（SS）シンシンとシャン子の竹庫見学-2018/05/07(月)

前スレ403と425の間

もうすぐ昼休みが終わる。普段なら“そろそろ戻ろうか”と、先輩が立ち上がる頃だ。でも今の先輩は、ずっとスマホを操作している。何だか、険しくて渋い表情をしながら。
どこぞのウェブサイトに、厳しいご意見や難しいご要望の書き込みでもあったのかな…。先輩は深い溜め息をひとつついて、スマホをテーブルに置いた。

「湿度ってさ」
「え？あ、はい」
「君たちの年代は、湿度って何年生の頃に習ったのかな」
「えーと、中一か中二だったかと」
「割合については？百分率だとか歩合だとか」
「小学校の高学年だったと思います」
「そうだよなあ」

何の話だ？？

「…よし、そろそろ戻ろうか」
「あ、先輩スマホ忘れてますよ」

先輩にスマホを手渡す瞬間、見えてしまった画面。それはグーグルの検索結果だった。

“湿度　子どもへの教え方”

「それ、どういう調べものなんですか？」
「今朝シンシンが、シャンシャンに湿度について教えてやってくれと言ってきた」
「シャンシャンに湿度を、ですか？なんでまた」
「毛が湿気を含んだのをきっかけに、シャンシャンの“なんで？”が止まらないらしい」

湿度の前に割合を…いや先に日本の気候の解説を―と、呟き歩く先輩を僕は慌てて追う。
乳離れできていないパンダの仔を相手に、何年生レベルの授業をする気ですか。先輩。