小雅ちゃんとお母さん、とっても嬉しそうでした
そうでしゅね。おともだちとして、しゃんも嬉しいでしゅよ(目を細める)
「そんな友達思いのシャン子さんには、海外にも熱心なファンがいますね。バックヤードでも噂ですよ コノコノ」
「・・・誰でしゅかね?・・・オナカスイタ トコトコ」
「今年もお手紙やプレゼントをたくさんもらったでしょう。ってどこに行くんですか」
「ニンジンパクパク うーん きょうはいまいちでしゅねぇ・・・でも食べないと・・・タンタンしゃんにおこられましゅから・・・ブツブツ」
「シャン子さん、カメラにお尻向けないでくださいよー。やれやれ。――ん?」
「えー、みなさんすみません。海外と中継がつながる予定でしたが、回線の調子が悪いとのことで、このコーナーはまたのちほど」
パカラッパカラッ ヒヒーン パカラッパカラッ
「・・・行ってしまいましたね。あっシャン子さんだめですよ!お食事時ですから見えない所で」
「ピコピコ ピコピコ はぁしゅっきり」
しゅっきりでしょうけども。ちりとり、ちりとり、と。サッサッ
「だいじょうぶでしゅよ。しゃんのピコはレモンの香りとも言われていましゅし。きれいなものでしゅ、ええ。若しゃんもおひとついかがでしゅか?」
「いや、毎日見てるし。なんなら手づかみしてるから。えっとなになに?さっそくツイッターで呟かれてるみたいですよ。そのピコよく見せて!ですとか、一個いくらですか、とか」
グフフ しょうばいしてもいいのでしゅが、しゃんのピコはもんがいふしゅしゅ・・ふしゅっ、ふしゅでしゅから
「シャン子さん今ごまかしましたね?」
「〜♪」座ってクマザサ クンクン
「ちょっとー飽きるの早くないですか。まだまだこれからですよ?シャン子さん、笹食ってる場合じゃないですってば」
――バックヤードの扉が開く――
フォッフォッフォッ。お困りのようじゃの、若者よ
! あなたはもしや!伝説のカリンを持つという・・・
「いかにも。わしが伝説のカリン、いや、流行りのラグビーボールにも勝るとも劣らないそれはそれは立派なあれがそれしてじゃな、聞きたいか?聞きたいじゃろ。あの日はたしか雪解け間近の」
「あの、もう大丈夫です。ってかそのくだり聞きました。去年見てましたから舞台袖で」
「はて。そうじゃったかのう、おいぼれは忘れっぽくてかなわんわ。フォッフォッフォッ。いやはや しかしまだまだ現役じゃぞ、わしのカリン改めラグビーボールの方はもう前へ前へとジャッカルしおってこのあばれ太鼓よ」
「おお。なんだかわからないけど、お孫さんとの血の繋がりを感じます」
「そうじゃろう。どれ、かけつけ一曲どうじゃ?聞きたいか?聞きたいじゃろ、名曲「孫」じゃ」
〜〜〜♪(イントロが流れ始める)
「い、いったんCMです!」
――CM中――
「一体どこから音楽が・・・あっ、おじいさんのスマホからだ。だめですよ、いま本番中ですから。子供も寝てますし、ってシャン子まで寝てるうーあああ」
「案ずるな、わしがちゃんとつなぐからの。♪目を閉じてェ何も食わず〜腹減ってェ目を開ければァ〜♪」
「いやいや、昴は名曲ですがだめですから。ってかなんて替歌ですか。大体今年は番組が違いますからね」
「そうか?全国津々浦々、わしへのリクエストが殺到したと聞いておったのじゃが・・・仕方がないのう。幼子も寝ておるしの」(AirPandsProを取り出す)
「あっそれは!入手困難のイヤホンですね」
「いかにも。ぎんざのあっぷるで ぴっくあっぷじゃフォッフォッ。わしこう見えてもびっぷなんじゃよ。シェイシェイ」
「すげー!おれも欲しいんですけど、買いに行く暇もなくて」
「若者よ。わしがくちを聞いてやろう。このすまほで連絡を入れておけば、ちょいっと手に入るでの」
「マジですか!やったー!ありがとうございますおじいさん、詳しいことはバックヤードで」
「承知した。かわりといってはなんじゃが、今宵せってぃんぐしてくれんかの?若者よ」
「せってぃんぐ?えっ、それって――」
――バックヤードに消えていく二人――