※七夕を過ぎてしまいますが土曜日の完結を目標にします
七夕物語~雨のち星空:11話
その日の夕方、パンダのもりに七夕用の大きな立派な笹が届きました。
シンコさんは「剪定よ剪定!」と言いながら、下の枝を摘んでいます。
「シンちゃん、子どもたちの手が届かなくなっちゃう」
「そうね、上から行くわ」
シャンシャンはシャオシャオとレイレイのお世話で、あわあわしています。
「ねえね!まりゅまりゅいっぱい!ながーい!」
「わかざりっていうんでしゅよ」
「ねえね!これびょんびょんしてたのちいでしゅ」
「わああ、ひっぱったらやぶれちゃいましゅよう」
「ねえね!だっこー!」
「ねえね!おんぶー!」
「じゅんばんでしゅー!」
「ねえね!おっぱい!」
「それはむりでしゅー!」
そろそろ助けてあげなきゃいけないなと、リーさんが立ち上がりました。
「シャオくんレイちゃん!パパとお願いごとを書こうか」
「おだんごたべたいでしゅ!」
「そういのじゃなくて、例えば…」
「ぱぱと、ととろごっこしたいでしゅ!」
「それはパパに直接お願いしてほしいな」
「ととろごっこー!」
双子たちはパパを押し倒しにかかりました。今度はパパが大変です。
これ幸い今のうちと、シャンシャンはママのところへ避難しました。
「い、いつもあんなでしゅか」
「そうよ、シャンちゃんもあんなだったのよ」
「でもシャンはひとりでちたもの」
「そうね、もう少し楽だったかな」
シンコさんは笹の葉を摘む手を休めて、シャンシャンと向き合って座りました。
「シャンちゃんの時はね、小雅ちゃんが時々お手伝いしてくれたの」
「えっ?」
「覚えてる?シャンちゃんの生後6ヶ月頃までかなあ」
「そうでちたか…?」
シャンシャンは思い出そうとして、顔をうーんと上げてみました。
『食べないで』の短冊が、ひらひらと揺れているのが見えました。
七夕物語~雨のち星空:12話
夜になりました。シャンシャンのお部屋から、すうすうと寝息が聞こえます。
その寝息はシャンシャンではなく、シャオシャオとレイレイのものでした。
「ねえねとねんねしましゅ!」
双子たちから熱望された時には、絶望していたシャンシャンでしたが。
「じゃいあんとぱんだのこでしゅね…よくねてましゅ…」
こてっと寝てしまった弟と妹の間で、シャンシャンも寝転がりました。
見慣れない天井をぼんやりと眺めながら、ママの言葉を思い出します。
シャンシャンが赤ちゃんの頃、小雅ちゃんがお世話してくれたという話。
そう言われてみれば、うっすらと記憶があるような。ないような。
「ん~んん…」
シャオシャオの小さな声が聞こえて、シャンシャンは起きあがりました。
「どうちまちた?」
「ん…んんんん」
うなされているのではなく、どうやら寝返りが上手くいかないようです。
シャンシャンはシャオシャオの背中を軽く押して、手伝ってあげました。
「ふえ、ふえぇぇん…」
今度はレイレイです。泣いてはいませんが、こちらはうなされています。
「どうちまちた?」
「ふえぇ…んん…」
シャンシャンが撫でてあげると、眠りながらその手を抱きしめてきました。
レイレイは再び静かな寝息をたて始め、表情も穏やかになってきました。
「シャンも、こんなだったんでしゅかね…」
こんなふうに、小雅ちゃんが添い寝してくれたことがあった気がします。
そう言えば小雅ちゃんとは、いつ頃からお友だちだったのでしょうか?
公園で出会った子?いいえ、あの子はマレーバクのコトちゃんでした。
小雅ちゃんとは、はじめましてのご挨拶をした覚えはありません。
「こまさちゃんは、さいしょからいてくれまちた」
シャンシャンはむくりと起きあがり、カメラに向かって手を振りました。
「やぶんにすみまちぇん、ゴワゴワをかしてくだしゃい…」
寒いの?と聞かれて、首を振って否定するのが精一杯シャンシャンでした。
>>745
>>753
小雅ちゃんが動き出した!
画用紙で何を作ろうとしているのか気になります
可愛いレターセット見つかるといいね
シンコさんは『食べないで』の短冊を尻目に笹の剪定に大忙しw
双子ちゃんのわちゃわちゃもシンコさんとシャンちゃんの会話もすごく可愛いなぁ
飼育員さん、ゴワゴワで通じるのねw
>>753
七夕を過ぎてもこのお話を楽しめるなんて嬉しいです
ご自身のペースでアップなさってくださいね
下の枝がダメなら上の枝!のシンコさんに笑いましたw
上野家の七夕様の飾り付けは綺麗に出来上がったのかな
続きも楽しみにしています
>>801
物心がついた時からずっと仲良しが当たり前だったから今回のことは心が潰れるくらい大きな出来事だよねシャンちゃん
きょうだい3人川の字になって寝てるんでしゅね
なんて可愛い光景でしょう
いつもは私たちにゴワゴワを用意してくれる側のシャンシャンが今夜は自分用に所望していて新鮮w
小雅ちゃんのことを想って涙が出てきちゃったんだね…