小雅ちゃんは、いつもの行きつけのセリアでお小遣いとにらめっこしていました。
「う~ん。やっぱりちょっと足りないかなぁ…ハァ…」
小雅ちゃんが棚の前で、う~んと頭を悩ませているのを、珍々軒の女将さんが見つけ声を掛けました。
「おや!小雅ちゃん、一人でお買い物かい?」
「あ!女将さん!こんにちは!そろそろ毛糸の新しいのが入ってくる頃だから見に来たの」
「そうかい。気に入った毛糸は見つかったかい?」
「うん!いくつか可愛いのが見つかりました!」
「それで…」
女将さんは小雅ちゃんが悩んでいた棚に目をやると、そこには毛糸は並んでおらず、可愛らしいポーチがたくさん並んでいました。
「小雅ちゃん、さっきから何を悩んでたの?よかったら、おばちゃんに言ってごらん?」
「あ…うん…。あのね、毛糸を見終わったから少し他のものも見てたらね、可愛いパンダさんとおリンゴ柄のポーチを見つけたの。いいなぁと思って、これシャン子ちゃんにも買ってあげたいなぁって…。でもシャン子ちゃんにあげたら、彩ちゃんにも楓ちゃんにも、梅蘭ちゃんにもあげたくなっちゃって…でもそしたら、お小遣いが足りないなぁって考えてたの」
「そうだったのかい…」
「だから毛糸を減らして、小雅の分のポーチを買わなければ、みんなの分買えるかもって計算してたの」
女将さんは、それを聞いて小雅ちゃんらしいなと思いました。
それから女将さんは少し上を見上げて、何か良い方法はないかと考えを巡らせました。
そして…、
「そうだ!このポーチおばちゃんが買っとくよ!」
「え?あ…!女将さん、ポーチ買えなかったら、またお小遣い貯めて買うから大丈夫…」
「でも、次来たときには無くなっちゃうだろ?だからとりあえず…」
そう言うと、女将さんはポーチを小雅ちゃんが欲しかった数の分、カゴに次々と入れました。
「五つでよかったかな?」
「あ…でも…そんな…悪いから…。それに、かあちゃんにきっとダメって言われるから…」
「おばちゃんね、良い考えを思いついたんだよ。このポーチは、今日おばちゃんが買っておくから、小雅ちゃんがお小遣い貯まったら、おばちゃんのとこに来てお小遣いとポーチ、交換しようね」
「え!いいの?そしたらパンダさんとおりんごのポーチみんなの分買える!ワーイ」
女将さんは、本当はこの場でポーチを買ってあげたかったけれど、小雅ちゃんとお母さんの小Y頭さんが、頑なに遠慮するだろうと分かっていたから、あえてこの方法にしたのでした。
二人はそれぞれ会計を済ませてお店を出ると、もうだいぶ日が落ちていました。
「やっぱりもう秋なんだねぇ。日が暮れるのが早くなってきたねぇ」
「うん!セリアで毛糸見てるとあっという間に、外が暗くなっちゃうから気をつけてって、かあちゃんに言われてるの」
「じゃあ、少し急いで帰らないと、小Y頭さんが心配しちゃうね」
「うん、小雅、急いで帰る!」
二人は楽しくおしゃべりをしながら、夕日に照らされた道を歩き出しました。
「そうだ!小雅ちゃん、急いでるとこ悪いけど、ちょっとうちに寄ってくれるかい?」
「あ、はい。いいですよ!」
「うちにね、いただき物のカルピスがたくさんあるんだよ。でもね、大将もポチ太郎もカルピスあまり飲まなくてね。余っちゃって困ってるんだよ。小雅ちゃん、もらってくれるかい?」
「え!いいの?小雅、カルピス大好き!」
「そうかい!それは良かった!じゃあ、今日うちに寄って幾つか持っていくといいよ。後はまた、いつでも取りにおいで」
「わーい!小雅もカルピス大好きだし、お友だちが来たときにみんなに出すと喜んでくれるの!」
「うふふ、それはよかった!たしか桃とか林檎味とか…メロンもあったかな?色々あるみたいだから好きなの持っていってね」
「女将さん!ありがとう!」
女将さんは、小雅ちゃんがニコニコしているのが嬉しくて可愛くて、顔がほころんでしまうのでした。
「小雅ちゃん!お手手つないで帰ろうか!」
「うん!」
女将さんと小雅ちゃんは手を繋いで、そして…、
「お手~手つ~ないで♪
野道~を~ゆ~け~ば♪
み~んな、か~わぁい♪
小~鳥になって♪…」
歌を歌いながら、二人は珍々軒へ向かいました。
珍々軒に帰ったら、きっと大将も小雅ちゃんが来てくれたことが嬉しくて可愛くて、いそいそと張り切って餃子を焼いてお土産に持たせるんだろうなぁと、女将さんは大将のことが目に浮かび、クスッと笑ったのでした。
おしまい
かわいい小雅ちゃんのお話来てたー
うれしい
全ての会話、仕草が可愛くて健気で優しくていい子
ほっぺがほんのりピンクな小雅ちゃんを想像しながら読みました
かわいいお話ありがとしゃんでしゅ
小雅ちゃんのお話好きだなー
あったかくて優しい物語、何度も読み返しました
428さんだけでなく、みなさんの優しいお人柄がお話に表れてるといつも思っています
暖かいお話でした〜ありがとしゃんです
今夜もゴワゴワ貸してくだしゃい
75です!セリアのポーチがこんなに素敵なお話しになって本当に感激です
小雅ちゃんも女将さんも思いやりがあって今日もまたゴワゴワ使わなくちゃ カッテテヨカッター
素敵なお話ありがとうございます!
情景が浮かんで優しい気持ちになります
小雅ちゃん可愛いなぁ
女将さんも良い人!!!
ほっこりしました!
自分の分を諦めてみんなのポーチを買ってあげようと考える小雅ちゃんなんて優しいの。
三連プリンコピペを思い出した私の心は腐っている
こんな可愛くて優しい子は逮捕でしゅ!
おばちゃんの涙腺にヒットしました
首がないところがトトロみたいでかわいい
あああ、ありがとでしゅ…
今夜の金曜ロードショーでみんな集まったら
女将さんにもらったカルピスを振る舞うんだろうな
ワイワイキャッキャしてる小雅ちゃんたちを覗いてみたいw
>>428
すごい~!
>>75さんのおリンゴポーチからの一連のレスが反映されてお話になってる!
珍々軒の女将さんGJですね
これなら小Y頭さんも納得してくれるだろうし小雅ちゃんの思いも叶うし
あ~私も小雅ちゃんとお手々繋いで帰りたいなぁ
※見出し画像にお借りしております。ありがとうございます。