むすめの切手を買いに行く１シート目〜５シート目-2020/11/16(月)-おちりニキさん〜UYENO TOKYO

むすめの切手を買いに行く

小春日和でいい天気の休日
3人で朝食をすませたあと、俺は軽く身支度を整えた
今日はむすめの切手の発売日だ
前回は1部しか買えなかったけど、今回は3部は欲しい
眺める用、保存用、もしもの時用だ
「じゃあ行ってくるよ あれ？シャンは？」
「なんでもモジャ君からメールが来たから返事を書くんですって ぐーぐる先生に翻訳してもらってるみたいよ ｼｮｸﾊﾟﾝ3ﾏｲﾒﾓｸﾞﾓｸﾞ」
またあのマカロン野郎か 懲りないヤツだな
「シンちゃん一緒に行く？」
「私は庭の芝生の手入れをするわ ちょっと伸びてるところがきになるのよ ｳﾌﾌｼﾞｭﾙ」
「うん、じゃあ行ってくるね」
「気をつけてね ｼｮｸﾊﾟﾝ5ﾏｲﾒﾓｸﾞﾓｸﾞ」
こうして俺は家を出た
まずは近所の郵便局だ

むすめの切手を買いに行く　2シート目

家から徒歩5分くらいの郵便局に着いた
早速窓口に行く
「すみません、シャンシャンの切手シートありますか？」
「ありますよ」
「2部ください」
「はい、2部ね」
最初から3部は気が引けるのでまずは2部確保
まずは一安心
お金を払おうとしたその時だった

ﾌﾟﾐﾋﾟｷﾌﾟﾐﾋﾟｷ
女の子2人がやってきた
「しゅみません、上野のびしょうじょパンダの切手ありましゅか？　ﾌﾟﾐｰ」
「あ、ごめんね　たった今売り切れになったんだよ」
郵便局員が言った
「ピキ―」
もう一人の顔がみるみる泣き顔になっていく
「えー、買えへんの？」
「ピキしゃん、しょうがないでしゅ　せけんのあらなみでしゅ」
「うちじゃなくておとんがガッカリするやろな　むこうじゃ買えへんし」
「しょうがないでしゅよ　足が木になるまで歩きましゅよ」
もう一人がなだめていた　それ、木じゃなくて棒だと思うのだが
「あ、あの」
俺は思い切って2人に声をかけた
「あい、なんでしゅか？」
「この切手シートだね　良かったら1部譲るよ」
「ほんま？　おっちゃんありがとう」
泣き顔だった小さい方の子がみるみる笑顔になっていった
「ありがとシャンでしゅ　よかったでしゅね　ピキしゃん」
「うん　おとんも喜ぶで」
2人は上機嫌で郵便局を出て行った
いいことをした後は気持ちがいい
俺は次の郵便局を目指すことにした

むすめの切手を買いに行く　３シート目

次の郵便局は線路を挟んで向こう側にあったような…あそこだ
早速入る
「すみません、シャンシャンの切手シートありますか？」
「はい？あんだって？」
年配の男性がでてきた
「シャンシャンの切手シートです」
「シャン？」
どうも要領を得てないようだ　困ったな
「あ、ちょっとまってて」
その年配の局員は奥に行って誰かを呼んだようだ

ﾄﾞｽﾄﾞｽﾊﾞｷｯﾄﾞｽﾄﾞｽ
「はあい　お待たせしました　シャンシャンの切手シートかしら？」」
年配の局員に呼ばれたのは満面の笑みを浮かべたちょっとふくよかな女性局員だった
「あ、はい　ありますか？」
「ごめんなさいね　さっき売り切れたのよ」
「そうですか　あと売ってある郵便局はどこかわかりますか」
「ちょっとまってね　ﾊﾞｷﾑｼｬ　あ、ここならあるかもだわ」
「ありがとうございます」
教えてもらった郵便局に行くことにしたが、ちょっと離れている
一旦家に戻って自転車で出直すことにした

むすめの切手を買いに行く　4シート目

帰宅して庭の横の自転車置き場に向かった
つまは庭にいた
「あら、お帰りなさい　切手シート買えた？　ﾓｸﾞﾓｸﾞ」
「買えたけどまだ1部なんだ　2軒目の郵便局は売り切れてたから別の郵便局を教えてもらって…シンちゃん、芝生、食べてるの？」
「あ、あら　これは試食よ　竹がない時に芝生は食べられるかしらと思って　青空サラダバーもいけるかも　ｳﾌﾌｶﾞｼｯﾑｼｬﾑｼｬ」
試食の割には鷲掴みして食べてるようにも見えたけどま、いいか
「また行ってくるね　シャンは？まだあのやろ、いや、フランスに出すメールを書いてるの？」
「そうみたいだけど、さっき　部屋からﾌﾟﾐｲｨｨて聞こえてたから飽きたのかもね　ｳﾌﾌ」
「しかしあいつは熱心だな」
「何か言った？」
「い、いやなんでもない　じゃあ行ってくるね　お昼までには戻るよ」
「気を付けてね」
俺は自転車を出すとスマホの地図で確認して、教えてもらった郵便局に向かった
ここか　郵便局の前に自転車を置いた
「すみません、シャンシャンの切手シートありますか？」
「ごめんな、さっき売り切れてもうたわ　ﾋﾟｷｰ」
社長の風格を感じる女性の局員に言われた
「取り寄せとかできますか？」
「それがな、リクエストしてるんやけど返事がないから今日は無理やな　シャンシャンて人気あるんやな　和歌山にも美少女おるんやけどな　兄さんあめちゃんもっていき」
「そうですか　ありがとうございます」
なぜか飴をもらった
こうなったらしらみつぶしに探すしかなさそうだ
社長の風格の局員に近くの郵便局を教えてもらってそこに向かうことにした

むすめの切手を買いに行く　5シート目

教えてもらった郵便局は狭い道を通り抜けた先にあった
小さな郵便局だった
「すみません、シャンシャンの切手シートありますか？」
他に客はいない
留守かな？
出ようとした時、背後にｽｽｩｰと何か感じた
「うわっ」
「はい、いらっしゃいませ」
「あ、あの あれ？いなしゃん？ ここで働いてるんですか？」
「そうですよ、ええ まとめてじゅんじ発送する時に郵便局を作っておいた方が便利かなーと思いましてね 一応局長してますです」
思い出した
この先の長い階段を上がって行くと、時々じゅんじ発送の手伝いをしてるバイト先にたどり着くんだった
「あの、シャンシャンの切手シートありますかね？」
「あい、ちょっと待っててください」
そういうといなしゃんはｽｽｩｰと奥の部屋に消えていった
「ありましたよ」
「うわっ あ、はい」
いつの間にかいなしゃんは背後にいた 心臓に悪い
「届いたのは1部だけどいいでしゅかね？」
「はい ください」
これで2部ゲット
残る1部もなんとかゲットしたい
「あ、リリーしゃん クリスマススゥーのグッズを今年も作りますから、またじゅんじ発送のお手伝いをお願いしますね また伝書鳩送りますです」
「伝書鳩？」
「冗談でしゅ」
「は、はい、またよろしくお願いします」
いなしゃん、うちに伝書鳩送ったら帰れなくなるかもだぞと俺は心の中で呟いた

いなしゃんの郵便局を出た俺は次の郵便局を目指して自転車をこいだ