七夕物語~雨のち星空:18話
シャンシャンへの手紙を書き終え、小雅ちゃんは本日2杯目の麦茶を飲みました。
もう便せんを見なくても暗唱できるくらい、チェックを重ねに重ねたお手紙です。
丁寧に折りたたんだ便せんを丁寧に封筒におさめ、丁寧にシールで封をしました。
それを愛用のポシェットにしまって、ようやくホッと一息ついたのがお昼でした。
いつもは小雅ちゃんが母ちゃんにお弁当を届けていますが、今日ばかりは逆です。
今日は小雅ちゃんに母ちゃんがお弁当を作って、冷蔵庫へ入れてくれていました。
ご飯は小雅ちゃんの大好きな、梅くずしと大葉としらす干しの混ぜご飯です。
おかずは昨日の晩ご飯の煮物に加えて、ふわふわのたまご焼きも入っています。
「ありがとう母ちゃん、いただきます」
レンジでチンしたお弁当をもくもくと食べます。梅の酸っぱさが嬉しいです。
余談ではありますが、梅くずしの梅干しは自家製です。やや塩辛い梅干しです。
食後は眠くなるのがジャイアントパンダですが、今日の小雅ちゃんは違います。
お弁当を片づけてちゃぶ台を拭きあげて、いよいよ工作に取りかかります。
ふたつ折りにしておいた画用紙を束ね、「わ」の部分をガムテープで綴じ。
既にお気づきのことと思いますが、小雅ちゃん絵本を作ろうとしています。
「シャンちゃん読んでくれるかな、喜んでくれるかな」
お手紙ほどの緊張感はありません。すらすらさらさらと鉛筆で下書きします。
ふたりのぱんだちゃんが、ホットケーキの材料を探しにゆく冒険の物語です。
「お菓子の家の屋根は…」
「ここで魔女が出てきて…」
「女神さまが出てきて…」
「ふたりはおうちへかえり、ホットケーキを焼きました」
「めでたし、めでたし」
16色のクレヨンを駆使して、小雅ちゃんは一冊の童話をかきあげました。
小雅ちゃんが読んできた数々の童話のオマージュ、というべき作品です。
七夕物語~雨のち星空:19話
昨夜は大の字でひっくり返っていた小雅ちゃんに、悲鳴をあげた母ちゃんでした。
今夜は小雅ちゃんは元気なのですが、母ちゃんは二夜連続で悲鳴をあげました。
「どうしたのそのカラフルな毛は!」
「クレヨンで汚れちゃって…えへ…」
晩ご飯は後まわし。先に銭湯へ行く羽目になった、小雅ちゃんと母ちゃんです。
母ちゃんは工事が佳境で、汗だくだったので良いタイミングではありましたが。
「どうしたらここまで汚れるかねえ」
「ちゃぶ台と畳は汚さなかったよ!」
ひとりで体を洗える小雅ちゃんですが、今日は母ちゃんに洗ってもらいます。
クレヨンを念入りに洗い落とさないと、湯船に浸かることができません。
「思い出すわあ、あれは何年前だったかね」
「なあに?」
「あんたとシャンちゃんがメイクごっこしたことあったでしょ」
「もうずうっと前だよ、シャンちゃん小さかったもん」
「そうだったね、小雅がシャンちゃんを抱っこしてたもんね」
シャンシャン一歳の秋頃の思い出です。ふたりでメイクごっこをしました。
あの時も口紅やチークが落ちず、ふたりとも母ちゃんに洗ってもらいました。
「よーしこれで大丈夫でしょ、浸かっておいで」
「母ちゃん、今度は小雅が母ちゃんの背中を流すよ」
「そうかい?じゃあ交代ね」
小雅ちゃんは母ちゃんの背中を洗いながら、首や肩のマッサージもします。
日々の労いと感謝、そして二夜連続で驚かせてしまったお詫びをこめて。
「魔女役はピキしゃんでしゅね 夢天使のスカジャン着てパラリラするんでしゅよグフッ」
「なんでうちやねん せんぱいがしいや」
「いやでしゅベロベロベー」
「落としたのは金のおりんごでしゅか?普通のおりんごでしゅか?プルプル」
「ああん、女神様プルしゃんに取られまちちたープミー」
「金のカボチャがいいアル」
いよいよ絵本作り始まったー!
絵本好きの小雅ちゃんが描くオマージュ的作品なんてとても壮大で面白そう
シャンちゃん、きっとお鼻の穴全開で喜んでくれるよ
それにしても小雅ママお手製のお弁当美味しそうだな~ ジュルリ
小雅ちゃん、全ての所作が丁寧で健気でギューってしたくなる
シャンちゃんの喜ぶ顔を思い描きながら作ったんだろうなー
もう目がビショビショで午後から仕事になりませんッ
母娘の幸せなお風呂でのひと時だね
メイクごっこした時の小雅ちゃんとシャンちゃんのお顔見てみたかったなw
作家さん!お話ありがとうございます
毎回毎回、小雅ちゃんとシャンちゃんがどうなるのかな?どうするのかなとドキドキしながら見守っています
母ちゃんとの銭湯いいですね
続きを楽しみにしています