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「ベビールームのとある秋の1日」(5)-2021/12/06(月)

607: 名無しさん? 2021/12/06(月) 13:25:49.90 ID:GqnxefOR0

ウタ先生 (ツキノワグマ・上野)
アルン  (アジアゾウ・上野)-母・ウタイ
楓浜   (ジャイアントパンダ・白浜)-母・良浜
ホウちゃん(ホッキョクグマ・大阪天王寺)-母・イッちゃん
フブキ  (ホッキョクグマ・秋田男鹿)-母・ユキ
(フブキくんの「おれ」は「お↑れ↓」)

ロッキー支配人(ホワイトタイガー・東武動物公園)
カーラ夫人(ホワイトタイガー・東武動物公園)ロッキー支配人の奥さまで、ホテルのティールームとコンシェルジュのマネージャーを兼任している

クーさん (ツキノワグマ・上野)→ウタ先生より少しお姉さんのお隣さん

~ベビールームのウタ先生とおちびさんたち~5「ベビールームのとある秋の1日」(5)「さあ、ウタ先生が起きたから、おやつの時間にしましょうか。ティールームからさつま芋のモンブランを作って持ってきましたからね」

「みんな!おいもさんのモンブランですって!じゃあ、おやつの時間のお支度しましょうね」

「はーーーい!!」

みんなはお支度をして、いただきますのご挨拶をしてからおやつを食べ始めました。

「あーこれもおいしいなぁ。ほっぺがおちそうやわ!」

ホウちゃんがほっぺにお手てを当ててそう呟くと、アルンくん、フブキくん、楓浜ちゃんはビクッと驚いて、一斉にホウちゃんの顔を見ました。

そして、みんなは大きくまんまるに見開いたお目々で、ホウちゃんのほっぺをジーっと見つめて、それから真剣な表情で首を静かに横に振りながら言いました。

「ホウちゃん……だいじょうぶ。ほっぺおちてないよ…」
「うん…ほっぺ…ちゃんとあるよ…あんしんちて…パオン」
「ホウちゃん…ちんぱいちなくてもだいじょうぶ…プルプル…グスン…」

「へ?なに?ホウのほっぺが?…ふうちゃん!なかんといてー!どないちたの??」

「だって…ホウちゃん…ほっぺがおちちゃうって…グスッ…」
「ホウちゃん!だいじょうぶだよ!ほっぺおちちゃったら、おれ、ペタンってテープではってあげる!」
「うん!ぼくは、ほっぺおさえてあげる! パオン」

「えっと…えっとね…」

ホウちゃんが何と説明したらいいか戸惑っていると、ウタ先生が助け船を出してくれました。

 

608: 名無しさん? 2021/12/06(月) 13:28:13.75 ID:GqnxefOR0

「あのね、みんな、ほっぺが落ちそうというのはね、とっても美味しいものを食べたときのことを言うのよ。本当にほっぺが落ちてしまうわけじゃないから心配しなくて大丈夫よ!ホウちゃんは色々な言葉を知っているのね」

「うん、ママがな、おいしいものたべると、ほっぺがおちそうやわーっていうんよ。そやから、おぼえてん!」

「そうなのね!ホウちゃんが色々な言葉を知ってるのは、お母さんのイッチャンさんのおかげなのね」

フブキくんとアルンくん、楓浜ちゃんは、神妙な面持ちでウタ先生に聞きました。

「じゃあ、じゃあ…ホウちゃんのほっぺ…おちない?…」
「ええ、落ちないわよ」

「…おちない?…ほんと?…パオン…」
「ええ、本当よ」

「ホウちゃんのほっぺ…いたいいたいない?…グスッ…」
「大丈夫、痛くないわ」

それを聞いて、三人はようやくホッとしたのでした。

「みんなもこれから美味しいものを食べたときに、ほっぺが落ちそうって使ってみましょうね!」

「おれ、やってみるー!」
そう言うとフブキくんは、すぐさまお芋のモンブランをスプーンでひと口ぱくっと食べると、
「おいちー!おれ!ほっぺおちたー!」

「ぼくも、やってみる!」
アルンくんも、お芋のモンブランをひと口ぱくっと食べると、
「ぼくのほっぺ、おっこちたー!」

「ふうも、ふうも…」
続いて楓浜ちゃんも、お芋のモンブランをひと口ぱくっと食べると、
「ふうのほっぺ、おちたー!」

みんなは得意そうに言いました。

「ん~みんな、ほっぺおちたちゃうくて、おちそうなんやで」
「ふふふ、そうね、ホウちゃんの言う通りね。でも初めてにしては上手にできたわ。今度またやってみましょうね」
「はーーーい!!」

 

610: 名無しさん? 2021/12/06(月) 13:31:19.73 ID:GqnxefOR0

おちびさんたちが食べている間に、カーラ夫人は「焼き芋」や「スイートポテトアップルパイ」や、「さつま芋の蒸しパン」に「さつま芋のスコーン」などを、お帰りのときにお母さんたちにお土産として渡せるよう紙袋に詰めていきました。

おうちに帰ってから紙袋を開けて、このスイーツを見たおちびさんたちが、お目々をキラキラさせて喜んでくれるのかしらと想像すると、カーラ夫人の顔はほころんでしまうのでした。

そして、ティールームでお菓子作りをしてきて良かったと思ったのでした。

コンコン…

「こんにちは。お迎えに来ました」
ウタイさん、ユキさん、イッチャンさん、良浜さんが、次々とお迎えにやってきました。

お迎えに来たお母さんたちに気付いたおちびさんたちは、一斉にお母さんたちの方に向かって勢いよく走っていきました。
そして、お母さんにぎゅっと抱きついたまま、みんなはお母さんの顔を見上げ、声を弾ませて口々に話し出しました。

「あのね!あのね!おれ、きょう、おいもほりちて、いっぱいとって、ほっぺがおちたんだよ!」

「ホウね、きょうね、ウタしぇんしぇいにいっぱいことばしってるて、ほめてもろたんよ!」

「ママー!アルンね!つちほるのほめられたよ!あとね、あとね、ほっぺおっこちたの!」

「おかあしゃん!ふう、おいもしゃんのあかちゃんとったの!あとね、ほっぺおちても、いたくないんだって!」

おちびさんたちの得意げな報告を聞いて、お母さんたちとウタ先生とカーラ夫人は、それぞれの顔を見合わせて、ふふふと笑い合いました。

 

611: 名無しさん? 2021/12/06(月) 13:33:24.60 ID:bhFawbfN0

「それではみなさん、おうちに帰ったら、今日のお芋掘りのお話の続きを、おうちの人にお話してくださいね。それではー」
「しぇんしぇい、さよーならー!!みなしゃん、さよーならー!!」

みんなは大きな声で、お帰りのご挨拶をしました。

「ウタ先生、カーラ夫人、ありがとうございました!」
「しぇんしぇい!カーラしゃん、ばいばーい!」
「はい、また明日ね!」
「ばいばーい!」
バイバーイ!バイバーイ!……

みんな、それぞれご挨拶をし合って、お母さんたちはカーラ夫人から渡してもらった大きな紙袋を持ち、親子たちは帰っていきました。

おちびさんたちは、お母さんが持っている紙袋が気になって気になって、チラチラと見ながらエレベーターに向かっていきました。

ママーハヤク.オウチカエッテ.オイモシャンタベターイ!
ウフフ.ジャア.イソイデカエリマショウネ.
ワーイ!……

ウタ先生は、親子たちとカーラ夫人の後ろ姿を見送ると、ベビールームの片付けを始めました。

「さてと、私もそろそろ帰ろうかな。わぁ!こんなにたくさんのお芋さんのスイーツ!お隣のクーさんにおすそ分けしに寄ろうかしら。またいつもみたいに女子会になっちゃいそうね ウフフ」

ウタ先生はホテルのティールームで、お芋のスイーツに合う紅茶を買って帰ろうかしらと考えながら、帰り支度をしています。

ベビールームの秋の長い一日は終わり、今ごろおちびさんたちはおうちの人と、お芋のスイーツを囲んで、今日あった話をしていることでしょう。

きっとおちびさんたちは、得意げなお顔で身ぶり手ぶりをしながら、一生懸命お話しているんだろうなぁと、ウタ先生は想像して、ふふっと笑い、ベビールームのドアを閉めて家路についたのでした。

おしまい

 

612: 名無しさん? 2021/12/06(月) 14:18:38.05 ID:OfUDtkdR0

>>611
みんなしてほっぺ落としちゃってなんて可愛いのw
おませで賢いホウちゃんもお目目まん丸にしてびっくりするみんなも本当に本当に可愛い
みんなお芋掘りの一日すごく楽しかっただろうなぁ

今回もすごく素敵で可愛らしいお話をありがとシャンでした!

 

613: 名無しさん? 2021/12/06(月) 15:00:24.42 ID:/TWSn2/70
>>611
可愛くて可愛くてずっとニコニコしながら読み進めちゃいました
それぞれの性格が出ていて仕草も言葉遣いも想像できてしまいます
帰宅後袋の中のスイーツを見て目をキラッキラ輝かせて身振り手振り今日の話をしているのかな
ほっこり素敵なお話ありがとうございました

 

614: 名無しさん? 2021/12/06(月) 15:27:59.62 ID:Fhux0fXm0
>>611
かわいいお話きてた~癒されます
作家さんありがとう~

 

615: 名無しさん? 2021/12/06(月) 19:19:56.28 ID:8wiRN6GI0
>>611
ほっぺの心配しちゃう子供たち
なんて愛しいー
素敵なお話ありがとうございます!

 

616: 名無しさん? 2021/12/06(月) 19:22:16.35 ID:oQ0fKR980
>>611
お話の続きキテタ━(゚∀゚)━!
今日のお話も可愛すぎて読んでいる間顔がほころびっぱなしでした
ウタ先生とクーさんの女子会も楽しそう!