがとうございます
落ち込んでいた気持ちがほんわかして涙が出ました
ばあば、最愛の川川さんに再会できてよかったね
初代シュンのスマートな仕事っぷりもかっこよかったです

 

955: 名無し草 2020/12/22(火) 00:20:51.82 ID:qqm4SDFp0

ゴワゴワを あのゴワゴワを下さい。。。

作家さんすてきなお話 ありがとございます

 

957: 名無し草 2020/12/22(火) 01:02:27.53 ID:AUfls7hw0
>>950
いつもの「こっちでしゅ」から始まってかぼちゃの馬車がソリになるとこ最高でした!
新星ばあばももう寂しくないね寒いけど心があったまりました(´;ω;`)ウゥゥ
ゴワゴワで涙拭きますよ 冬のゴワゴワはお肌に厳しいからクリームも塗りますよ えぇ

 

958: 名無し草 2020/12/22(火) 02:42:47.02 ID:EE9mpz3H0
>>950
優しいお話しに涙涙涙
例のゴワゴワなしには読めましぇん

 

959: 名無し草 2020/12/22(火) 06:10:43.40 ID:WxPU+FTX0
作家さんありがとしゃんでしゅ
ごわごわが必要でしゅ

 

960: 名無し草 2020/12/22(火) 07:15:53.53 ID:0mSCqbND0
素敵なお話ありがとう
あたくちにもゴワゴワくださいな

 

931: 名無し草 2020/12/21(月) 18:35:08.75 ID:8qBJE4nO0

老パンホームがあって良かった

 

961: 名無し草 2020/12/22(火) 07:42:38.28 ID:lWXt0LVY0
朝から涙目になった
素敵なお話ありがとうございます♪
毎回思うんですが即席でこんなに素晴らしいお話が作れるのすごいです!!

 

962: 名無し草 2020/12/22(火) 08:14:17.99 ID:kAlYG4zP0
かわいいお話かわいい ひいばあちゃんも無事暖かく
向こうにたどりついてよかったなあ

42: 名無し草 2020/12/22(火) 15:27:38.58 ID:5oAcazDl0

前スレで新星ばあばの旅立ちを書いた者です
訃報を知った時はショックでしたが、笑顔で見送ってあげようと思い書きました

昨日は冬至だったのでかぼちゃ、かぼちゃといえばシンデレラの馬車で、馬車に乗って川川さんやじいじ達の元へ旅立つイメージにしました
今年の新星ばあばの誕生日映像だったと思いますが、子供の頃の映像もありシャンにそっくりだと思いました
新星ばあばのDNAはちゃんとシャンに受け継がれていますね

 

51: 名無し草 2020/12/22(火) 18:12:02.84 ID:VXwAcxEv0
>>42
本当に素敵なお話でした
ありがとシャンです
シャンも新星ばあばのように偉大なパンダさんに成長してくれたら嬉しいですね

 

65: 名無し草 2020/12/22(火) 21:27:33.70 ID:34YkpeCJ0
>>42
作家さん本当に素敵なお話しありがとうございます!
途中涙がブワッとでてきて感動でした。
シュンの馬車に乗って川川さんのとこにいくなんて号泣です。偉大なばあばが川川さんやじいじといるのを想像したら休園のショックも和らぎました。

 

66: 名無し草 2020/12/22(火) 22:20:44.03 ID:ozoY4EZ80
>>42
素敵なお話ありがとう。
何年か前に見たdiorのクリスマスコマーシャルを
思い出しました。
シャンシャンという鈴の音に泣けました。