ウエーノ王国物語～姫の誕生日 １プミめ〜５プミめ-2021/06/16(水)

ウエーノ王国物語～姫の誕生日 １プミめ

ここはウエーノ国
広大な森と竹林に囲まれた、緑豊かで平和な国です
お城にはリー国王、シンコ王妃、プミ姫が住んでいます
リー国王は優しくてシンコ王妃ひとすじ、時々森や竹林に行って手入れをしたり、季節を感じるのが好きです
シンコ王妃はそのまんまる笑顔がトレードマーク、笑顔の王妃と呼ばれてました食べることが大好きです
しかし、裏の顔があるとかないとか…
プミ姫はその愛らしいルックスから国民のアイドルと呼ばれていました
風貌は美少女なのですが、性格は活発で木登りが大好き、別名お転婆姫とも呼ばれていました

「姫様、お勉強の時間ですよ　まったくどこに行ったのやら」
爺は今日も庭のあちこちを探しています
「ここでしゅよー」
爺が見上げると木の上にプミ姫がいました
「これっ、降りてきてください　あーあ、お洋服が葉っぱだらけに」
「今おりましゅよ　よいちょ、よいちょ　あら？ 裾が邪魔でしゅねー あれ？足が届かない　ﾌﾞﾗﾌﾞﾗ」
「姫様、もう少し下ですぞ」
「あ、届きまちた　ﾌﾟﾐｰ」
「もうすぐお誕生日なのですから少しはレディらしくなってくださいまし」
「今はだいばーしちーの時代でしゅ」
よく言葉の意味はわかっていなくても使ってみたくなるお年頃です
「さあ、お着替えなさってください
勉強のお時間ですぞ　先生がお待ちです」
「またあのわけのわからない公式を言う先生でしゅかね」
「シンコー先生は優秀な先生ですよ」
プミ姫は部屋に戻るとしぶしぶ着替え始めました
「もう覚えてましゅよ　１シンシンイコール1タンタンて　でも間違ってる気がするんでしゅけどね　ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」

ウエーノ王国物語～姫の誕生日 ２プミめ

少々退屈なシンコ―先生の授業が終わるとお昼近くになっていました
「お勉強おわりまちた ﾌｩ」
王妃は庭のハンモックで本を読みながらくつろいでました
「お勉強終わったのね さあ、天気がいいからきょうはお庭でお昼にしましょう　ｳﾌﾌ」
「はあい、おかあしゃま　あれ？おとうしゃまは？」
「お父様は洞窟カフェでお料理なさってるわ　今日はガレットですって　ｳﾌﾌｼﾞｭﾙ」
お母様はまたたくさん食べちゃいそうとプミ姫は思いました

宮殿には専門のコックがいますが、国王は自ら料理をすることも好きでした
洞窟カフェにはちょっとしたキッチンがありました
「おとうしゃまー、テーブルクロスはどれにしましゅか？」
「おお、プミちゃん 今日は天気がいいからこの水色のにしようか」
「あいっ これでしゅね」
プミ姫は棚を見て、綺麗にたたんであるテーブルクロスの中から水色のテーブルクロスを出しました
「テーブルクロスをセットしたら、紅茶をいれてくれるかい？」
「あいっ、おとうしゃま」
「こぼさないように気を付けるんだよ」
「だいじょぶでしゅ プミはもうレディでしゅよ」
「木登りが好きで洋服を葉っぱだらけにするお姫様だね」
「木登りが得意なのはおとうしゃま譲りなんでしゅよ」
「そうだね、父さん譲りで運動神経抜群なお転婆姫だな ﾌﾌﾌ」
キッチンではいい匂いがしています

ウエーノ王国物語～姫の誕生日 3プミめ

プミ姫はアドベン国のピキ姫と仲良しです
アドベン国にはエイ国王とラウ王妃、そして5人の姫がいました
子沢山の国王で、今いる姫達のほかに大人になって独立した王子や姫達が世界中にいます
ピキ姫はとても小さく生まれてきましたが、すくすくと成長して今ではその風貌や態度から「社長」と呼ばれていました
ピキ姫は5人姉妹の4番目、下には妹のプル姫がいます プル姫をとてもかわいがっていて、いつも一緒にいます

「そういえばもうすぐプミ姫の誕生日やったな 二人羽織をしたいんやけど、おかんから禁止令が出てしもたしな ﾋﾟｷｰ」
そう、ピキ姫は二人羽織が好きなのです
ある時、プミ姫と二人羽織をすることになり、じゃんけんで負けたピキ姫が前になりました
そして、カレーうどんやソフトクリームやらを顔につけてﾋﾟｷﾞｬｰといってる画像がSNSで世界中に拡散されてしまいました 当然ラウ王妃も見ることとなり、大目玉をくらってしまったのでした
「あんた、なんちゅーことしてくれたんや パーティーで見せてもろうて初めて知ったわ 顔から火ぃでたわ ﾌﾟﾝｽｶ」
「あわわ、おかんこれには訳があるねん おかしいなうちとプミ姫しか見られんようにして、24時間で消えるはずだったのになんでやろ おかん顔が火事になったんかいな」
「何ぶつぶついうとんねん それにおかんじゃなくて、お母様やろ」
「まあまあ、ラウちゃん子供の遊びやから大目に見てやってや」
エイ国王はラウ王妃をなだめます
「とにかく、二人羽織は禁止やで プル姫に変なこと教えんといてや」
「あい…ﾋﾟｷｰｼｮﾎﾞｰﾝ」
でも、諦めきれないピキ姫なのでした

ウエーノ王国物語～姫の誕生日　4ﾌﾟﾐめ

「なんとしてでも二人羽織をするんや 南京玉すだれと二人羽織はうちの持ち芸やし」
「ピキおねえちゃま、プルがおてつだいしましゅ　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
末っ子のプル姫が言いました
「ありがとな　じゃあプルは南京玉すだれの練習しようか 」
「あいっ　ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ」
その時でした

ﾀﾞｰﾀﾞﾀﾞｰﾀﾞﾀﾞｰﾀﾞﾀﾞｰﾀﾞ
ﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾀﾞﾝﾁｬﾗﾗｰ♪　ﾃﾞﾝﾜﾔﾃﾞｰ♪
ピキ姫のスマホが鳴りました 着信音はあのサメが襲ってくる映画のテーマソングです
「ロウロウやな　ﾋﾟｯ　はいもしもし」
「ピキおばちゃーん」
声の主はロウ姫　ピキ姫よりちょっと年上の姪っ子です
「おばちゃん、カステラ１００個まだ届いてないアルよ　どうなったアルか」
「あーそれな　カステラの工場が今お休みやねん　もうちょっと待ってな」
「そうアルか　待ち遠しいアル」
「ところで、あんたこっちにはいつ来るん？」
「ウエーノ国からプミ姫のバースデーパーチーの招待状がきてるから、パーチーの前の日に行く予定アルよ」
「それだ　ﾋﾟｷｯ」
ピキ姫は何か思いついたようです
「うちと一緒にプミ姫にプレゼントせえへんか？　ﾆﾁｬｱ」
「いいけど何を贈ってあげるアルか？」
「物じゃなくて芸を披露するんやけどな　東洋の神秘の芸や　ガンダーラって知っとるか？」
「伝説のユートピアアルか？」
「そうｺﾞﾀﾞｲｺﾞや そこに古くから伝わる由緒ある芸があるねん　二人羽織って言ってな、二人でする芸やねん これを見た人はハッピーになると言われてるんや」
ピキ姫は何やら適当なことを言ってます
「面白そうアル　それやってみたいアル」
「じゃあ練習せなあかんから早めにこっちにきいや　じいじとばあばも待っとるで」
エイ国王とラウ王妃はロウ姫の祖父母でふ
「うん、じいじとばあばにも会いたいアル」
ピキ姫はその巧みな話術で、ロウ姫を二人羽織のパートナーにすることに成功したのでした
「さてと、後はどうやっておかんたちをごまかすかだな」
色々と策を練るのでした

ウエーノ王国物語～姫の誕生日　5ﾌﾟﾐめ

ウエーノ国の宮殿ではプミ姫の誕生日パーティーの準備が進んでいました
宮殿の大広間には舞台が作られていました
「わあ、舞台でしゅ」
プミ姫はワクワクしてます
「そうだよ、ここでいろんな出し物が披露されるんだよ」
「楽しみでしゅ ﾌﾟﾐｰ」
リー国王も舞台が作られる様子を見ています

そこに執事が大きな箱を持ってやってきました
「王様、荷物が届いております　コーベ国のタン女王様からです」
「おお、ありがとう」
コーベ国のタン女王は「コーベのお嬢様」と呼ばれていて、おっとりした性格ですがしっかりと国を守っていています
料理や裁縫が得意で、手作りドレスはセンスの良さで評判がいいのでした
国王は早速荷物を開けました
「中身はパーティー用ドレスだって はい、お姫様」
「かたじけないでしゅ」
「あとはお母様のドレス これ、お母様に渡してくれるかい」
「あいっ」
プミ姫は包装紙に包まれたシン王妃のドレスを国王から受け取ると、王妃の部屋に向かいました

そして箱にはもうひとつ包装されたものがありました
「タン女王様ありがとう」
それは内緒でタン女王に頼んでおいた国王のドレスなのでした
「クロゼットの奥に隠しておかなきゃ(裏声)」
国王は自分のドレスを取り出すと、自分の部屋に向かいました