クマの丘のリレークッキング4話〜6話-2022/09/19(月)

クマの丘のリレークッキング 4話

「さて、ひと通り丸め終えたね。ここでおやつにしましょ」
「ねえキョウコママ、残りのとうもろこしはレンチンしよっか？」
「そうだねクーちゃん、お願いしてもいい？」
「もちろんよ、食べやすいようにカットするね」
「クーさん、私も一緒に」

小Ｙさんとクーさんは、再び並んで台所へ立ちました。

「ウタちゃんと小雅ちゃんは、冷蔵庫を開けてごらん」
「はーい」
「あっ！あんみつ見ーつけた！」
「ふふふふ、あんみつは７個あるでしょう？」
「にーしーろく…はい、７個です」
「ウタちゃん、そのうち２個はエゾフタゴに持ってってあげて」
「ポロ兄ちゃんとポン兄ちゃんね、渡してきまーす」
「小雅ちゃんは、おばちゃんと一緒にテーブルを準備しましょうね」

キョウコさんのお家のダイニングテーブルは、ゆったり６人がけです。
日頃からクーさんとウタさん、ポロさんポンくんが集まるのでしょう。
小雅ちゃんがあんみつとスプーンを揃えて、テーブルにセットします。
その後を追うように、キョウコさんはグラスへ麦茶を注いで回ります。

「はーい、お待たせー！」

クーさんがテーブルのど真ん中に、とうもろこしの山を置きました。
ほぼ同時にウタさんが帰ってきて、楽しいおやつの時間の始まりです。

「小雅ちゃん、とうもろこしの粒を簡単に取る方法って知ってる？」
「知らないです。どうするんですか？」
「この縦に切れているところにね、こうして親指を置いて…」

ウタさんが小雅ちゃんに、とうもろこしの粒の取り方を教わります。
お友だちの中ではお姉さん役の小雅ちゃんですが、今日は末っ子です。

「こうして、くいっ？ですか？」
「そうそう、一緒にいくよ？いっせーのーくいっ！」
「わっわっ取れる取れる！」
「上手上手！はい、おくちにポイッ！」

ふたりの微笑ましいやり取りに、大人たちも文字どおり微笑みます。
そして一口目のあんみつに、また違う笑みがこぼれるのでした。

（明日以降に続く…のですが頑張って今夜どうにかしたいかも）

クマの丘のリレークッキング 5話

楽しいおやつの時間を過ごしたら、いよいよ本日のメインイベント。
年少チームが衣をつけて、年長チームがコロッケを揚げていきます。
鼻息で粉が舞うので、小雅ちゃんとウタさんはマスクをつけました。

「小麦粉で手が白くなるの、ちょっと楽しいよね」
「赤ずきんに出てくるオオカミの手みたい」
「違うよー、七匹のこやぎのオオカミだよ」
「あ！そっちでした！」

小雅ちゃんとは逆に、クマたちの丘では末っ子の立場のウタさんです。
小雅ちゃんとのやり取りが嬉しくて、付きっきりでお世話しています。
小Ｙさんとクーさんは、油の温度から念入りに打ち合わせをしています。

「冷凍じゃないし、そこまで高温でなくてもいいかな」
「うん、じゃあやっぱり１７０℃くらいでいきましょ」
「この鍋だと４個ずつですね」
「４個ずつ、ふたりで８個‥いけますね」
「ええ、頑張りましょう」

キョウコさんは煮汁に浸している茹で卵を、ころころと転がしています。
すべてのコロッケが揚がる頃に、ちょうど食べごろになっているはずです。

（明日以降に続く）

（皆さま台風は大丈夫でしたか？梨は寝込みました）

クマの丘のリレークッキング 6話

「母ちゃん！クー姉ちゃん！衣づけ終わったよー」
「ありがとう小雅ちゃん、後は任せて！」
「小雅もウタちゃんも、手を洗ってお片づけしてね」
「はーい」

小雅ちゃんとウタちゃんは、お片づけの後に折詰めの役目があります。
煮卵ひとつコロッケをふたつをセットで、エコ容器に詰めていきます。
これらは園内のクマ仲間たちと、ご長寿の動物たちへ届ける予定です。

キョウコさんはどこかへ電話をかけています。何かの交渉をしています。
電話の相手はあっさり承諾したようで、キョウコさんは終始笑顔でした。

「たっまっごー♪」
「コロッケコロッケ♪」
「たっまっごー♪」
「コロッケコロッケ♪」

小雅ちゃんとウタさんは、あうんの呼吸で煮卵とコロッケを詰めていきます。
ほぼ初対面だったはずのふたりが、長年の相棒のような働きをしています。

「ウタも小雅ちゃんも元気だわあ」
「私たちは少しバテてきたわね‥」
「もう顔が汗なんだか油ハネなんだか、びったびた」
「もう一息よ、終わったら真っ先に洗顔しましょ」
「ねえ小Ｙさん、今夜一緒に銭湯へ行かない？」
「いいわねえ！ぜひぜひ」

小Ｙさんとクーさんも、すっかり打ち解けました。今夜は牛乳で祝杯ですね。

（明日以降へ続く）