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年忘れ!2020年総決算!今年の企画は?

プミの部屋は優しい光に包まれ、じいじと子パンダの影はススウと消えた。
残されたのは不思議な扉と、眠っているプミ。すたっふ二人も壁に持たれて眠っているようだ。

「おーい、頑張ってるかい」

ノックのあとに、部屋のドアが開いた。
足音に比例して大型カップル(パンダ)が登場する。

「アップルティーを入れてきたよ〜シャン子」
「おやつもあるわよ ウフフ」

腕にかけたバスケット(特大)を床に置き、さっそく月餅を食べ始めたのはきょたいの母パンダだ。

「あら。この子眠っちゃってるわ モグモグすたっふさんも寝てる ムシャムシャ めずらしいわね」
「本当どうしたんだろ。あれ?こんな扉あったっけ?手作り感がすごいな」

「手作りなの?美味しそうねモグモグ リーくん味見してみたら?ゴックン」
「いや、僕は遠慮しておくよ。シンちゃんどうぞ」

「ありがとう。リーくん優しいのね ウフフ」
「シンちゃんの笑顔のためなら テレテレ」

父パンダが頭をクシクシと掻いていると、例の扉がコンコンとノックされた。
ガチャと開き、楊枝をくわえた小さなパンダが堂々たる足取りで部屋に入ってくる。

ピキ社長
ピキ社長

はい、ごめんくださいよっと。プミせんぱい起きてるか〜?応答ないから来てもうたわ

「・・・え?ピキちゃんかい?」
「あ、リーおじちゃんおったん。シンコおばちゃんも。こんにちはーこんばんは。おじゃましてます」

「こんにちは。へえー、いつもそうやって遊びに来てたんだね」
「ええと、直通で来たんは初めてです。プミせんぱいも”どこでも扉”ゲットしたみたいで、これからだいぶ楽に遊びに来られますわ」

「・・・?」

まったく話が見えない父パンダであった。
母パンダは笑顔を絶やさず、ひたすらおやつを食べている。

「モグモグ ピキちゃん、ママと赤ちゃんは元気にしてる? オチャゴックン」
「はい、おかげさんで元気にやってますわ。さっきミルク飲んで、おかんと一緒に寝てます」

「そうよね、ラウさんきっと大変。落ち着いたらお祝いに行かせてもらうわね」
「おおきに。おかんも喜びます」

プミ

「フアァ〜ア・・・じいじ?・・・とおしゃん?ママ?・・・」

「あらあらシャンたら、寝ぼけてるみたいね」

プミに近づき、母パンダは優しく頭を撫でる。
父パンダはそれをニコニコしながら眺めていた。

「シャン子起きたかい。ピキちゃんが遊びにきてくれたよ」

ピキ

まいど〜。けっきょく来てもうたわ

シャン子

あ、ピキしゃんでしゅか・・・オメメゴシゴシ

むくりと起き上がったシャン子はパンダ座りをした。
父パンダは持参したポットから、二つの子供用カップにアップルティーを注いでいる。

「ピキしゃん、うんち終わったでしゅか」
「ピギャー!いつの話してんねん。らいぶはいしんやるでー?」

「僕らも手伝いに来たんだけど、なにかする事はあるかい?――はい、アップルティーだよ。熱いからフーフーして飲んでね」
「おやつもあるわよ ウフフ あら、全部食べちゃった」

バスケットをのぞきこむ母のかたわらで、ズッコケるパンダ達であった。(本日二度目)

「フウ〜おいしいでしゅねぇ〜・・・」
「ふうふう〜 ゴクン 。んまいな〜りんごの風味がええ感じや〜・・・」

鼻をおっぴろげるプミと、ふんぞり返るピキ社長。
父パンダも目を細めつつアップルティーを味わっている。母パンダは笑顔で笹団子を製造していた。

「・・・ってあかーん!プミせんぱい、まったりしてる場合ちゃうで!らいぶはいしんや!みなさんもうお待ちかねやで」
「まあまあピキどの、どうでしゅかもういっぱい。ちちうえ、おかわりをピキしゃんに」

「はいどうぞピキちゃん。まだたくさんあるからね」
「おおきに。あったまりますわ〜」

このまったりした光景はパンダ達が知らないうちにライブ配信されており、見る者の心を癒やしていたのだった。

おわり。

「ちゃうで、おわりやないで!あるある言いたい〜♪ちゃうねんから」
「フッフッフッ。ピキしゃん、こんな事もあろうかと呼んでおきまちたぜ」

「お、なんや。いきなり舌が回りだしたで。もったいぶらんと教えて〜」
「♪タッタラ〜ン♪
そろそろ来るはずでしゅ」

約束の時間ちょうどに、トントンと部屋の扉がノックされた。

「シャン子いるかい?入るよ」

顔を出したのは、眼鏡をかけたスタッフだった。
彼は部屋の状況を見て言葉を失っていたが、何かを察した模様だ。

まえのはんちょ
まえのはんちょ

「ええと、なんだろうかこのデジャヴュ感は・・・」

「あら、まえのはんちょさんじゃない。お久しぶりね」

母パンダはドスドスと近づき「元気だった? 」と、笑顔で彼の肩をポンと叩いた。

まえのはんちょ
まえのはんちょ

うわっ!ヨロヨロ わ、私は元気だよ。仙女も比力も元気そうだ

まえのはんちょは斜めになった眼鏡を直した。
彼の言葉に応えるように、父パンダは「よっ」と竹を掲げた。

「プミープミー」

まえのはんちょの足元にまとわりつき、プミは嬉しそうに鳴いている。
平の頭を撫でてもらってご満悦のプミ。その様子を、ピキ社長はおとんに買ってもらった「すごいカメラ(動画も撮れる)」で撮っていた。

「君は、和歌山のあやはま君だね。私はまえのはんちょと言います。いつもシャン子と仲良くしてくれてありがとう」
「いえいえ〜、こっちこそ毎日退屈せんと楽しくさせてもらってます。ところで、まえのはんちょさんは何を頼まれたんです?」

「ああ、シャン子の説明ではよくわからなかったんだが、ここに来てわかった。あれだろう、去年と同じような進行役」
「お、なるほど助かります〜。じゃさっそく頼みますわ」

「すごいカメラ」を三脚で立て、ディレクターズチェアに座るピキ社長。
やっと目が覚めた長靴氏と手ぬぐい女史達も、長年の経験ですぐに状況を理解し、長靴氏はピキ社長のアシスタント、手ぬぐい女史は司会(まえのはんちょ)のアシスタントとなった。