あの日のクリスマスプレゼント
それは22年前のこと。
クリスマスの朝に、2歳の雄浜は張り切って寝床から飛び起きました。
『わぁ、ラウ姉、見て見て! サンタさんが来てくれたんや! 枕元にプレゼントのリンゴにバナナに、竹のオモチャがいっぱい!
竹コプター、頭につけたら飛べるかな?!』
『飛べるかアホ』
大はしゃぎの雄浜にそっけなく答えつつ、3歳の良浜も枕元に置かれた美味しそうな果物や子供用の化粧道具が入った竹製のおしゃれボックスに顔がほころんでいます。
そんな様子を永明さんと、双子の赤ちゃんを抱いた梅梅さんがニコニコと見守っています。
『2人とも、いいものもらって良かったわねぇ』
『そうや、2人がええ子にしてるさかい、サンタさんも張り切って運んできたんやな』
『えへへ、僕、サンタさんにありがとうって言いたいな』
『うん、私も』
良浜と雄浜がそう言うと、梅梅さんは頷きました。
『そうやね、サンタさんには、ゆうべお母ちゃんがちゃーんと蜂蜜入りのホットミルクをお出ししてお礼しておいたから大丈夫よ』
それを聞いて、良浜は、あれ?と思いました。
昨夜、良浜がふと目を覚ました時、辺りに甘い蜂蜜入りのホットミルクの香りがただよっていて、梅梅さんの優しい声が、
『永明さん、お疲れさま。ありがとうございます』
と言っていたような…。
“ふーん、そっかぁ…そういうことかぁ…”
心の中でそんな独り言を言いながら、それでもやっぱりプレセントは嬉しい良浜でした。
2
時は流れて、今年のクリスマスイブの夜。
『…ぶぇっくしょい!!』
いきなり枕元で派手なくしゃみが聞こえて、良浜は驚いて目を覚ましました。
見るとそこには赤い帽子に赤いコートを着た雄浜が、ご丁寧に白いひげまでつけてプレゼントを手にしてるではありませんか。
『あちゃー、ラウ姉起きちゃったかぁ。
僕、大勢の子供たちと弟妹たちにプレゼント配るの大変でさぁ、外が寒くて風邪ひきかけちゃった。ズビッ』
『…アンタ、鼻垂らして何やってんねん。
子供たちはともかく、弟妹言うても上の子らはみんないい年の大人やないか。しかも私にまで配るんかいな』
そう言いながら、良浜はもらったプレゼントをごそごそと開けてみました。
『蜂蜜のセットか。アンタも気が利くようになったもんやな』
『うん、僕、兄弟達がこっちに来るようになってから毎年サンタやってるし。
さっき愛浜のところに行ったら、あの子今、子供2人育ててるやろ、
“2人に授乳するんでお腹がすいて大変やわ”言うて起きてきて早速プレゼントの果物をパクパク食べて、食べながら
“兄ちゃん、ちょっと子供ら起こしてトイレ連れてって。2人ともおねしょするねん”言うから、僕、2人抱えておしっこさせて来たんや』
『なんやそれ、どういうサンタや』
『でも、プルちゃんなんか寝ぼけながら“サンタしゃん”って嬉しそうに言ってくれて楽しかったで。
ピキちゃんは靴下に“現金歓迎”って書いて吊るしてるし』
『プル子はまだサンタさん信じてる年やからな。
ピキ子は…あれは信じてるんやろか。もらえるもんはもらっとく、て思てるんかいな。
…そういやアンタもサンタさんがいるって言うたなぁ。いくつになるまで信じてたんや?』
2歳の頃のクリスマスにはしゃいでいた雄浜を思い出し、からかうように言った良浜に、雄浜は真面目な顔で、
『何言うてるの、ラウ姉。サンタさんは今でも信じてるで。サンタさんはほんまにおるんや』
と言うので、良浜は目を丸くしました。
3
『いやアンタ、今現在サンタさんの恰好してプレゼント配りながら何言うてんの』
『あのね、ラウ姉。サンタさんはほんまにおるんやで。
でも1人で全部の子供たちにプレゼント配るのは大変やから、子供たちの親や、周りの大人がサンタさんの手伝いをしてプレゼントを置くんや。
でもボスはあくまでもサンタさんなんや。…と、お父ちゃんから教えてもらったんやで、僕』
『永明さんが…?』
長い手足、長い鼻、優しい笑顔の面影が胸によみがえり、良浜はぎゅっと胸をおさえました。
そんな良浜に優しく笑いかけ、雄浜は言葉を続けます。
『うん。僕が大人になる頃、お父ちゃんが教えてくれた。
サンタさんは子供たちにはプレゼントを、大人たちには子供の喜ぶ顔を見る幸せをプレゼントしてくれる人なんや、って。
子供にも大人にもプレゼントをくれる、そんなすごいことができる人はサンタさんしかおらへんよね。
そやから、サンタさんはおるんやで、って』
良浜の胸に、あの日の楽しそうな永明さんの笑顔、そして梅梅さんの暖かなまなざしが浮かびます。
『永明さんも、お母ちゃんも、私らが喜ぶ顔を幸せなプレゼントや、って思ってくれてたんやね…』
『うん! そして、今は僕らがそのプレゼントもろてるよね! こうしてずーっと続いていくんやね』
『そうやな、サンタさんって偉大なんやな…』
頷いた良浜の隣で、雄浜がまたひとつ、大きなくしゃみをしました。
良浜は鼻をすする雄浜にティッシュの箱を投げつけ、プレゼントの蜂蜜の瓶を手に取ると立ち上がります。
『しゃあないな、今夜は特別サービスや。
姉ちゃんが蜂蜜入りホットミルクを作ってやるとするか!』
長い月日が流れても、今年も変わらずクリスマスの夜はめぐってきます。
部屋には暖かなホットミルクの香りがただよい、コトコトと鍋をかき回す良浜の口元には、あの日の梅梅によく似た静かな笑みが浮かんでいるのでした。
おしまい
暖かくなるお話ありがとうございます
ピキちゃん現金歓迎かわいいw
みんな優しい~
プルちゃん可愛い~
愛浜さんのとこの赤パンさんも登場、家族が増えて嬉しいね
温かいクリスマスのお話ありがとうございます
永明さんから受け継いだ雄浜の優しさに胸がじぃんとしました
らうちゃん、雄浜は頼もしいね
お礼が一日遅くなりましたがすてきなクリスマスプレゼントでちた つい目から汗が出まちた
有難うございました
わたくち和歌山パンダsには詳しくなかったのでしゅが皆が中国に行ってしまうと決まったころアドベンのサイトで木製の永明さんコースターをペアで買いまちた(自分と夫の分です)
そのあと寂しいお知らせもありまちたが買って良かったです
心があたたかくなるお話ありがとうございました
すてきなお話!!
今昔さんかな?と思いながら読ませていただきました(違っていたらすみません)
ラウ姉と雄浜くんの変わらぬ関係性がとても可愛らしくて微笑ましいですし、永明さんから雄浜くんに受け継がれたサンタさんの精神もなんてすてきなんだろう
今日はお外が寒いですがとても温かい気持ちにさせていただきました
どうもありがとうございました