文豪缶詰プラン　御徒町力男編　その９〜その１０-2020/03/31(火)

～文豪缶詰プラン　御徒町力男編　その９

「ところで、お2人はかぐや姫の話は知ってますか？」
私は尋ねてみた
「あいっ、知ってましゅ」
「知っとるで」
「どんな話でしたっけ？」
若女将が話し始めた
「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが住んでまちた　毎日おじいさんは山に行って芝刈りをしてまちた」
「違う違う、竹を取っていろいろ作ってたんや」
番頭が訂正する
「うんうん、それで？」
「ある日、おじいさんが竹林に行ったら光り輝く竹があったのでなんだろうと思って近づいたんでしゅ　それでおじいさんが竹を切ったら」
「キャー」
番頭が叫ぶ
「キャー（裏声）」
私は思わず耳を塞いでしまった
「ん？今のは何でしゅかね？　ﾌﾟﾐﾐ？」
「ﾋﾟｺ―（ななな　何やっ？）」
「あ、いや何でもないです　続けて」
「竹の中にかわいい女の子がいて連れて帰りまちた」
「ﾋﾟｷｰ（それええのか？）」
「その頃おばあさんは川に洗濯にいってまちた　すると大きな桃がどんぶらこーこんぶらこーって流れてきたでしゅ　おばあさんは腰痛と戦いながらなんとか持って帰りまちた」
なんか話の流れがおかしくなってきたぞ
「おじいさんが連れて帰った女の子はかぐや姫という名前になって、年ごろになってきれいになりまちた　ある日かぐや姫はいいまちた」
「ほう、なんて？」
「私が機織りをしてるところは決して見ないでくだしゃい　見たらﾊﾞｷﾑｼｬでしゅ」
色々混ざってるようだ
「おばあさんが持って帰った桃は？」
「あ、ええと、みなさんでおいしくいただきまちた　ﾌﾟﾐｰ」
「桃は足が早いからな」
「かぐや姫は美人になったんだね？」
「あいっ、ぜっぺきの美女になりまちた」
「それは崖やんけ　ﾋﾟｷｰ」
番頭は時々鋭いツッコミを入れていた

～文豪缶詰プラン　御徒町力男編　その１０

若女将と番頭から聞いたかぐや姫の話はいろんな昔話が混ざっていた
本人達は悪気はないだろうしまあ、仕方がない
「最後は月に帰っていくんだね？」
「あいっ、月の女王とシュンという馬が馬車を引いて迎えにきましゅ」
「そこは牛車じゃおまへんか？」
「そうだね　時代的にも牛車だろうね」
二人は楽しそうに話してくれた
「先生、参考になりまちたでしゅか？」
「はい、なりましたよ」
「よかったでしゅ　ﾋﾟｷｰ」
「この頃は男性は烏帽子、女性はおすべらかしだったかな」
「おしゅべらかしってなんでしゅか？」
「長く伸ばした髪のことや」
「先生、すすんでましゅか？」
「あ、ああ　進んでますよ」
「ﾋﾟｷｰ（こりゃあんまり進んでなさそうやな　プランＢいくで）」
「あいっ　ではわたしたちは衣装替えがありましゅので失礼しましゅ」
「衣装替え？」
「あ、いやこっちの話でさあ　ほなまた　ﾍﾟｺﾘ」
「しつれいいたしましゅ　ﾍﾟｺﾘ」
パタン
二人は退室していった
衣装替えとか言ってたけど、なんだろう
私はまたノーパソに向かった