おちごと日記-2019/03/27(水)-御徒町力男（長編）

それは昨夜のことだった
この前契約したイベント会社の社長から俺のスマホに電話があった
「あー、リッキーさん、イベントの依頼があってね 急な話で申し訳ないんだけど明日パンダの着ぐるみきてイベントにでられる？もちろん、ギャラは払うので」
「わかりました 明日よろしくお願いします」
時間と場所を聞いて、手帳にメモする
社長が着ぐるみを持っていってくれるそうだ
そうだ、まだバレンタインのお返しをしてなかった
うっかりしてた
どおりでつまとむすめが冷ややかな視線を送ってると思っていたんだ
ギャラをもらったらお返しを買いに行こう
お菓子でいいかな

そして今日
朝、つまを見送った後、俺も準備を始める
むすめには出かける用事が出来たと言い、親父にむすめの面倒を頼んでおいた
庭には俺のダミーを置いておいた
これで準備よし
朝の点呼が終わったらこっそり裏口から出掛けよう
それから、仕事の時の名前は御徒町力男だ うん、よし

>>458
朝の点呼が終わり、ハンチョウ達が部屋の掃除で忙しくしてる時に俺は秘密の部屋からダミーを取りだし、庭に置いた
最近、改良を重ねて動きもしなやかになり、木登りと入浴をするようにプログラムもしておいた
これでよし
バレないように変装してそっと抜け出す
その時だった
「おはようございますっ」
うわっ と思ったらいつもの警備員だった
「お、おはよう」
俺もそそくさに挨拶して足早に退散した ふぅ、危なかった

電車に乗って昨日聞いた場所に向かう
そこは大きな公園だった
プールや遊具もある
社長を探す あ、手を振ってる
「リッキーさん、こっちー」
「今着いたところです」
「プールの更衣室で着替えていいと言われたのでそこで着替えよう 今日はパンダとふれ合って記念撮影しようというイベントだそうだよ」
「わかりました」
俺達は更衣室に向かった

>>464
プールの更衣室を借りて社長に手伝ってもらいながら着替えをした
「リッキーさん、今日は気温が高くなるからね、水分補給はしっかりしてくださいね」
「はい、大丈夫です」
スーツを着込んで頭をつけて口が動くか確認する
ところが、あ、あれ？動かない
「しゃ、しゃひょう、口が…」
「あ、また故障した？ うーん直すの時間がかかるしな そうだ確かここに…」
社長はバッグの中をがさごそしている
「あ、あった リッキーさん、頭は君のを使おう」
ええーっ？
「これ、舞台用のメイク道具だけど、この着ぐるみの頭みたいにメイクすれば大丈夫 ちょっとメイクするね」
首からしたは着ぐるみ、頭は自前でみんなの前に出ることになった
座って笹を食べていればいいらしい
メイクが終わった俺は社長と広場に向かった