七夕物語~雨のち星空:4話
シャンシャンを寝かしつけたリーさんは、バックヤードから奥さんへ電話しました。
『‥そう、やっぱりお互いに意地悪したって思ってるわね。バキッ』
「シャンちゃん、僕が泣きたくなるくらい泣いてたよ」
『小雅ちゃんも泣いて泣いて大変だったんですって。バキッ』
「どうにか誤解を解いてあげたいなあ」
『あ、ちょっと待って』
(バキバキパキッ!モギュモギュボリボリボリムシャムシャ…)
『お待たせ』
「う、うん」
『リーくん今夜はそっちに泊まってくれる?』
「うん、朝になったらシャンちゃんを連れて帰るよ」
『よろしくね、後のことは考えておくわ』
バックヤードから戻ったリーさんは、そうっとシャンシャンに近づきました。
シャンシャンは珍しく体を丸めて寝ています。まるで赤ちゃんパンダのようです。
(シャオくんとレイちゃんが産まれてから、お姉さんっぽくなったなと思ったけど)
リーさんはシャンシャンに添い寝して、まあるくなっている背中をなでました。
(まだまだ子どだなあ…かわいいなあ…)
静かな夜が終わり、鳥やセミたちが騒ぐ朝がやってきました。
今日は7月4日、休園日。シャンシャンは今日からパンダのもりで過ごします。
「さあ行こうか、おんぶと肩車どっちがいい?」
「ひとりであるけましゅよう」
「だめだめ、道路はアチアチになるからヤケドしちゃう」
「おくつをはくからだいじょうぶでしゅ」
「だっこでもいいんだよ?」
「ひとりであるきましゅ!もうおねえちゃんでしゅ!」
それでもリーさんが手をさしのべれば、シャンシャンはしっかりと握ります。
父娘は久しぶりに手をつないで、パンダの森を目指して歩き始めました。
「そうだシャンちゃん、七夕のお飾りは持ってきた?」
「あいっ!リュックにいれまちた」
「良かった、今年も七夕用の笹を注文してあるんだ」
「ごはんじゃないササでしゅね」
七夕用の笹には毎年必ず、最初から大きな短冊が取り付けられているのです。
その短冊には毎年必ず、同じ願いごとが大きく太い文字で書いてあるのです。
『お願いだから食べないで』
七夕物語~雨のち星空:5話
いそっぷ橋をエッホエッホと渡り、父娘はパンダのもりに到着しました。
「なんだかくうきがちがいましゅね」
「すぐそこに不忍池があるからかな?後で行ってみようね」
「あいっ」
「えーと玄関のカギは、と」
リーさんがポケットをごそごそしているところへ、誰かがやってきました。
「シャンちゃんリーさん、おはようございます」
挨拶をして深々ぺこりと頭を下げたのは、小雅ちゃんの母ちゃんでした。
お仕事へ行く前なのか作業服を着て、腕には木の箱を抱えています。
「おはようございます小Yさん」
「おはようございましゅ…」
「シャンちゃん、昨日は小雅がごめんなさいね」
シャンシャンは上手く言葉を出せず、小さく頭を振るのが精一杯でした。
「リーさん、これ皆さんで召しあがってくださいな」
母ちゃんはリーさんに木の箱を手渡しました。ほにゃららの糸の高級品です。
「昨日の今日で何も用意できなくて、いただきものなんですけど」
「いやあすみません、気をつかわせてしまって」
「いえいえ、いただきものが重なっちゃったものですから」
大人の会話が続いている間、シャンシャンはキョロキョロと周囲を見回しました。
もしかしたら近くに小雅ちゃんがいるかもと、ちょっぴり期待したのです。
「立ち話もなんですから中へどうぞ」
「いえいえ、私これから東園で仕事なんですよ」
「東園で?」
「空調工事なんです、今日は主に点検や養生の準備中心ですけどね」
「ありがとうございます!暑いからお気をつけて!」
母ちゃんの姿が見えなくなるまで、父娘は手を振り続けました。
「さあシャンちゃん中に入ろう、パパもう汗びしょびしょ」
「あい…」
小雅ちゃんの姿は、見つかりませんでした。
不慣れで不備があって申し訳ありませんでした
ご迷惑でなければ、以降は月曜日から再開させていただきます
小雅ちゃんのお話し大好きです
楽しみに待ってま~す
迷惑どころか楽しみでしかありましぇん!
ふたりとも自分が悪いんだって大泣きして、リーちゃん同様こちらまで涙が出そうになりました
小雅ちゃんもシャンちゃんもお互いのことが大好きなんだよね
早くふたりの間の誤解が解けてまた笑顔で遊べるようになるといいなぁ
ぜんぜん迷惑ではないですよー
はやく月曜日にな~れ
楽しみすぎる
>>530
作家さん続きをありがとシャンです
話数をつけてくださり、これでわかりやすくなりました
タイトルはまた決まってからでいいと思いますよ
リーさん、いいパパさんでしゅね
大きな短冊の『お願いだから食べないで』は上野家のお約束でしゅね
決してシンコさん宛では…ケフンケフン
迷惑だなんて、とんでもない
続きが気になります また楽しみに待ってましゅよピッ
シンコさん、リーちゃんとの電話の途中でごはんを…www
愛情たっぷりのリーパパとまだちょっと赤ちゃんなお姉シャンのやりとりが本当に可愛い
リーちゃんシンコさん、小雅ママもふたりの仲直りに一役買ってくれるのかな
続き楽しみにしておりましゅよー!
続きをありがとシャンです
さすが100の資格を持つ小雅ママ
木箱は素麺ですね
続き待ってました
東園の空調工事、やはり小雅ママでしたね
これからの展開がとても楽しみで、ドキドキキュンキュンしちゃうんだろうなーと考えると今から泣いてしまいそうです
小雅ママきたー!
シャンちゃんきっと小雅ママに「小雅ちゃんはどうしてましゅか…?」って訊きたかったよね
この先もとても気になります…
>>648
シャンちゃんも小雅ちゃんも仲直りのきっかけが欲しいよね
早く誤解がとけるといいなぁ
早く会いたいよね