ベビールームのウタ先生とおちびさんたち～３-2021/07/25(日)

ウタ先生　（ツキノワグマ・上野）
アルン　　（８ヵ月・アジアゾウ・上野）－母・ウタイ（22）
楓浜　　　（７ヵ月・ジャイアントパンダ・白浜）－母・良浜（20）
ホウちゃん（７ヵ月・ホッキョクグマ・大阪天王寺）－母・イッちゃん（7）
フブキ　　（６ヵ月・ホッキョクグマ・秋田男鹿）－母・ユキ（21）
（フブキくんの「おれ」は「お↑れ↓」）

～ベビールームのウタ先生とおちびさんたち～３

ここは少人数制のベビールーム。
お母さんやお父さんがお仕事だったり、育児中に身体を休ませたかったり、さまざまな理由で赤ちゃんたちを預けることができる託児施設です。

広いイングリッシュガーデンを設えた老舗ホテルの一室にある、このベビールームは人気があり、いつも満室です。

ツキノワグマのウタ先生は、このベビールームのナニーです。
黒のロングワンピースに白襟、白カフスに白いフリルのエプロンを身に着けて、子どもたちのお世話をしています。

お昼寝から起きた赤ちゃんたちは、さっそく遊びはじめました。

ウタ先生は、哺乳瓶に取っ手がついたマグに、ちょうどいい温度の麦茶を注ぎ入れて、みんなの分を丸いローテーブルに置きました。
赤ちゃんたちは、お喉が渇くと、その哺乳瓶のマグを上手に両方のおててで抱えて持ち、時にはお座りしたまま、時にはゴロンと寝転がりながら、こくんこくんと美味しそうに飲むのでした。

ホウちゃんはこくんこくんと麦茶を飲むと、哺乳瓶のマグを丸いローテーブルの上に置いて、それから思い出したようにおしゃべりを始めました。

ホウちゃん「あのな、このまえな、おそらがぴかぴかー！ごろごろー！ってすごかってん！」
ホウちゃんは両手をバンザイのようにまっすぐ挙げて、手をグーパーグーパーして、みんなに説明をしています。

アルン　　「ぴかぴか？？」
楓浜　　　「ごろごろ？？」
ホウちゃん「うん！そうやねん。ぴかぴかー！ごろごろー！って」
フブキ　　「あ！おれ、しってる！おそらがぴかぴかー！ごろごろー！って、すっげえこわいんだよ。おれはこわくないけど」
アルン　　「フブキくん、こわくないの？」
楓浜　　　「ふう、こわいのやー」
フブキ　　「おれ、ぜんぜんこわくないよ！」
アルン　　「フブキくん、すごいなぁ」
楓浜　　　「フブキくん、しゅごいねぇ」

ホウちゃん「そしたらな、あめがいっぱいふってきてん。ばしゃーって。ママとおにわにおったから、あわてておうちにはいってん」
アルン　　「ばしゃーだってぇ！すごいねぇ」
楓浜　　　「ばちゃーってしゅごいねぇ」
フブキ　　「おれ、あめいーっぱいふってても、へいきだもん！あめのなかであしょぶの、たのしいもん！」

ホウちゃん「ほんでな！あめでビシャビシャになってもうて、ママがホウのことタオルでゴシゴシしてくれたんよ」
アルン　　「うん」
楓浜　　　「うん」
フブキ　　「うん」

ホウちゃん「そしたらな、ママがな、『ホウちゃん、おへそは無事かいな？ちゃんとある？』っていうたんよ」
アルン　　「おへしょ？」
楓浜　　　「おへしょ？？」
フブキ　　「おへしょ？」

ホウちゃん「うん。ホウ、ママに『なんで？』ってきいたらね。……

－イッちゃん（ホウちゃんのママ）－
『お空がピカピカー！ゴロゴロー！って鳴ったやん。あれはな、雷さまがこれから大雨を降らすぞー！って知らしてくれてんねん。そやかて雨の中で遊んでる子がおったら、おへそを取ってまうぞ！って言うてんねん』

……なんだって」

アルン　　「かみなりしゃま…おへしょ…とっちゃうの…」
楓浜　　　「おへしょ…ふうのおへしょ…とっちゃやー…ｸﾞｽ…」

ホウちゃん「ホウは、あめ、ばしゃーってなったけど、しゅぐにおへやはいったから、ホウのおへしょだいじょぶやってん！」

フブキ　　「………」
ウタ先生　「？フブキくん、どうしたの？気ぃき悪い？」
フブキ　　「……おれ……おれ…あめ……あしょんだ……」
ウタ先生　「フブキくん、雨の中で遊んだのね」

コンコン

ユキ　「ウタ先生、こんにちは。今日は早くに仕事が終わったので、早めにお迎えに来て…」
フブキ「ママーーー！！」

フブキくんは、お母さんの姿を見るやいなや、すごいスピードで走っていき、お母さんに抱きつきました。

ユキ　　「フブキ！どうしたの？」
ユキお母さんは、お迎えに来てベビールームに入った途端に、フブキくんが必死なお顔をして走ってきたので驚いてしまいました。

フブキ　「おれ…おれ…あめ…あしょんだ…ｸﾞｽ…」
ユキ　　「あぁ、この前ね！大雨の中、たくさん遊んで喜んでたわねぇ」
フブキ　「おれ…おれ…おれの…おへしょ…ﾋｯｸ…」
ユキ　　「？おへそ？フブキのおへそがどうしたの？」
フブキ　「おれのおへしょ！かみなりしゃま！とられたぁ！！ﾋｯｸﾋｯｸ…わぁーーーん！わーーーん！」

ユキお母さんは、ようやくフブキくんが言っていることが分かりました。

ユキ　　「この前、雷が鳴っていて大雨が降ってる中で遊んだから、雷さまにおへそを取られたと思ったのね」
フブキ　「ﾜｰﾝﾜｰﾝ…ﾋｯｸﾋｯｸ……」
ユキ　　「よしよし。じゃあ、お母さんがフブキのおへそがあるか確かめてあげるわね」
フブキ　「ﾋｯｸ…ﾋｯｸ…うん……」
ユキ　　「どうかな？フブキのおへそ、あるかな？」

ユキお母さんは、フブキくんのお腹を優しく触って、おへそを探すふりをしました。

ユキ　　「あれ？…これはー？あったー！フブキのおへそ、あったー！！」
フブキ　「ｸﾞｽ……お…おれの…おへしょ…あった…？ﾋｯｸ…」
ユキ　　「ええ！あったわよ！ほら！」

ユキお母さんは、そう言うと、フブキくんの手を取って、おへそを触らせてあげました。

フブキ　「あっ！！あった！！おれのおへしょ！あったー！おへしょあったーー！」

フブキくんは、両手でおへそをさすりながら、安心した表情でニコニコ笑っています。

アルン　　「フブキくん！おへしょあってよかったねー！」
楓浜　　　「おへしょよかったねぇ！」
ホウちゃん「よかったー！かみなりしゃまにとられんでよかったなぁ！」
フブキ　　「うん！！」

ウタ先生　「さあ、じゃあ、そろそろおやつにしましょうか！あ、ユキさんもご一緒にいかがですか？フブキくん、みんなと一緒におやつ食べてから、帰りたいんじゃないかと思うんです」
ユキ　　　「そうですねぇ。みんなと一緒が楽しいものね。じゃあ、お言葉に甘えて、私もご一緒させていただきます」

ウタ先生は、ホテルのティールームから運ばれた赤ちゃん用のおやつと、大人用のスイーツを、丸いローテーブルに並べました。

赤ちゃんたちの麦茶を新しく淹れかえ、ポットに用意されたアッサムティーをユキお母さんとウタ先生のティーカップに淹れました。

ウタ先生　「お待たせしました。さあ、いただきましょうか！では、おててを合わせて、いただきます！」
みんな　　「いただきまーーーす！！」
ユキ　　　「いただきます！」

ﾜｲﾜｲ ｶﾞﾔｶﾞﾔ ﾊﾟｸﾊﾟｸ ｱﾊﾊ

ウタ先生とユキお母さんと、４人のおちびさんたちと、みんな一緒に楽しくアフターヌーンティーをいただきます。

ベビールームの午後も、和やかにゆったりとした時間が流れています。

おしまい