広場には主催者や係員が待機していた
俺はパンダらしくのしのしと歩いて広場に向かった
「社長さん、無理を言ってすみません 助かります こちらがパンダさんですね いやーよくできてますね」
当たり前だ、本物だからな
「こちら、パンダのリッキーさん 今日は天気がいいので水分補給はしっかりさせてください」
社長が俺の事を紹介してくれた
「了解しました こまめに水分補給の時間はとるようにします では行きましょう」
主催者の誘導で行った広場には子供達がいた
「わーい パンダだー」
「大きいー 本物?」
俺は大きくうなづく
係員が言う
「はい、こちらはパンダのリッキーさんです 上野から脱走してきました」
おいおい ドキッとするようなこと言うなよ
「外の世界を見たくてみなさんの所にきました 優しくしてあげてくださいねー」
「はーい」
こうして子供達とふれ合うイベントが始まった
その時、一人の子供が背後から叫んだ
「このパンダにせものだ 背中にファスナーがあるもん」
この、ガキ…
リッキーさん心狭いw
あそうか、子供苦手なんだっけw
続きが楽しみだ!
と思ったらジョークのつもりが本当だったってこと?ww
リッキー頑張れ
永明さんはタケノコ食してるみたいだからご褒美あるかもよ
>>472
一瞬そのガ…いやお子様を背負い投げしてやろうかと思ったがやめた その代わり、子供を背中に近づけてそっと背中のファスナーを少し下ろした 着ぐるみのファスナーから俺の地毛が見えることになる
「…」
その子供は固まってしまったようだ 少しいたずらが過ぎたか
ファスナーを元に戻して笹を食べるフリを始めた
今度は別の子供が背後から空手チョップを思いきりしてきた
不意打ちだったので痛い 俺は思わず頭を抱えた
「リーリーと同じしぐさをしてるー」
当たり前だ いてぇー
そんなこんなで休憩時間になり、広場の隅にあるテントに入った
社長は水のペットボトルを持ってきてくれた
「お疲れさん どう?できそう?」
「な、なんとかやります メイクは崩れてないですか?」
「舞台用だから簡単には崩れないよ」
「それと、今日のギャラは振り込みじゃなくて現金で欲しいんですが…」
「ふむ、何か事情がありそうだね わかった、今日の分は現金で渡しますよ おっと、これから打ち合わせがあるのでちょっと失礼するよ また後で迎えに来るよ」
「はい」
休憩時間が終わり、俺は再び広場に向かった
回を重ねる毎に要領がわかってきた 記念写真の時は、満面の「イーッ」をしておいた
最初はおっかなびっくりだった子供も、時間がたつと打ち解けてきて「パンダさん、バイバイー」言ってきた子もいた
そのかわいい仕草はむすめににていた むすめはいい子で留守番してるだろうか ふと気になった
午後になり、イベントの時間も終わりに近づいた頃、二つの影が近づいてきた
なにやらプミビキ言ってる
「プミピキ署からきまちた ちょっとおはなちいいでしゅか?」
「ピキー」
な、なぬっ?
プミッピキ!いやプミピキ警察が!展開にwktk
作家様ありがとうございます!
力男さんピンチ!
プミピキ署、この凸凹コンビがプミビキか
確か署長は「鬼のシンコ」とか言われてたな
「わたくちたちはプミピキしょのプミとピキでしゅ けいさつてちょうでしゅ」パカッ
「ピキー」パカッ
二人の制服は少しダボダボしている
「あなたのおなまえをおちえてくだしゃい」
「ピキー」
「お、御徒町力男です」俺は答えた
二人はリンゴ柄のメモ帳と竹ペンを取り出した
「えーと、おか、おかきもち でしゅか?」
「ピキー」
「おかちまち です」
「お、おたち… ながくてかけましぇん」
「ピキー」
「ああ、リッキーでいいです」
「リッキーしゃん、あなたはうえのどぶつえんからだっそうしたとききまちたが、そうなんでしゅか?」
「ピキピキー?」
まずい、このままだと逮捕されかねない 何とかしのがないと…俺は答えた
「違います それよりあそこの滑り台に何やら不審物を見ましたよ」
「ほ、ほんとでしゅか? それはきけんでしゅ すべりだいにいきましゅ プミー」
「ピキー」
二人はダボダボの制服を引き刷りながら滑り台に向かった
そしてプミピキと言いながら何度も滑っていた
ふぅ、何とかごまかせた
セーフw