あーあーあー
マイクのてすとちゅう
ピキしゃん聞こえましゅか〜?
声は聞こえてんけどな〜プミせんぱい、近寄りすぎちゃいますか?顔がおっきいわ。
「ぬっ!へんな顔じゃないでしゅよ!?上野のびしょうじょとはあちきのことでしゅ!クビブンンブン」
スポーン!
「スポーンて!?おーいプミせんぱーい!マイクマイク!外れてませんかー」
――プミ、ヘン顔でフリーズしたまま音声も途切れる――
「あかんわ、今の首ブンブンでヘッドセット飛んでってもうたな・・・」
慌てる様子もなくカレーうどんを食べ始めるピキ社長
「今日はプミせんぱいと チュルチュル リモートでZooZoomしながら モグモグライブはいしんデビューの日やのに困ったわ チュルチュルピチャッ
カメラ目線のキュルルンでスパンダチャぎょうさん稼いだろ思っとったのになあ ピチャッ モグモグ
まあ、プミせんぱいのハプニングはお約束でもあるし モグモグモグモグ」
――ピキ社長なにやら思案中――
トントン(ノックの音)入るでーガチャ
「ピキ子どうしたん?さっきからひとりごとブツブツと、転んで頭おかしなったか」
「プルップー(あたちもいましゅよ)」
「お、おかん!プル子!ちょっと今はあかんて アセアセ ヘッドホンしてたから足音気づかへんかった アセアセ」
――プル子を片腕に抱いたラウさん
なにやってんのと言いつつ、ピキ子の胸毛についたカレーのおつゆを拭いてくれている――
「もう〜おかん〜ノックと入るでーが同時やねん、トントンからのハーイ!ガチャやろふつう」
「そんなに待ってられるかいな、おかんは忙しいんやで。なあ?プルちゃん。ヨシヨシ チュッチュ ナデナデ」
「プルルゥ(お世話かけまちゅ)」
「プル子、さいおねえしゃんでしゅよ〜ミルク飲んだんか?オーカワイカワイ ベロベロバァ」
「プルルッ プルップルー ゲフ(はい。ちょっと飲みすぎまちた)」
「ピキー ピキキッ ピギャー(おかんミルクは美味いからなあ、飲みすぎ胃のもたれに気ぃつけや〜)」
「プルルァ(らじゃーでちゅ)」
子パンダ同士の交信を見ていたラウさん、片手でやれやれポーズ
大人パンダにはわからない言語のようだ。
「そんでピキ子は何してたん。ブツブツ言うてんのが下にまで聞こえてきて、お父さんがお経が聞こえるゆうて拝んではるで」
「なっ、お経て。マイクのテストしてただけや。言うてたやん、今日はプミせんぱいとライブはいしんするって。ほら。プミせんぱい映ってるやろ?今ちょっと画面がフリーズしてるけど」
「あら、ほんまやプミちゃん。こんにちはーこんばんは。ん?おもろい顔してーにらめっこか?」
年季の入ったヘン顔返しをするラウさん
「おかん、プミせんぱいには見えてへんと思う・・・」
「・・・さよか。まあええけどピキ子、おねえちゃんらの机やぱそこん、汚したら怒られるから気いつけや。
あんたも一緒に神戸のおばちゃんのとこ行けたら良かったのにな」
「う、うちはええねん。タンタンおばちゃんには、おてがみたくさん書いてるし」
――おかんがいないお泊りはまだ心細い2歳の子パンダピキ子であった――
「ピキ子、プルちゃんがもう少し大きくなったら、おかんと一緒に神戸行こうな。おとんのジェットでひとっ飛びや」
「ええな。フルーツたくさん持っていこ」
「よし決まりやな。さ、カレーうどん食べたなら持ってくで」
「しゃんきゅーおかん」
「プルルッ プルップー(さいおねえしゃん)」
「なんやプル子、あかべこみたいにヘドバンして。プミせんぱいの真似か?上手やなぁ オーヨシヨシ カワイカワイナー」
「プルルンッ プルプルキュルン!(あたちもおてつだいしたいでちゅ)」
「ピキーピキキッ (おおそうか。手伝うてくれるか)」
「ちょっとあんたら、おかんにもわかるように喋ってー」
「あのなおかん、プル子もライブはいしんに参加したいって言うてる。おるだけならええやろ?みんなも喜ばはると思うねん」
「らいぶはいしんて・・・それ大丈夫なんか?あやしいにんげんにさらわれへんやろか?あんたかて、いくら社長言うても2歳やし、プミちゃんだってまだ3歳やろ。子供だけでなあ・・・」
「大丈夫や。プミせんぱいのとこは、長靴にいさんらがセッティングしてくれてはるから、見守りはバッチリや。言うてみれば公認アカウントやし、なんならお国の公認やで エッヘン(あかん、ちょっと盛りすぎたわ)」
「そ、そうなんか。そんなら、うちらは・・・せや、あんたが交通安全夢大使やからこっちも言うてみればお国公認やんか。ウンウン。(負けへんでー)」
「せやろ?(よし、もうひと押しや)
プミせんぱいにはシンコおばちゃんおるし。リーおじちゃんかてめっちゃ強いらしいで(女子力高めで)」
「そうやなあシンコさんらなら心配ないか。こっちもお父さんおるし。いざとなれば、すたっふさんらもおるしやな。そんなら大丈夫か」
ラスボスはおかんや
「こらピキ子。なにたくらんでんのこの子は悪い顔して。ええか?プルちゃんにおかしなこと教えたらあかんで?」
「は〜い」(やれやれ。赤ちゃんおるからか、この頃やけに心配症や)
ガーゼが敷かれたバスケットの中に、プルはまをそっと置くラウさん。
プルはまも、頭やしっぽを元気に動かしてご機嫌の様子だ。
「じゃ、おかんとおとんは下におるから。なんかあったらすぐ呼ぶんやで」
ガチャ
トントントン(階段を降りていく足音)
プルルッ プルッ プルルン(さいおねえしゃん。あたち、がんばりまちゅ)
ぼちぼちでええよ。プル子はな、おるだけでみんなが幸せになれるんやから
「プル〜?(しあわせ?いいこと?)」
「めっちゃいいことやで。ええかプル子。厳しい今の世の中、先立つものがあればさらにしあわせになれるんや」
「プルルゥ(さきだつもの。ひとつおぼえまちた)」
「せや、プル子はかしこいな オーカワイカワイ エエコヤナ
プル子のキュルルンひとつでみんながしあわせになって、ちっと応援したろかーってスパンダチャくれるやろ?そしたらうちらもやる気が出てしあわせや。今日のライブはいしんはウインウインなんや」
「プルル?(むずかしいでちゅね?)」
「プル子はここにおってくれたら、それだけでオッケーや。
これで世界中からアクセス殺到や。一晩でチャンネル登録1万人超えも夢じゃないで ニチャア」
「プルループルプル(さいおねえしゃん、わるいかおでちゅ)」
姉のニヒルな笑顔に思わず身震いするプルはまであった。
ブルブル
ブルブルブル ウウーン
あっ、なんか踏ん張ってる?わっ!うんちか!うんちなんか!
どうしたらいいんか アセアセ 出るまで待ってたらええんか オロオロ
ブルル ブルル (さいおねえしゃん・・なにかが出そうで・・ウウン出ましぇん)
「出ぇへんの?よしわかった、おねえがトントンしたるわ!
ええと、どうやるんやったっけ アセアセ ああん、なんでうちもっと育児のおてつだいしてへんかったん?って初めての妹なんやからわかるわけあるかーい!」
トントンってどんなやったっけ
幼い頃の記憶を辿ってみるピキ子であった。
おーいピキしゃーん。プミでしゅよ〜
トントンしながら画面を見るピキ子
「せんぱい、回線つながったんやな。ちっと待っててほしいんや〜こっち今うんちでてんやわんやしてて、あっ、うんちしてんのはうちじゃなくて妹やで」
「? おトイレでしゅか?あい、わかりまちた。ごゆっくりどうじょ
ではこっちで引き取りましゅね プミプミ ノホホー」
なにかのスイッチカチッ
「フウ、ピキしゃんはまだまだおこちゃまでしゅね。おトイレは本番前に行くのがおとなのマナーでしゅ エヘン」
「ピギャー うちちゃうってイモウトやって言うてるやん キコエテルデー」
「むむ?ピキしゃんが何か言ってましゅが・・なんか聞こえにくいでしゅねぇ。ながぐつしゃん、どうなってるんでしゅか?」
さっきシャン子が壊しちゃったからね。でも大丈夫、急いで直しておいたよ。
ガムテープが巻かれたヘッドセットを確認する長靴氏
「音はまあ、聞こえにくいかもしれないけど・・新しい物を買う予算もないし。ちょっと我慢してね。シャン子はもうお姉さんだから、わかってくれるかな」
「あい。わたくちもう3しゃいでしゅから。おとなのじ・・・じろうもよくわかっておりましゅよ。エッヘン」
(いや、ぢではないけど・・・訂正するとまた首ブンブンするからやめておこう)
プミの対処法はバッチリおさえている長靴氏であった。