パンダ記念日　～桜浜と桃浜の月夜のティーパーティー-2023/12/03(日)

パンダ記念日　～桜浜と桃浜の月夜のティーパーティー

『真夜中に、ふと目が覚めたの。
窓から見上げる夜空に輝く少しふっくらしたお月様。あの優しい光は、今頃、私達の生まれた白浜にも降り注いでいるんやろか。
今日は素敵な一日やった。私達のお誕生日。
中国に来て初めてのバースディケーキと、中国語でのお祝いの言葉がたくさんかけられて。
その中に、確かに日本語の響きも混ざっていたの。
私達のために、はるばる日本からもファンが来てくれたんやわ。
そして夜にはバックヤードで浜家のみんなでオンラインパーティをしてもろて、
お母ちゃんや妹たちともモニター越しやけどたくさん話して笑って楽しかった。
なぁ、桃ちゃん。嬉しかったなぁ…。
私達、ここで美味しいものもたくさん食べて、木登りもたくさんして、たくさんの人から愛されて幸せやけど、
時々はあの風に乗って届く海の香りや、私達の桜と桃の木、観覧車の回る音とポップコーンの匂いを夢に見ることもあるよね。
桃ちゃん、もうぐっすり眠ってるやろなぁ。
私はなんだか目が冴えてしもたわ。少しお庭をお散歩しようかな。月の輝くお庭を…』

2
『真夜中に、ふと目が覚めてしもたんやわ。
さっきまで家族みんなとオンラインでつながって誕生日パーティをしてもろて、心はまだ私達の生まれた白浜を漂ってるみたい。
今日は素敵な一日やった。私達のお誕生日。
中国に来て初めての誕生日をこんなに穏やかな気持ちで過ごせるなんて、私達は幸せやね。
日本からもお祝いに来てくれたファンがいたみたいや。
私達は元気にしてます、って、タケノコも美味しくて木登りも楽しくて、ちょっと隣のおっちゃんがうるさいけどまぁ…まんざらでもないかな、って、
そんな風に過ごしてます、って日本の皆さんに伝えてね。
なぁ、桜姉ちゃん。嬉しいなぁ…。
中国に行くって決まった時、私はどこに行くことになるんやろ、って不安やった。
桜姉ちゃんとも離れるのかも、って悲しかった。
そやけどお父ちゃんとも一緒、上の兄弟たちも近くにいてくれて、何より桜姉ちゃんと離れずに今年も一緒にお誕生日が祝えたんやね。
桜姉ちゃん、もう眠ってしもたんかなぁ。
私はなんだか胸がいっぱいで、お庭をお散歩したくなった。月の輝くお庭を…』

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『あっ、桃ちゃん！』
『あっ、桜姉ちゃん！』
『なんや、桃ちゃんも眠れへんかったんやね。今夜は楽しかったもんなぁ』
『うん、楽しかった！　お母ちゃんも元気そうやし、結もピキもプルも相変わらずやったなぁ』
『桃ちゃん、ちょっとこっち来ぃひん？　ほら、さっき鳥さん宅急便で白浜から届いたお祝いのスイーツ、今食べちゃおっか』
『わぁ、期間限定のお月見スイーツとパンダフレンチトースト、それにタンタンさんが作ってくれたっていうシュトーレンやね！
行く行く！　回り道すんの面倒やから塀乗り越えて、隣のおっちゃんは眠りこけてるし、またいで行くわ！』
『あはは、踏みつけへんように気ィ付けや。暖かいミルクティでもいれよっかな』
『うん、ええなぁ。…よっこらしょ、っと。はぁ…お月様が綺麗やなぁ。白浜でも同じ月が出てるかなぁ』
『…そやなぁ』
『…なぁ』
『桃ちゃん』
『なんや？』
『お誕生日おめでとう！』
『うふふ、桜姉ちゃん』
『なぁに？』
『お誕生日おめでとう！』

月の光のように、咲き誇る花のように、美しい双子の姉妹。
9歳のお誕生日、おめでとう。

おしまい