小雅ちゃんのおつかい-2021/03/17(水)

「風呂敷の結び目は大丈夫かい？」
「うん、大丈夫だよ母ちゃん」
「じゃあ母ちゃんは大将に届けてくるからね、そっちは頼んだよ」
「はい！行ってきまーす」
「車に気をつけてね！」
「母ちゃんもね！」

風呂敷で包まれた箱をしっかりと抱えて、子パンダさんがトコトコと行く先は上野の新築豪邸。
お友だちのお家にも立ち寄りたいところだけれどぐっと我慢して、お届け物のおつかいなのです。

「おばちゃん、こんにちはー」
「あら小雅ちゃんいらっしゃい、一人で来たの？ﾓｸﾞﾓｸﾞ」

お庭の芝のお手入れをしていた豪邸の貴婦人が、まあるい笑顔で迎えてくれました。

「これ母ちゃんからです、つまらないものですがどうぞって」
「もしかして！アレかしら？ｼﾞｭﾙ」
「はい！お彼岸のぼたもちです」
「嬉しいわあ！さあさあ上がって？小雅ちゃんも一緒に食べましょうよ」
「私は作るときに食べたから大丈夫！皆さんでどうぞ」
「あらそう？ありがたくいただくわね。楽しみだわあ」
「おばちゃん、シャン子ちゃんちに遊びに行ってもいいですか？」
「もちろんよ、シャン子の分のぼたもちをお皿へ分けるから届けてくれる？待っててね」
「はい！」

貴婦人はスキップしながら家の中へ入って行きました。

「シャン子ちゃんと会うの久しぶりだなあ、嬉しいなあ」

子パンダさんも嬉しくなって、手入れの行き届いた広いお庭でくるくるとスキップしました。

end