1.リボ再開-2018/04/01(日)

キャッキャ楽しい笑い声がアパートの前の道路まで聞こえる

高級外国車の運転席で男は黙ってアパートを見つめていた。後部座席には薔薇の花束と大きなリボンの付いたプレゼント

フーーー。
何してんだ俺は。

男は空に向け真新しいカードを高くかざした

つまに内緒で新しく作ったYahoo!カード。
「リボ再開おめでとう俺」
「ようこそYahoo!これからよろしく」
夕べ カードと向かい酒を飲み明日から始まる新しいリボライフをかたりあい楽しかった
テンションが上がりすぎた俺は真夜中のドンキでウイッグ と30パーオフのクロムハーツ二本をリボ再開祝記念にリボ払いで購入した
かなり泥酔していた俺はそのあとのことは覚えてない。

男はもう一度アパートを見つめた。

まだ4月だというのに初夏のような暑い風が男の横顔を撫でていた。

「あ！おとうしゃん！

あ！おとうしゃん！

ピンクの足こぎ車に乗ったむすめがニコニコしながら俺の前にいる 俺ドキドキドキドキ

シャン子こんなとこで何をしてるんだい？ドキドキ

おともだちの小雅しゃんのおうちに遊びに来たんでしゅよー
しゃんのピンクのお車で小雅しゃんとドライブするんでちゅ ププーッププーッ

俺ドキドキあたふた。なんてこった！小雅ちゃんとむすめが友達とは！！そんなに何回もラッパを吹かないでーー
これはもうダメだダメだ
すぐにつまにバレちまうぞ！ひゃあーーー

おとうしゃんは何をちてるのでしゃか？
あーーお花きれいでしゅね！おかあしゃんにプレゼントでしゅか？ニコニコ

あーそうだよ。お父さんは可愛いシャン子を産んでくれたお母さんにありがとうのプレゼントだよ。ドキドキあたふた

それじゃお父さんは先におうちに帰るから シャン子もお友達とのドライブ気をつけるんだよ！あまり遠くに行っちゃダメだよ

ハーーーイ 了解しましゅたーバイバーイでしゅーー

俺はニコニコ手を振るむすめに投げキッスをしてその場を後にした。ドキドキが止まらないぞぞぞ！
神様仏様なにとぞ妻にバレませんよーに

ん？おとうしゃーん！トランプ落としてましゅよーー！行っちゃったでしゅか。帰ったらおかあしゃんに渡してあげるでしゅ。しゃんはいい子なのでしゅからねっ。ビシッ！

～Always Together ～未来のドア
あなたと二人で開きたい～～
Always Together ～何が起きても～

バカンスを満喫していた浜一家ラウママのスマホが鳴った

「リーさんからだわ 」

永明はカヌーを漕ぎながらうたた寝中だった
ラウママはホッとしたが念のため小声で電話に出た

「もしもしリーさん？」

「ママーー？俺だよ～～ん！今さ羽田空港だけど何か欲しい物あったら買ってくからさ～シャネルのスカートとかどう？ピンク色の絶対ラウママに似合うと思うんだ～～」

俺は家出してきた。今つまに会ったら東京湾に沈められる ゾゾッヤメテクレーー

念の為にイオンカードも作っといて良かった！
グッジョブ俺！
さあ！俺の心のオアシス スナックアドベンへGO！！！ヒャッホー

俺の一目惚れだった。俺のセクハラジョークを本気にしてしまう初々しさ どんなに混雑しても嫌な顔ひとつせずニコニコ笑顔で接客する姿
俺は仕事帰りに彼女に会いに行くのが楽しくてしょうがなかった

次第に彼女とも色々な世間話などするようになっていった
朝は新聞配達 昼はウェイトレス夜はスナックと働き詰めらしい
俺は何故そんなに働かないと駄目なの？と聞いた
彼女はシングルマザーで幼い女の子とアパートで二人暮らしだと言う。亡くなった父親の借金返済が終わるまで頑張ってるという。
それと彼女は借金返済以外にも一生懸命働く理由があると言った

「娘がアイドルのオーディションを受けることになって何とかしてオーディション用のドレスを買ってあげたいんです」ニコニコ
「だから私仕事は全然苦にならないんです娘がドレスを着て喜ぶ笑顔が見たいから」ニコニコニコ

俺は彼女と彼女の娘のために足長おじさんになろうと思った。正直 足長おじさん以上のことも意識していた
俺は妻子持ちだが 彼女の前では独身のただの男でいたかった

新しく作ったYahoo!カードでとびきり可愛いドレスを買い 彼女には大きな薔薇の花束を買った。
俺は彼女を驚かそうとサプライズでアパートに車を走らせた

「ぎゃあああああーーーーーーなんでシンコがバズーカー構えてんだよーーーー！！！
やめてーーーーーーお願いーーやめてくださいーーー！」

「私が何も知らないとでも思って！？
何パンダに貢げばあれだけリボが増えるのよー！今日とゆう今日はもう許さないわよーーー！！」

ガチャ
安全装置を解除する音が聞こえると同時に俺は頭を抱えてしゃがみこんだ
ドドーーーーン！！
その時だった！

俺は地上から消えた。

『リー坊こっちや！」

頭上で爆発音が聞こえる中
ひとりの男が くわえ笹でニヤニヤ笑って俺を見ている

「え・永明さん！永明さんじゃないすかー！」

「おう、リー坊生きとるか？シンコママも可愛い顔しておとろしのぉーー」ガッハッハッハ
「ワシもオイタし過ぎたらラウにバズーカーぶっ放されるんや。
それでここのマンホールに一瞬にして落ちる作戦考えたんや～～」

流石っす永明師匠！流石っす！素晴らしい作戦っす！！！

イェー！俺と師匠は自然とハイタッチしていた。

『あなたー？どこいったのー？リーリー ー？リーリー はやく出て来なさいよーーー！」イライライライライライラ
つまは突然消えた夫を必死に探していた。
さっきまで抱えていたバズーカーは突然の怒りに任せて真ん中からへし折られていた

俺達は1時間ほど地下道を歩いていた

ついたでリー坊

ウソーーん！！！俺は目の前に広がる光景に腰を抜かしそうだった

白い砂浜青い海 色とりどりの水着を着てキャッキャッはしゃいでいるギャルパンたち
俺と師匠に気づいて笑顔で手を振っている

エーメーパーパー！キャッキャッ

イケパンサーーン！だーれーー？キャッキャッ

なにこれ？夢？ここは天国なの？？？

俺は少年のようにゴロンゴロン転がりまくった。何もかも忘れて砂まみれで転がり続けた！キャッキャッ ハハハいくぞー キャッキャッ イヤーん ハハハそれーー

ハーレム俺！パラダイス俺！！
俺サイコーーー！！！ヒャッホーウ♪♪

転がる男のポケットから落ちたアイフォンがマナーモードのまま静かに鳴り続けていた