〈シンコー学習塾　映画出演〉-2019/06/06(木)-①〜⑤

〈シンコー学習塾　映画出演1〉

「ちょっとそこのお嬢さん！」
塾から出てすぐ、プミ子とピキ子は知らない男から声を掛けられた。
「ピキしゃん、無視でしゅよ。知らないパンダとは話しちゃダメって母しゃんに言われてましゅ」
「ピキー(はいでしゅ)」
「ねぇねぇ、お嬢さん、待って待って」
二人は男を無視してスタスタ歩く。
「あのねぇ、僕モデル事務所のマネージャーやってるんだけど、すごい手足長いからお嬢さんモデルにならない？」
「モデル？」
「ピキー(ダメでしゅよ)」
「モデルってテレビや映画出れましゅか？」
「あっ、うん、でも…あの僕が声掛けたのは」
「プミ、モデルになりましゅ！」

〈シンコー学習塾　映画出演2〉

「ピキー(訳のわかんないこと言ってないで帰りましゅよ)」
「だって映画でしゅよ！ブルース・リーしゃんに会えましゅ！」
「ピキー(だからリーはもうこの世には)」
「そこの大きいお嬢さん！僕は小さいお嬢さんに…」
「アッチョー！アチョチョチョー！」
「いて！いてて！何すんの！？」
「カンフー映画楽しみにしてましゅ、グフフフ。これプミの連絡先でしゅ」
「いや、だからモデルになって欲しいのは…ってちょっと！うんもう、あの子なんなんだよ」
ピキ子に手を引っ張られ歩くプミ子の背中を見ながら、男はプミ子から受け取った紙を路上に捨てた。
すぐさまその紙を拾う影が…。
紙には「うえののぷみ　りんご」と書かれていた。

「うえのの…ぷみ…あのこは…」

〈シンコー学習塾　映画出演3〉

「ただいま！」
「おかえりなさい」
プミ子の母親は洗濯物をたたんでいる。
「父しゃんは？」
「外の露天風呂に入ってるわ」
「そうでしゅか。あっ、そうだ！プミ、映画に出れましゅ」
「映画？プミ子が？」
「そうでしゅよ、エッヘン」
「こんにちは」
「はーい　ﾄﾞｽﾄﾞｽﾄﾞｽ」
来客で母親が玄関に行ったため、プミ子はうがいと手洗いをすることにした。
「プミ子！お友達よ！」
うがいをしていると母親が大声でプミ子を呼んだ。プミ子はペッと水を吐き出し、急いで玄関に向かう。
「こんにちは。あなた、ぷみこちゃん、ですね？」
そこにはニッコリ微笑む少女が立っていた。

〈シンコー学習塾　映画出演4〉

「あれっ？結浜しゃん、こんにちは。ピキしゃんなら永明お父しゃんと帰りまちたよ」
「ちがう、わたし、ゆいじゃない」
「えっ？だって頭にピコンがありましゅよ」
「わたし、奇一(チーイー)　ゆいのいとこ」
「チーイーしゃん？」
「あら、私も結ちゃんだと思ってたけど、いとこのチーイーちゃんなのね！」
「はい。ゆいとは、あんてなでいつも、はなしする」
「チーイーしゃん、どうしてプミの家に来たんでしゅか？」
「これ、ひろいました」
奇一は路上で拾った紙をプミ子に見せた。
「あっ！なんで落ちてたんでしゅか！あのマネージャーめ！」
「ゆいにとうきょうに、わたしたちとは、てっぺんちがう、あいどるいるってきいた。だからあいたい、ちゅうごくからきました」
「てっぺんちがう？何でしゅか、それ？」
「んーと…かわいいっていみ」
「ああん、もうチーイーしゃんたらぁ。そんなこと知ってましゅよ、グフフフ」

〈シンコー学習塾　映画出演5〉

「ほんと、かわいいね。すいへいせん、みたい」
「へへ、スイセンのお花みたいでしゅか。そうでしゅか、フフフ」
「うん。あっ、おみやげ」
奇一がリュックからお土産を取り出した。
「これ、ちゅうかまん。わたしのあたま、にてる、食べて」
「まぁ！ありがとう、お茶入れるわね。さぁー、チーイーちゃん中に入って、ウフフ。ｼﾞｭﾙｼﾞｭﾙ」
「ピキしゃんに電話しましゅか？日本来てること伝えないとでしゅ」
「だいじょぶ。ゆいにあんてな、つたえる」
「へー、いいでしゅねぇ、かっこいいでしゅ。プミもアンテナほしい！」
「ぷみこちゃん、そのまま、かわいい」
「グフフフ、ありがとしゃんでしゅ。今度カンフー映画主役で出るんで、チーイーしゃんも出てくだしゃいね。
チーイーしゃんはプミのライバル役はどうでしゅか？映画、楽しみでしゅねぇ」
こうしてプミ子と奇一は楽しいひとときを過ごしたのであった。
「中華まん、本当に美味しいわね。ﾓｸﾞﾓｸﾞ ﾓｸﾞﾓｸﾞ　もう1個食べようかしら」
「ああー！母しゃん、それ最後の1個でしゅよ、父しゃんの分！」

おわり