（SS）大人になったシャンのお話-2019/03/08(金)

「ねえシャンちゃん、その銀のお皿いつもそばに置いてるね」
「ウフフ、これはね私の大切な宝物なの ずうーっと欲しくてようやく手に入れたのよ」
そう、あれから何年たっただろう
あの時奪ったミルクを入れるお皿は、私の宝物になった
ほどなくしてミルクから卒業して両親とも別れて、私は両親のふるさとにやってきた
慣れない環境で寂しくなった時、このお皿を抱き締めて寝ていた
その後私はパートナーと出会い、私のふるさとに一緒に行ってくれないかと誘った
彼はOKしてくれた
そして私は、パートナーと一緒に再び日本に向かっている
「もうすぐ着陸よ」
「僕、うまくやっていけるかな」
「大丈夫よ みんな優しいし、私達のことを歓迎してくれるわよ 私がついてるから大丈夫よ」
「ありがとうシャンちゃん、心強いよ」
飛行機は無事に着陸し、ドアが開いて私達にカメラが向けられた
私はそっと銀のお皿をくわえてカメラの方を向いた
気がついてくれるといいな…

大人になったシャンのお話