リーリーの副業志願-2019/03/18(月)-偽名「たまきひろし」

社長は続ける
「じゃ、横向いて」
またメジャーで俺の胴回りを計っている
「ふむ、大丈夫そうだな えーと、リッキー君だっけ？」
昼間の女性はそのまま伝えたようだ
「は、はい」
「着ぐるみのサイズは大丈夫そうだから、お願いしたいのだがいいかね？ 仕事内容は聞いてる？」
「あ、はい よろしくお願いします」
「じゃあ契約書を持ってきますね」
やったー、採用された
しばらくして奥の部屋から社長が戻ってきた
何やら様子が変だ
「リッキー君、急な話で申し訳ないが、これから都内のスタジオに行ってもらえる？」
「スタジオ ですか？」
「実は今CMの撮影中なんだが着ぐるみの電気系統に故障が生じたと連絡があってね
俳優さんは今日しか都合がつかないので、あと2カットで撮影終わりなんだよ
急で申し訳ないが、もちろん、このバイト代もちゃんと祓うので」
「わかりました」
俺は教えてもらったスタジオに向かった

スタジオに到着して部屋の番号をおしえてもらい入室した
「あの、御徒町力男ですが」
「はい、リッキーさん、入りまーす」
「入りまーす」
な、なんだ びっくりした
監督という人がきた
「君がリッキー君だね 社長から聞いたよ 確かに大丈夫そうだな
じゃ、こっちにきて」
言われた場所に行くと、テレビで見たことある男性がいた
名前は、おおもりなんとかって俳優だ
「おおもりてす よろしくお願いします」
「り、リッキーてす よろしくお願いします」
監督は言った
「リッキーさん、いつも通りに笹を食べて」
え、このまま？ まずい、顔出しはまずい
「か、監督さん、あの、着ぐるみは？」
「ああ、電気系統が故障したから表情が出せなくなったんだよ だから君にはこのまま出てもらうよ」
ええー？
「すみません、顔出しはNGなんで」
「後でCGで君だとわからないようにしておくよ」
よかった
あ、シンちゃんに電話しないとだ
なんていおう

休憩時間に慌てて妻に電話する
「もしもし、親父の家に寄ってキャバクラﾌﾟﾐﾋﾟｷにいるんだけど、親父はまだ帰りたくないとダダこねるし、酔っぱらうしで大変なんだ
時間かかりそうだから先に寝てていいよ」
「わかったわ、そうするﾊﾞｷﾑｼｬｵﾁｬｽｽﾞｰ」
ふぅ、なんとかごまかせた

残りの2本のCM撮影が終わったのは終電間近だった
オンエアの時はCGになるので誰も俺だとは気がつかない
家に着いた
そっと中に入り、ゆっくりと風呂に入る
ふぅ、疲れた
バイト代が出たら、少し遅れたけどホワイトデーのお菓子を買おう

～リーリーが出かけた後

シンコ「もしもし、社長さん 今主人が家を出ました」
社長「了解 シンコさん、旦那さんが電話してきたっていつわかったの？」
シンコ「話してる途中からかしら 電話を切った後、履歴を見たらうちの電話だったので確信したのｳﾌﾌ」
社長「旦那さんは体型的にも大丈夫だよ」
シンコ「ありがとう でも、私が勤めていることは内緒にしておいてね
主人はびっくりさせようとしてるみたいだし」
社長「わかってますよ」
シンコ「よろしくお願いします」

知らないのはリーリーだけなのであった

おわり